アイスクリーム
少し悩みましたが教わったのは作ったとは言わないと思うので、★マークなしです
夕食を食べ終ったら、片付けにお風呂を済ませて就寝というのがいつもの流れですが、今日は精霊と話したい事がまだ色々と。
「ギルドカードは作れたよ」
片付けをしながら、そう言うと、
「では、ダンジョンにこれで入れますね」
「だね。あと、装備とかスタイルについて話を聞かれたんだけど」
ギルドで聞いた話をそのままに、どうするのがいいかと確認するように聞いてみたのですが、
「装備はいりませんよ?」
イラナイ、ワケナイ!
「え?」
「ですから、装備はいりません。スタイルについてもオールラウンドタイプになるので、ソロ攻略には向いていると思いますよ」
えーっと、ちょっと待って欲しい。
いらない訳がない装備について聞かないといけないし、ちょっと情報のすり合わせも必要な感じ。
「装備がいらないってどういう事?」
「低層階はそれほど強いモンスターも居ませんので、普通の服で問題ありません」
「いや、でも一応ギルドの人が軽めの皮や鱗で出来た鎧はあった方がって言っていたけど?」
「こういっては何ですが、着たことはありますか?」
「鎧を?」
「はい」
「無いよ?」
「ですよね?着慣れていないもので動くと余計に疲れます。確かにある程度の階層まで行けば必要ですが、慣れないモノを装備していけるほど安全でもありません」
言われてみると、かなり説得力のある意見。
「じゃあ、いつものこういう服で大丈夫って事?」
「ええ。そして昼間に皆さんが言っていた“魔力があれば”に繋がってきます」
そう言えば、魔力が育っているならと言われていました。
「魔力で防御するって事?」
「防御というよりは、全体的な底上げですね。その食器が洗い終わったらちょっとやってみましょう」
洗い物の最中だったのでさっと済ませて、精霊に向き直ると、
「魔力は何処から生まれるか覚えています?」
「うん。こっちに来て最初に教えてもらったからね。脊髄だよね?」
「ええ。そして血液と一緒に流れています。なので、全身を巡っているのは集中すれば分かるかと思います」
言われるように、目を閉じて魔力を感じると最初の時は異物程度の小さな感じでしたが、今は血液と一緒にスルスルと全身を魔力が巡っているのがよくわかります。
「うん。感じられる」
「その魔力だけを体の表面へ出すことが出来ます。それを全身に纏わせれば、結構な防御力になるのです」
「魔力だけを表面に出すの?」
言われて思うのは、相談せずに練習している魔力の玉。あれは多少の重さがあって見えないけどちょっとした質量を感じるもの。
見えない魔力を玉にするよりも、全身を纏わせるのは多分簡単。
「そうです。全身ですよ?」
言われるままに魔力を感じて、ジワリと全身に纏うように想像して、厚さは薄すぎず、厚すぎず。
「言葉で確定させるのでしたら、全体的に能力が上がると思うので、身体強化ですかね?」
精霊の言葉に頷いて、目を閉じたまま確定させる言葉。
「身体強化!」
自分の体を薄い膜で覆う形の身体強化の魔法が発動。
ただ、どう変わっているのかはさっぱりわかりません。
「……ねぇ、精霊?これ出来ている?」
「出来ていますよ。魔力操作は難しいハズなのですが、雅は上手いですね?」
こっそりと練習していると今更言える空気でもなく。
「まぁね。日頃の練習の成果じゃない?それで、この状態だとどう凄いの?」
「全体的に耐久力が増えているはずです。えーっと、そちらの世界で言うと……スライム?ですかね?あれを全身に付けているのと似た状態なので、衝撃に対して強くなっています。それ以外にも、筋力や全体的に良くなっているはずですが?」
はずですが、と言われてもそれほど変わりが分かる事も無いといおうと思ったのですが、如実に変わった部分が一か所。
「あー、うん、筋力とかはそんなに分からないって言おうと思ったんだけど、結構凄いかもしれないや」
そう言いながら、自分でちょっとピントを合わせるように遠く、近くと色々見てみたのですが、いつもは読みづらい遠くの小さい文字がくっきりと見えます。
「コレ、かなりすごい魔法?」
視力がこれほどよくなるとなれば、木刀などを振っても結構いい感じに振り抜けそうな気もしますが、逆にコントロールが出来るか気にもなります。その辺りも含めてで精霊に聞いてみますが、
「いつも来ているお客さんは多分普通に使えていると思います。がーさんもですし、それほど凄いかと言われると……どうでしょう?」
「って事は、ダンジョンに入っている人なら大体使っているって事?」
「ええ。その認識で間違いはないと思いますよ?」
言われて思い出すのは、今日も寄ったギルドの人達の格好。数名かなりがっしりとしたフルプレートの鎧を着ている人も居ましたが、全体的に見ればそこまでしっかりとした格好の人は少ないイメージ。
「基本の一つって事か」
「ですね。っと、え、あー。はいはい?」
僕との話のなかで精霊がいきなり独り言を。
「どうしたの?」
何があったのかもよくわかりませんが、聞いてみると、
「氷の精霊がたまには役に立ちたいと言っているのですが?」
「氷の精霊?」
ウチに氷の精霊が居たというのも今知ったようなものなのですが、それが役に立ちたいといきなり言われて、はいそうですかといえるわけも無く。
「ええ、そこに居るのですが」
「というか、なにがどうしたの?」
脈略が無さ過ぎて、どうしたモノか。
「ふんふん。なるほどです。えーっとですね、他の精霊が最近活躍しているけど、自分達はあまり活躍出来ていないから、ちょっとどうにかしてほしいという事みたいです」
思い当たる事はそれほどありませんが、この前に精霊がこのままでいいと言っていた時があったので、それに多分関係する様な事なのだというのは分かるのですが、唐突過ぎてどうしたモノか。
「え?ほほぅ?それいいですね。雅?氷の精霊が今、教えてくれたのですが、美味しいデザートを氷があれば作れると言っているのですが?」
氷のデザート?
