506話 そもそもっ!
「白銀の天……」
「私が〝白銀〟と呼ばれるワケをっ!!」
ギャラリーの方から私の非公認の二つ名が聞こえた気がしたけど。
なんか後ろからフィル達の生暖かな視線を感じる気がするけど!
細かい事は気にしない!
なぜなら……今は戦闘中なのだからっ!
これは決して今後ろを見るのが恥ずかしいからとか、そんなのではないのである!!
「ふぅ〜」
けどまぁ、考えようによってはこれはいい機会ね。
今日この場で私のクールでかっこよくて勇ましい勇士を見せつけて、白銀の天使なんて恥ずかしい二つ名を完全に払拭してやるわっ!!
そもそも! 私は始まりである原初の悪魔にして、悪魔の神である幼魔神ちゃんの愛子だし。
そんな私が天使なんておかしな話だもん! 天使の通り名はフィルに譲ってあげるとして……
「さてと」
そろそろ、いい加減にこの現状をどうにかしないと。
具体的にはそこでまだ呆然と惚けてるラルフィー少年をね。
白銀と呼ばれるワケを教えるって宣言しちゃったし。
様子見はもうおしまい! ここからは私の本気を見せてやるわっ!!
っと、でもその前に……
「最後に一つだけ確認しておきましょう。
ラルフィー・ティエス、降伏するつもりはありますか?」
「……は?」
確かにラルフィー少年は強い。
それこそラルフィー少年をどうにかするには、私も手加減なんて考えずに本気を出さないとダメなほどに。
それでも──
「貴方の力はもう見切りました」
私が負ける事はない。
「な、に……」
「残念ですが貴方では私には勝てない、無駄な抵抗はやめて降伏しなさい」
ラルフィー少年ほどの強者と戦わずに済むのなら、それにこした事はないし。
ここで降伏してくれるなら助かるんだけど……
「……けるなっ」
まぁ、うん。
やっぱそうだよね。
「ふざけるなっ!!」
ラルフィー少年から発せられる、激しい怒りの波動。
「この私を舐めるなぁっ!!!」
膨大な魔素によって、氷が砕けて舞い上がり。
キラキラと幻想的な光景を作り出す。
ドゴォッ!!
ラルフィー少年が立っていた地面が爆ぜる。
膨大な魔素を身に纏い、常人では認識すらできない超高速で翔るラルフィー少年。
確かに早い。
が、思考加速によって思考時間が引き伸ばされた私にとっては、むしろ遅くすら感じる。
この程度の攻撃を躱す事など造作もない。
「チッ!!」
攻撃を躱されて苛立った様子で舌打ちをしながらも、放たられる連撃をひらりと優雅に避けて距離を取ってラルフィー少年に向き直る。
「それが答えなら仕方ありません」
まぁ降伏なんて絶対にしないだろうとは思ってたけど……こうなってしまったからには、なるべくこれ以上は被害が大きくならないように注意しつつ、全力でラルフィー少年を叩き潰すのみっ!!
それも可能な限り迅速に!!
そもそもっ!──これはもともと、セドリックが私との婚約を破棄してくれるイベントなのだっ!!
急にラルフィー少年が本性を曝け出して、今は全員が私とラルフィー少年との戦いの行く末を固唾を飲んで見守ってるけど……
これでセドリックと私の婚約破棄の件が有耶無耶になったらたまらない!
真に重要なのはこの戦いの結末なんかじゃなく、セドリックとの婚約破棄が成立する事。
そして何より! 私に対する冤罪を退ける事なのであるっ!!
そのために同僚のみんなとか、四大国の王達を始めとする大物達に協力してもらってるのだ。
それをラルフィー少年のせいで、台無しにされてなるものかっ!!
「ここからは私も本気を出させてもらいます」
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