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【コミカライズ開始】悪役令嬢は最強を志す! 〜前世の記憶を思い出したので、とりあえず最強目指して冒険者になろうと思います!〜  作者: フウ
第5章 魔王襲来編

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77話 魔王城へ!

「つまり……」


 じゃあ目の前に聳え立っている、この巨大なお城が!


「魔王城っ!!」


「魔王城ね、まぁそうなるな」


 おぉ〜! おとぎ話とか、物語では定番の魔王城だけど……本物の魔王城をまさかこの目で見る日がくるとは!!


「しかし、本当なら魔王の目の前まで転移するはずだったんだが……」


「えっ、そうなんですか?」


「あぁ、けど弾かれちまったようだな」


 ほぇ〜、大賢者たるマリア先生の転移魔法を弾くとは……


「師匠の転移魔法すら退ける大規模結界。

 流石は魔王、と言ったところですか」


「まっ! そうこなくちゃな!!」


「くっくっく! エレン、お前も言うようになったじゃねぇか」


「こう見えて、冒険者ランクだけで言えば師匠と同じSランク冒険者ですからね」


 あんなに不気味で禍々しいオーラを放ってる魔王城を……あの中から感じる隠すつもりもない強大な力の波動を前にしても臆するどころか好戦的で不敵な笑みすら浮かべる!

 さすがは私のお兄様達!!


「こほん、では! 行きましょおわっ!?」


 な、なにっ!?


「ソフィーちゃん、焦ったらダメよ」


「お、おおお母様っ!? な、なんでお母様がここにっ!!」


 というか! なんでお父様もお母様も私に一切気取られることなく私のことを抱っこできるのっ!?

 さっきのお父様はともかく、今は敵地だから常に周囲への警戒は怠ってないのに……


「ふふっ、ついて来ちゃった!」


 お母様、かわいい……じゃなくて! ついて来ちゃったって!!

 ここは超危険な敵地のど真ん中! それも今から魔王の根城に乗り込むのに……!!


「ふふふ、安心して。

 こう見えて、私は結構強いのよ?」


「えっ?」


 そういえば……確かに今朝、王都の上空に展開された超巨大な魔法陣を燃やして破壊してた。

 あんな芸当並みの者にはできないし……ということは、お母様って実は結構どころか……


「まぁ、母上はこう見えて若かりし頃は〝炎姫〟としてその名を馳せたSランク冒険者だからね」


「やだ、炎姫だなんて恥ずかしいわ」


「Sランク、冒険者……?」


 お母様が? 娘である私から見ても可憐で綺麗で美しい、このお母様がっ!?


「元よ、元。

 今は冒険者はもう引退してるもの」


「いやいや今でもたまにストレス発散と称して、父上を引きずってダンジョンに……」


「あら? エレン、今何か言ったかしら?」


「い、いえ、何も!」


「「「……」」」


 あの凛々しくて王妃であるフローラ様と並んで社交界の頂点に君臨するお母様にこんな一面があったなんて……


「とにかく、そう言う事だから心配しなくても大丈夫よ」


「な、なるほど……」


 まぁ、お母様がすさまじく強いってことはよくわかった。

 残念なお父様やお兄様達の制御役で、当主であるお父様を差し置いて実質的にルスキューレ公爵家の頂点に君臨しているお母様だけど……物理的な力でも頂点に立ってたってわけか〜。


 一緒に生活すること10年、最強を目指して修行を開始してから約5年。

 ここに来て結構な衝撃の事実だわ。

 お父様を引きずってダンジョンに、とかエレンお兄様が気になることもいってたし、詳しく話を聞きたいところだけど……


「あの、お母様」


「ふふ、何かしら?」


「とりあえず、その……敵地のど真ん中なわけですし、降ろしてほしいです」


 さすがに、いつ敵が襲い掛かってくるかもわからない敵地のど真ん中。

 それも敵の総大将たる魔王ナルダバートがいる魔王城の目の前で抱っこされてるのは恥ずかしい。


 なんか、これから敵の本拠地に乗り込むんだ! って緊張感とかがぶち壊しになっちゃうし。

 それに、両手が塞がるのはよろしくない。


「仕方ないわね……」


「ありがとうございます」


 ん? 別に降ろしてもらっただけだし、お礼をいう必要はない?

 まっ! 今は細かいことはどうでもいいや! それよりも早く魔王をぶっ飛ばしてやらないと!!


「じゃあ、気を改めて……行きましょう!」


「えぇ、ソフィーちゃんを抱っこできないだなんて……やっぱり早急に魔王を始末してお家に帰りましょう」


「そうですね、まったくもって母上の言う通りですよ!」


「いったい誰に喧嘩を売ったのか、思い知らせてやる!」


 えぇ、お母様そんな理由で……まぁ、お兄様達もやる気十分みたいだし、別にいいか。


「それで、どうやって攻める?

 まず間違いなくあの城には侵入者用のトラップが張り巡らされている上に、強固な結界で守られていてバレずに侵入するのは困難だぞ」


「その通りです。

 ソフィーちゃん、だから焦って乗り込んだらダメなの」


「なるほど〜」


「尤も結界に弾かれた時点で私達の存在には気付かれているでしょうけど」


「だろうな」


「だからこそ……破炎」


 突如としてお母様の掌に白く輝く光の球が浮かびか上がって、ゆっくりと魔王城の扉へと近づき……


「弾けなさい」



 ッ──────!!!



 視界が真っ白に染まる!

 地面を揺らし、身体の芯を揺らすような衝撃に、耳をつんざくすまじい轟音!!


「正面から堂々と行きましょう」


「流石は母上」


「お見事です」


「「……」」


 うそでしょ……荘厳な魔王城の扉が……


「さぁ、これで結界もろとも仕掛けられていた罠も消し飛んだでしょうし、行きましょうか」


 跡形もなく消し飛んだっ!?


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