ピザ
次話が短くなっているので連投させていただきます
いつも読んでいただきありがとうございます
ゆっくりと起きて大きな伸びをして、少しばかりあくびをして目が覚めます。
そのまますぐに洗面所に行っていつもであれば顔を洗うのですが、今日は折角なので水浴び。こっちの方がシャキッと目が覚めます。
といってもお湯なので、寒くなる事も無く。
バスタブに入る事は無いのですが、全身をまるっとお湯に浸かれるので気分としてはお風呂にはいっているのと変わりなく。
「ふぅ、さっぱりしたー」
今朝もゆっくりできたので、さてどうしようかと色々と考えて調理場へ。そして何気なく時計を見ると、十時過ぎ。
「え!?」
目覚ましの音を聞き逃した記憶は無く、そして最終ラインの精霊も姿を見せません。
「えぇ!?」
時間は十時過ぎとなると、あと一時間ちょっとしか仕込む時間もありません。
一言ぐらい精霊に文句を言いたくなりますが、言って時間が戻るわけもないので、頭を必死に働かせることに。
「えーっと、何作る?何ならコレから作って間に合うかな……えーっと……」
朝ごはんも食べていないので大した思い付きも無く。
少し時間が経った頃に、精霊が起きたようで、
「おはよーございますぅぅ」
とても眠そうな声で精霊が挨拶をしてきます。
「ああ、うん。おはよう」
色々と考えてはいるのですが、やっぱりこれと言っていい思い付きは無いまま。
そして僕の焦りを感じたのか精霊が言います。
「何をそんなに焦っているのです?」
「いや、時間が時間で何も思い付いていなくて」
あれから五分は経ってしまっているので、もう本当に時間はありそうにありません。
「今日もお昼が必要でしたっけ?」
「今日も?」
「ええ。今日と明日は休養日だと思っていたのですが」
休養日?
こっちの世界には曜日のようなものは無かったのですが、五日働くと二日休むという感覚でがーさんからもこっちに来てからお休みを頂いていたので、そうなると今日は六日目?
「忘れていた」
完全に頭からすっぽ抜けていたようで、冷静になってみると昨日、明日は休みだからと目覚ましを止めていたのも思い出します。
「それで焦っていたのですか?」
「そう。焦ったわー。良かったー」
焦りが杞憂になって、大きなため息。一安心したら朝ごはんを食べていなかったのでお腹も減ってきます。
「ゆっくり朝ごはん食べよう?精霊はどうする?」
声を掛けると、精霊があまり見たことのない色に。
「どうかしたの?精霊、なんか変な色になっているけど?」
確認してみると、返事がありません。
「あー、起きたばかりで申し訳ないけど今日手伝うから大人数のお昼お願いできる?本当に申し訳ないんだけど……」
精霊から聞こえるのはがーさんの声。
「え、えぇと何が?」
「昨日のさんまのおにぎりのお土産がかなり功を奏したようでね。色々なところから来てみたいという話が出てね。いきなりは無理だと言っていたのだが、どうにもしびれを切らせてしまったようで……」
「この後大挙してくるという事で?」
「……まぁ。概ねその解釈で」
一周回って、スタートに戻った感じですね。今から大人数の料理をですか。
「そもそもがうちのお店にそんな人数入らない気がしますが?」
一応確認をしてみると、
「それは大丈夫。自動拡張が働くからいくらでも入る」
なんだそれという機能がどうやらこの家には付いているようです。
「そうなると、皆さんで食べられる料理って事ですよね?」
「だねぇ。なにかある?」
「時間があればパーティー料理の様な何かは作れますけど、いきなりだと流石に」
「だよねぇ。マスターだとこういう時はどうする?」
「マスターだったら、ひたすら作りそうですね。無言で」
「アレは怖いよね。そうか。ちょっと待っていて!」
がーさんはそれだけ言うと電話を切ったようで、
「がーさんもいきなりで困りますよね。雅はまだ朝食も済ませていないのに」
