アラの酒と生姜煮
今日の目覚めはかなり気持ちのいいモノで。ぱっと目が覚めて、所謂疲れが残っていない状態の寝起き。
大きなあくびを一つだけして、そのまま顔を洗わずに水浴び。
何となく気合が入っている感じで、気分もいいのでいつもよりもあれこれ上手にできそうな空気感。
まあ、あくまで感じなのでいざやってみるとアレレとなる事は往々にしてありますが、それでも今日はやれる気が。
先週の忘れ物という程ではありませんが、久し振りに気合も入っているのでアレをやるには丁度いい感じ。
軽くいつもの朝食を済ませて、いつもは淹れないコーヒーを。
お店の時はエスプレッソだったのですがこちらにはありません。
ですが、変わりにマキネッタがあったのでそれを入れることに。
多少の差異はあるものの、濃くて美味しい一杯。
コレを飲むと、一気に自分の中で仕事モードの感じ。
「よしっ」
気合もしっかり入ったら、冷蔵庫の扉を開けます。
「あった」
そこには勿論目当ての魚。かなりいい形のブリ。
一尾でもコレだけ大きければ、今日の全員分には余裕です。
「やるかな」
魚を捌くのは久しぶり。ただ何度も一応教えてもらっているので大丈夫。
「さてと」
まずは手を冷やすところから。っと、その前にまな板も別のモノを準備するか新聞紙を敷いていつもとは違う状態に。
「おや?それは魚ですか?」
珍しく朝食の場にはいなかった精霊が起きたのか、ふよふよと浮いてこちらへ。
「おはよう、精霊。そうだよこの間食べたブリだよ」
「これの切り身がアレですか。コレが、この間のアレに?」
「うん。捌けばそうなるよ」
「それにしても、この何というか、少し物々しいというのですか?色々と準備をしているのですか?」
まな板もいつもと違い、新聞紙も敷かれて後片付けの準備もばっちりの状態。
「まぁ、色々とやるから。苦手かなって思ったら見ない方がいいかも」
「そんなことを?」
「まぁ、だからこそのいただきます、だからね」
精霊はよくわかっていないような感じですが、時間は限られているので早速作業開始と行きましょう。
まずは身を前に、手を少し冷たくしてから包丁を片手に尾っぽの方から鱗をすき引き。分かりやすい言い方としては薄く皮一枚だけをそぐような感じで、勿論片面が終ったらひっくり返して、反対側も丁寧に。これでも落としきれていない部分もあるので、残りの部分は普通に鱗を剥ぎましょう。
両面の鱗を落としたら、まずは頭を落とします。
次にお尻の辺りから頭の方へ包丁を入れます。内臓がこれで取れるのでしっかりと搔きだして、血合いも落としてからじゃぶじゃぶと洗いたいところですがぐっとこらえて水はなるべく少ない量で。しっかりと水気をふき取って、次に胸びれと腹びれを纏めて切り落とします。勿論片側だけでなく反対側も。
落とし終えたら、尾っぽを左にして腹から尾に向けて中骨に沿って包丁を入れます。
身を半回転させて、背から中骨に沿ってもう一度包丁を入れたらさらにもう一度元に戻す様に半回転。
腹の辺りに残っている関節を中骨から外してあげれば半身がとれるので、同じことを反対側でも。
「ふぅぅ。とりあえず出来た」
後は腹骨をすき取って、さくに切り分けて、中骨と血合いを取って。
サクが四つ出来たら一段落。
「おおぉー。凄いですね」
目につく位置にいなかったように見えましたが、どうやら見やすい位置で精霊も見ていたようで、かなり楽しめていたようです。
「さ、ここからは少し急ぎの作業もあるけど……」
「けど?」
「味見も大事だよね」
「ですねっ!」
精霊も待っていましたとばかりの声。
サクの小さい部分を少しだけ切り落として、皮を引いて少し分厚いお刺身で。
こればかりは捌いた人の特権という事で。
醤油も欲しいですが、とりあえずはそのまま。
「ん、コレ天然だな」
口に入れてすぐに分かります。ギトギトとすることなく、かなりさっぱり。どうにもブリは油がしっかり乗っているイメージが最近はおおいのですが、それは養殖のおかげ。天然のブリはそこまで脂っこい事もありません。(※作者の勝手なイメージです 天然でもいい脂はのってます)
「美味しい」
と、味見を少しして調理というか、下準備。
サクは調理にこの後使うので一度ラップなどに包んで、冷蔵庫へ。
下準備が必要なのは他のアラの部分。
お湯をしっかりと沸かしてザルの上にアラを置いたら、お湯をかけていきます。
いわゆる霜降りの作業に似ていますが、この作業で臭みが一気に抜けます。お湯につけるのではなく、お湯で流す。
しっかりと流して、血合いなどの部分は結構臭みが残りやすいので流水でしっかりと汚れを落とす必要も。
アラを一通りお湯で流したら、そのアラを一度水から沸かして沸騰させて、勿体ないように感じますがそのお湯も一度捨てます。
これでアラの処理も完了。
もう一度水からしっかりと沸かして、まだ気になるのであればもう一度捨てるのもあり。
ですが美味しい魚の旨味もあるので、個人的には一度でいいかなと。
ただ、二度目でも臭みが残るものもあるので、その辺りは臨機応変に。
二度目で臭みも殆どなかったので、沸かし始める前に一緒にお酒を入れて酒精と一緒に臭みも飛ばす形に。この後の事も考えて、一緒に入れるのは生姜を皮ごとスライスしたモノも。
「よっし、後はこれを少し煮て、根菜入れてでオッケーかな」
ここにこの後入れるのはニンジン、ゴボウ、大根などの根菜類。そして味噌を溶いてあげれば、アラ汁の完成です。
ですが、せっかくここまで作ったアラ。
そのまま食べるのも実はとっても美味しいので、
「雅?それは?」
一度しっかりと沸騰したのを確認して、灰汁を取り除いたものを少しだけお皿によそいます。
「アラの酒と生姜煮。味は無いけど、ポン酢でちょっとだけ身を食べると美味しいから」
煮込めば煮込むほど旨味が出るアラですが、そのまま食べても勿論美味しく。
ただ、塩などは振っていないので味は薄目。それをポン酢で。
「ポン酢の味もいいですけど、醤油でも?」
「好きにしていいよ。そっちの分は」
お互いによそった分を少しだけ味見。刺身もかなり美味しく食べられましたが、煮込んだこれもまた絶品。
気合を入れて、朝から魚を捌きましたが今日は何にするか迷わずにお昼になりそうです。
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