ジャーキー
朝から買い物を済ませて、ちょっと健康的なドリンクを飲んで。
朝食が終って汗を流していなかった事を思い出したので、軽く水浴び。
大きなお湯の玉に浸かるこれも悪くないのですが、使う魔力が少ない日に練習しているシャワーが今日は浴びたい気分なので今夜に魔力を少し残そうかな?
「昼間少し使う量を調節するか……」
といっても、木刀作成はそれほど使った感じがしないので多分問題が無いのですが、魔力玉や六属性の玉を作っての素振りはそうもいかないので、今日はゆっくり作るだけで。
しっかり食べたばかりなのもあって、お腹は減っていないのですが多分お昼を精霊は食べたいと言ってきそうな気がするので、さてどうしたモノか。
「精霊、ダンジョンの中ってお昼をどうしているの?」
考えるついでとばかりに確認で聞いてみると、
「基本的には保存食だと聞いています。調理したものを食べる場合もあると思いますが……詳しくは知らないですね」
「そっか。保存食か」
パッと頭に思い浮かぶ保存食は一昔前だとカンパンなのですが、今はかなり違って色々な美味しいレトルトや缶詰が浮かびます。
その想像のままにどういう感じか、自分が冒険者と想像してみると中々不思議な感じ。
リュックを背負って木刀を腰に刺した男がそれほど丈夫な感じに見えないスプーンの様なもので缶詰を歩きながら食べている感じ。
そんな図を想像してしまって、ふふっと苦笑い。
そもそも、食事ぐらい座ってゆっくりすればいいハズで、立って歩いたまま食事をする必要などありません。
変な想像をしてしまった自分がちょっと面白くはありましたが、本題はそこではありません。
「何処なら売っている?」
今日のお昼をそれにしてみようかと思ったので、聞いてみると、
「多分ギルドでしょう。北のダンジョン入り口付近にあると思いますよ」
いつもの所の模様。
「じゃあ、それを買いながら今日も木刀作りかな」
「お昼はそうなると質素ですね?」
「まぁ、色々と試してみよう?」
「そうですねぇ」
ちょっと精霊はしょんぼりとしているような感じですが、そこまで保存食に期待もしていなければ絶望もしていない自分としてはまあ何とも言えない感じ。
作りかけの木刀が丁度ないので、玄関に木材を置いてお金をポケットに入れて北の方へ。
ギルドの入り口付近いつも通りのにぎやかな感じ。
キョロキョロと保存食を売っているお店を探してみるのですが、おいしそうな料理屋はあれど、目的のお店がありません。
流石に人が一杯いるので、声を出して精霊に聞くことも出来ずに少し迷っていると、
「おや、今日はどうした?今日こそ買い取りかい?」
この間のダンジョン肉を売っていた場所を教えてくれた人が声を掛けてくれました。
「ああ、この間はありがとうございます。今日はちょっと保存食を見てみたく来たのですが、見つからなくて」
「保存食ぅ?なかなか慎重なやつだが珍しいな?」
結構な声で言われたので、周りも一瞬視線を向けてきましたが保存食の話だと分かったのか、すぐにまた興味も無くなった様子。
「珍しいですか?」
「ああ。ここのダンジョンは階層ごとに階段と転送装置が用意されているからなぁ。不慮の事故に備えての保存食を買うやつはかなり少ないだろう?」
だろうと言われても、ダンジョンに潜ったことも無いので返事も難しい所。
「でも、ちょっと興味がありまして」
興味は実際あるので間違ってはいないはず。
「そうか。だったらこっちだな」
そう言われてついて行くと、そこはギルドの売り場。
「お客さんだ」
それだけ言うと、片手をあげて”後は頼む”と言ってどうやら案内は終った様子。
「いらっしゃいませぇ」
口調はちょっとゆっくりめのおっとりした感じの職員さんが。
「あの、保存食が欲しいのですが」
「保存食ですかぁ」
おっとりな口調とは裏腹に手早い動きで棚から出されたのは……ビーフジャーキー?
