509話 貴方が私に勝てない理由
〜重要なご報告〜
な、な、なんと!!
この度この……
「悪役令嬢は最強を志す! 〜前世の記憶を思い出したので、とりあえず最強目指して冒険者になろうと思います!〜」
が、コミカライズされる事となりました!!!
差し当たってのご報告です!
詳細は後日投稿する活動報告をご覧ください〜!!
ふっ──ふっふっふ〜ん! 決まった!!
これはもう完璧に決まったわっ!
ラルフィーは愕然としてるし、結界内のギャラリー達は私の勇姿に見惚れ……
「む?」
何やら熱い視線が……あっ! なんかフィルがこっちをめっちゃ見てる!!
ははぁーん、なるほどなるほど。
流石のフィルも私のかっこよさに嫉妬しちゃって、憧れちゃってるわけね!
まぁフィルは私と同い年だし? ライバルみたいな関係だから意識しちゃうのも仕方ないわね!!
「うそ……だ。
こ、こんな……こんな事が、あっていいはずが……」
とは言え、フィルをからかってやるのは後にして……まずはこっちを終わらせないとね。
「さて……これが本当に最後です。
ラルフィー、残念だけど貴方では私には勝てない」
「ッ──!!」
「大人しく降伏しなさい」
ここからラルフィーが逆転する可能性は、はっきり言ってゼロに等しい。
仮に私をどうにかできたとしても、この場には私と同格たるSランク冒険者が全員勢揃いしてるわけだし。
そもそも私はまだ全力を出していない。
と言うよりも、この事態をどうにかするために本気で事にあたってはいるけど、命を賭して死力を尽くすほどの力は出していないし。
「……だ?」
「ん?」
「なぜ攻撃が当たらない!
私は真なる神である母上が使徒っ!
貴様ら下等種とは違う、最高位たる熾天使だ!!
なのになぜ攻撃の悉くが躱され、いなされ、受け流される!!」
自身の攻撃が私に通用しない事実に、苛立ちを隠そうともせずに声を荒げる。
「なぜ上位存在であるこの私が! 下等種でしかない貴様に勝てないっ!?」
この叫ぶような、そしてどこか嘆くような疑問はラルフィーの本心から出た言葉だろう。
確かにラルフィーは強いし、決してナメてかかっていい相手じゃない。
ラルフィーの言っている事は何一つ間違っていない。
実際にラルフィーは人間という種族よりも高位の種族たる天使族であり、さらには最高位たる熾天使でもある。
ぶっちゃけラルフィーを相手にまともに戦う事ができる存在なんて、この大陸ではほんのひと握りしかいないと思う。
でも……ラルフィーは決して私に勝てない、それはなぜか?
「答えは簡単です。
だからこそですよ」
「は……?」
「貴方は強大な魔素を秘めた、私達人間よりも高位の種族たる天使族。
その中でも最高位に位置する熾天使であり、女神アナスタシアの使徒。
なるほど、確かに私達を下等種と蔑み見下すのもわかる」
「……」
「でも、だからこそ。
その出自故に生まれながらに備わる強大な力のせいで、貴方は私には決して勝てない」
「なん、だと……」
「確かに貴方は強い。
この世界で貴方とまともに対峙できる存在がほとんど存在しないほどに」
でも、その強さが。
生まれながらの強者、上位存在としての力がこの状況。
すなわち自身と対等か、それ以上に渡り合える存在との戦いにおいて枷となる。
「先程の貴方の言動からも見受けられますが……貴方はこれまでに苦戦した事が無い」
その生まれながに備わった強大な力のせいで、大抵の存在が適当に力を振るうだけで蹴散らせる。
一流と呼ばれる強者であっても、全力を出すまだもなくその気になれば容易く屠れてしまう。
「もっと言えば自身と対等か、格上の存在と戦った事が全くないでしょう?」
当然! 私がめっちゃ強いっていうかのもあるけど……これこそがラルフィーが私に決して勝てない最大の理由。
「だからこそ私と……自身の力が通じない初めての敵と対峙して、その事実に困惑して先程のように取り乱した。
違いますか?」
「ッ──!!」
その力を軽く振るっただけで。
力押しだけで全てがどうにかできてしまっていたが故に……
「貴方には圧倒的に経験が足りない。
そしてだからこそ、その強大な力を十全に発揮するだけの技術がない。
力押しが通じない、思い通りにならないとなると簡単に動揺して取り乱す」
さっきのラルフィーの取り乱した姿。
まるで自分の気に入らない事に、思い通りにならない事に対して癇癪を起こした子供のようなあの姿。
あの姿こそラルフィーの本質なんだと思う。
まぁだからこそ私の中では、本気で相手を始めるまではそのショタ枠な外見も含めてラルフィー少年だったわけだしね。
「要するに貴方には積み上げてきた努力や研鑽がなく、技術的にも精神的にも全てが未熟。
私に言わせれば貴方は、大きな力を持っただけの素人であり子供。
それが貴方が私に勝てない理由です」
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