504話 教えてあげるわっ!!
圧倒的な強者感を醸し出し。
3対6枚の純白で雄大な翼をもつ最高位天使たる熾天使の容貌も相まって、超越者然とした態度で私達を見下ろすラルフィー。
そんな彼を一刀の元に斬り伏せ、地に落とした見せた……私っ!!
ふっふっふ〜ん! これでこの場にいる全員が、私の持つ力を!
私の凄さを理解できたはず!!
現に今もラルフィー少年に代わって、悠然と優雅に宙に浮かぶ私をみんな唖然と見てるし。
むふふっ、良い! とっても良いわ!!
あのみんなの、セドリック達の間抜けな顔!
けどまだまだこんなものじゃない! さぁもっと驚け! 世界最強の一角に座る力を目の当たりにし、そして私の強さを褒め称えなさいっ!!
「この私が傷を……!」
いやー! 我ながら今の一撃はなかなかにカッコよかった!!
「この私、が……あの御方に、この世の真なる神である母上によって生み出された至宝たる私の身体に傷をっ!!」
なんていうか英雄譚の一幕って感じ?
ここにいる貴族達によって、将来的に本当に英雄譚として語り継がれちゃったりして!
「よくも……よくも、よくも、よくも、よくも、よくもぉっ!!!」
「さてと」
悦に浸るのはこのくらいにして。
今は目の前の敵……憤怒の形相でこっちを睨みつけてくるラルフィー少年に集中しないと。
「ソフィア・ルスキューレ。
この世の至宝たる私に傷を負わせるなんて……貴様はいったい何をしたのか理解しているのか!?」
何って……これは戦いなわけですし、敵であるラルフィー少年に攻撃をして、私の攻撃を受けてラルフィー少年がダメージを負った。
それだけの事なんだけど……
この世の至宝たる私に傷を、ね。
もし仮にラルフィー少年がこの世界の至宝だったとして、ラルフィー少年は人間ではなく天使。
悪魔とかと同じ一種の精神生命体であり、内包する魔素によって瞬時に回復するから肉体的なダメージなんてあってないようなもの。
しかもラルフィー少年は天使の中でも最高位たる熾天使。
実際にラルフィー少年の傷は、その膨大な魔素によって既に回復済み。
まぁなんか教団の第七使徒だったピアと似たような事言ってるし、そういう事じゃないんだろうけど。
「母上亡き今、もはや貴様に存在意義など存在しない!
これがどういう事を指し示すのか、貴様にわかるか!?」
「はて、なんでしょうか?」
「下等種ではこの程度の事も理解できないか!
ならば教えてやろう! 貴様の存在意義はなくなった、それはつまり私が貴様を生かしておく意味がなくなったのと同義!!
故に貴様如き下等種に配慮する必要もない」
「つまり私の身に配慮しなければ、私に勝つことができると?」
「やっと現状を理解できたようだな!
だが今更覆しようのない現実を悟り、命乞いをしたところで無駄だ!!
身のほどを知らぬガキめ、塵すら残さずその魂までも消し去ってやるっ!!」
命乞い?
この私が? ラルフィー少年に?
「あははっ! 面白いっ!!
果たして、貴方にそれができるかな?」
「ッ〜!! どこまでも無礼な小娘がっ! その身をもって己が罪を贖うがいいっ!!」
「ふふっ」
どこからでもかかって来るがいいわ!!
「現実を理解できていないのは貴方の方だと教えてあげるわっ!!」