言われてすぐに思い浮かぶのは、かき氷やアイスクリーム。
「丁度いいね。ちょっと僕も食べたいから、頼むよ」
「えぇ!?」
いきなり聞こえたのはがーさんの声。
「今そっちに行くから頼むねー」「全く、本当にがーさんは食い意地がはっていますね!」
いや、精霊?君もかなりなんだけど?とは思いましたが、グッとここはこらえて。
ちょうど筋力がアップしているか分かりそうな一品を作る準備をすることに。
使う材料は牛乳、生クリーム、卵、砂糖、バニラペーストかバニラエッセンスとシンプルな材料で。
先にやるのは卵と砂糖をボウルで混ぜる所から。いつもであれば電動のミキサーですが、折角身体強化を使っているので、自分の手を使ってホイッパーで混ぜてみることに。
カッカッカッカッとホイッパーがボウルに当たる音。
それ程疲れることも無く、混ぜ終ったら合わせる牛乳と生クリームの準備。
鍋に両方入れて、沸騰しない程度に温めてあげます。目安としては回りのフチのあたりがフツフツとして来る程度。そこまで温めたら、先程混ぜていた卵と砂糖の所へ数回に分けて入れていって、全部入れたら一度裏漉し。
裏漉しをしたら、バニラペーストかエッセンスを入れてボウルを冷やしながら混ぜていきます。
通常であれば、この後冷凍室などに入れてある程度固まったらほぐすという作業を数回やって出来上がりとなるのですが、今日はちょっと力技の方向で。
「お、いいタイミングだったかな?」
がーさんが丁度来たようで、
「氷の精霊には僕が指示を出すよ。そのボウルを結構強めに冷やせばいいね?」
「ええ。僕はその間ずっと混ぜていくので、いい感じにお願いします」
「オッケー。任された」
そう、本来はさっき言ったような冷凍庫で冷やすのですが、アイスクリーマーの様な事をちょっと人力で今日はやってみることに。
ボウルを氷の精霊が一気に冷やしてくれて、僕は回りから固まっていくところを削ぎ落とす形でどんどん液体に戻す係。
子供の時に手作りアイスクリームをやって、その時はボウルに氷と塩を入れてその上にコレを入れてひたすら混ぜた記憶があるのですが、それと同じ事を今回は魔法を使ってやっている感じです。
最初の三分は軽かったのですが、五分も経つと結構重たく。大体二十分もすれば出来上がります。
「身体強化凄いなぁ」
かなりの重労働のはずなのですが、身体強化のおかげでそこまで大変な感じはせず。
「え?違うの?これじゃない?」
精霊が何か言います。
「あー、氷の精霊が言っていたのはかき氷みたいだね」
がーさんが補足するように教えてくれます。
「どっちか迷ったんですけどね。折角ならとアイスにしました」
「うん。どっちでも美味しそうだと思って。この時間に最高の夜食でしょ?」
「ですね。すぐによそいます」
出来立てのアイスクリームを三人?氷の精霊も用意をしたら食べたので四人?で食べ始めたのですが、
「甘いっ!冷たいっ!美味しいっ!!!」
うちの精霊、顔は無いけど多分ニコニコ。
「最高だねぇ」
がーさんもニッコリ。
「美味しい」
勿論僕もニッコリ。
そこに居るのか見えないけれど、氷の精霊も美味しく食べているのか何となくうれしいという空気は感じることが。
夕飯の後のデザート。新しい魔法と一緒に楽しめました。
まぁ、食べ終わったらすぐにがーさんは帰宅。
片付けをして、流石に疲れてお風呂にゆっくり浸かって。
準備も進む一日になりました。
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