僕を思ってか、自分の朝食の心配か。精霊に戻ったようです。
ただ、問題の先送り。この後大挙してお客さんが来ることには変わり在りません。
「大人数の料理かぁ。打ち上げの時だとああ、唐揚げとか取り分けて食べるチャーハンとかああいう感じかな」
中華が最初に思い付きました。
和食で大人数だとやっぱりコースというか正月の感じ。あとはお盆の時のじーちゃんやばーちゃんの感じ。
洋食だと、パスタにスープ。あとピザ!ただ、ピザ生地が今からだとどうしても時間が足りない感じ。地球であればピザ生地が売っているのでもしかしたらとは思いますが、多分冷蔵庫も市販品はあまり置いていないのでちょっと厳しそう。
そんな感じで色々と悩んでいたのですが、その悩みを飛ばすような感じで玄関の開く音。
「お待たせ!」
そう言って入って来たのは勿論がーさん。
「いやぁすまないね。とりあえずこれ食べて話を聞いて?」
その手にはお稲荷さんとかんぴょう巻。
「あの、これは?」
「まあいいから。食べながら話を聞いて?」
いつもの癖でおしぼりを三人分出して、一応お水も。
がーさんが持ってきたお土産を真ん中に客席に自分とがーさん、少し浮いて精霊がとどまって、話を聞く感じに。
「ささ、食べていていいからね。それで、何処まで話したっけ?」
「まだ何も話していませんよ?」
精霊がそう言うと、ニヘラとがーさんが笑って言います。
「この後ピザを頼める?勿論ある程度手伝うからね?」
「生地はどうしても発酵の時間がかかるので僕もさっき思い付いたのですが、無しにしたのですよ」
「そこはほら、僕がどうにかするって事で。それとこれを」
そう言って取り出したのはすでにスライスをある程度すませて下処理の終っているピザの具の数々。
「これは?」
「ちょっと手伝ってもらった」
パッと見ても分かる、かなり丁寧な仕事。特徴が無いのが特徴で、僕はこれをやった人が誰だかある程度思い至ります。何故って、ここにあるお稲荷さんやかんぴょう巻の味も知っているそれだから。
「分かりました。勿体ないですけどぱぱっと食べて作るとしましょうか」
作るのはピザ生地。
発酵はどうにかするとがーさんが言ってくれているので任せることにしてとりあえずやりますか。
使う粉は二種類で、強力粉と薄力粉。それとドライイーストに少量の塩、オリーブオイル。
これを粉の半分量のぬるま湯で纏めます。
表面が滑らかになるまでしっかりとまとめて、生地を少し打ちつけながら丸めるのを数回やったら濡れ布巾をかけて一時間から二時間ほど一次発酵を促すのですが、今日はそんな時間が無いのですが……。
「お?そろそろかい?」
がーさんを見ると、二度ほど頷いてボウルを手に取って……。
それはこっちの世界に来るときに見た不思議な空間で、そこへボウルをがーさんは入れて、すぐにとりだしました。
「はい、どうぞ。確認してみて」
ボウルを受け取ってすぐに分かるのは、濡れ布巾が少し乾燥し始めている事。
布巾を取ると、中にはしっかりと発酵したピザ生地が。
どういう事かは分かりませんが、今の一瞬で二時間をすっ飛ばしてくれたのはよくわかります。
発酵して膨らんでいる生地のガスを抜きながら、大体四等分にしてもう一度濡れ布巾をかけて、二度目の発酵を促したら生地は出来あがり。二次発酵の三十分もほんの一瞬で。
「ね?役に立ったでしょ?」
役に立つのは凄いのですが、なんかすごく勿体ない使い方の様な気もしますが時間が無い今はかなり嬉しい話。
「とりあえずコレをあと五回はやらないとですかね」
がーさんを含めると七人。抜いても六人の知人や家族が来るはず。作り過ぎぐらいが丁度いいハズ。
休日なのに、いつもよりも激しいお昼前を過ごしています。
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