「えぇぇと、こちらがぁ保存食になりますねぇ」
「干し肉ですか?」
「そぉですねぇ。一応ぉダンジョン肉をぉ干したりぃ、燻製にしたりぃしたものですねぇ」
見た感じは両親がお酒のつまみでよく食べていたソレ。
「とりあえず種類があるのでしたら、何種類か貰えますか?」
「はいぃぃ。えっとぉこっちが干したものでぇこっちが燻製にしたものですねぇ」
色合いが若干違うので燻製の方はすこし黒さが強い感じ。
買い方が分かっていなかったので、確認すると量り売りで買えるとの事。
いつの間にか出ていた計りに紙袋を置いて、どばっと入れていくのを何もせず見ていると、
「大体五百グラムでぇ銀貨一枚ですけどぉ?」
「では、それで。両方下さい」
「わかりましたぁ」
味が分からないので何ともですが、確かビーフジャーキーだと百グラムでも千円ぐらいしたはず。そう考えると五倍で千円はかなり安い気がします。
おつまみ感覚で食べられるとすれば十分嬉しいものなので、銀貨を二枚で購入を済ませると、
「まいどぉありがとぉございましたぁ」
「こちらこそありがとうございます」
「またぁご入用でしたらぁどうぞぉお越しくださいぃ」
少しだけ間延びするような声を背中に、ギルドを出るととりあえず家に行って木材確保から。
そして買ったばかりの干し肉も味を確認してみたいので、両方持っていきたいところ。
家に着くとすぐに手を洗って、厨房に。
ラップを敷いて二つに分けて、一つのラップに大体百グラム程度。それを干し肉と燻製と二種類用意したら一応飲み物の準備も。
前と一緒で風呂敷リュックの状態で持っていくことに。
「今日は早いね?」
南の扉の辺りではいつもの門番さんに遭遇。
「休日なので」
「そりゃぁいい。いつも通りだろうけど、気を付けて」
「はい。ありがとうございます」
にっこりとわらいながら扉を開けてもらって、いつもの草原へ。
今日は木の加工からなのでちょっと気合を入れてやる感じ。
ただ、四本目ぐらいなので多少の慣れも。
あまり迷う事無く、意外とサクサクと木刀の形に。
「雅、そろそろ休憩しては?」
タイミングを丁度見ていたのか、精霊が声を掛けてきました。
「そうだね。早速食べてみようか」
買ったばかりの保存食。勿論味も気になります。
「はい」
まずは普通の干し肉の方から。
「結構、辛いね?」
塩がかなり効いている感じ。不味いという程ではありませんが、うーんという所。
「結構しょっぱいです」
ただ、加工すれば悪くないかなと思う程度には何とかなりそう。
次に、燻製の方。最初の干し肉の味とあまり変わらない気がして、小さめを口に入れてみたのですが、
「おや、これはイケますね?」
「うん、イケるね?」
燻製の方は香りが付いているおかげなのか、若干塩味も薄く感じ中々いい感じ。
燻製の香りは多分何かしらの木の香りだと思うのですが、それが結構優しい感じでかなり美味しい。
「これ結構美味しいですけど、雅は作れるのです?」
「ジャーキーを?」
ジャーキーは何度かマスターが作っていたので、作れるはず。
意外と手順は簡単で。
まずは赤身のお肉の準備。その肉を薄くスライス。(もし包丁があまり切れない場合などは一度冷凍して半解凍ぐらいをスライスすると肉に硬さがあるので薄く切りやすくなります。)
次にスライスした肉を醤油、酒、砂糖、塩などを混ぜた液に一時間前後漬けます。
しっかりと漬け込みたい場合は一晩でオッケー。冷蔵庫で保存すれば大丈夫。
漬け終わったら、水分をふき取りながら一度肉を乾燥させます。それも大体一日位。勿論日陰で、ネットなどで全体的に風通しのいい場所で乾燥をしっかりとさせて、生の部分が無いようにします。
乾燥したモノを燻製機で五十℃以上八十℃未満、一時間以上しっかりと燻製すれば出来上がり。
ただ、時短でやりたいときはかなり色々と省くので漬け込む時間は一時間前後。そしてその後軽く乾燥させるところもすっ飛ばして、オーブンで水分を抜く感じに。
あまり高温ではない中温程度のオーブンでしっかりと中まで火を通したいので最低でも五十分程。保存するときはしっかり冷ましてから。
これで美味しいビールのつまみになると結構マスターに作ってもらっている両親だったことを思い出します。
そして、乾燥ってもしかしたら風の魔法で上手い事出来るのではという気づきも。
「後で確認してみるか」
質素だけど、結構美味しい燻製のお肉を齧るそんなお昼を草原でゆっくりと過ごす休日。
齧った肉のじわっと来る塩味と燻製のいい香りがなんとも言えません。
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