焼きさんま定食
昨日はゆっくり出来たので、今朝はしっかり早起きから。
あの後お風呂や素振りを色々とまぜこぜとしながらもいつもの時間に寝ることが出来たので今朝はかなりシャキッと起きられました。
顔を洗って、歯を磨いたら準備を整えて軽くランニング。
ただし今日は少しだけコース変更。最初に南の方へ少しずれてスタートすることに。
ぐるりと街を一周するとちょうどゴールがパンを買う所。
「今日は二つ貰えますか?」
「はいよ、いつもありがとうね」
美味しいので今日もいつものパンを買って、そのまま今日は家へ戻れます。
「ただいま」
「おかえりなさい」
起きてすぐの行ってきますは大きな声では言わなかったのもあって反応はありませんでしたが、帰ってきてすぐのただいまには精霊の声が返ってきます。
「走って来たのですね」
「うん。ついでに朝ごはんもこの通り」
二個のサンドウィッチをそのまま出します。
「朝から美味しそうです」
寝起き直ぐのような感じの精霊も起きていたのか、しっかり食べられる様子。
ただ絶対に食べられるというわけでもないのか、精霊はパンをいつもの様に半分に切って欲しいと言ってきたので、いつも通りにカットを。
僕は食べきれる自信もあるのでそのままがぶりとかじりつく感じ。
精霊はいつもの様にお皿に置かれたサンドウィッチを音も無く食べています。
「手づかみでこうやって食べると美味しいけど、やってみる?」
「手づかみということはこんな感じですか?」
パッと見る感じはスーパーボールの横にサンドウィッチが浮いている感じ。
「そそ、そのまま口に?口ってどこ?そういえば」
目も鼻も口もそういえばあって無いような感じ。
「その辺りは時間のある時に話すので。私自身が目であり鼻でもあり口でもあります」
そう言われてもやっぱりわかりませんが、持っているサンドウィッチを球体に持っていくとそのまま消える感じ。
「んー、それほど変わりませんね?」
「そっか」
自分としてはお皿に乗っているパンをナイフとフォークで食べるのと、片手掴みでたべるのでは全く別。気分の違いが分かってもらえると思っていたのですが、そう簡単にはいかなかった模様。
「あ、でもコレは箸の練習と一緒でいい練習にはなりそうです」
「それはよかった」
練習を重ねれば色々と出来るようにもなると思うので、悪いことはありません。
ご飯を済ませたら、一度汗をしっかり流してお昼ご飯を考えるとしましょうか。
「今日、なにつくろう」
昨日はご飯の炊き忘れがあって麺類になってしまったので、出来れば今日はリベンジがてらご飯にしたいところ。
そしてご飯にすることが出来れば、昨日作った五目煮豆やきんぴらごぼうが出ても違和感はありません。
「流石にぶり大根は自分たちで食べた方がいいもんなぁ」
一日経ってかなり染み込みもいいので美味しいのですが、一応魚。人によっては二日目こそ煮物は美味しいという人もいるので、欲しいという人だけに出す形にすればこの残りの量でも大丈夫、かな?
そんな考えで形が決まってくると、欲しいものはあとメインと汁ものだけ。
「忘れないうちにまず、ご飯の準備をするか」
昨日のミスをもう一度としないためにも、時間はたっぷりあるのですがご飯の支度から。
その作業をしながら、汁物を考えているのですが副菜が結構あるので、それに合う味噌汁。
そもそも味噌汁自体がかなりの種類があるのでその中から選ぶ感じ。
「今の所タンパク質が少な目だから豆腐はいれたいかなぁ」
他にも入れた方がよさそうな具材はなにかないかな、と冷蔵庫をあけてみると準備完了、待っていましたという感じに凄く自己主張してくる具材が一つ。
「なめこと豆腐。これでいいか」
そう、みつけたのはなめこ。これでお味噌汁も具材が決まったのであとはメイン。
頭の中で今日出すものを配置していきます。
えーっと、ご飯とお味噌汁が手前にあって……、欲しい人だけ出す予定のぶり大根を左上の方、その横はメインだから今は決まっていなくて、きんぴらごぼうは右上の方でその少し下の辺りに五目煮豆を置いて……。
ぽっかりと空いたところに何を入れるか。
細長い感じで、メインを張れるもの。
「箸の練習にはなりそうだなぁ」
思い浮かんだのは時期がちょっと微妙な気がしますが、手に入るはずのもの。
そういえば、こっちの世界に四季ってあるのか?
思考はそのまま少し飛んで、疑問を浮かべます。
「また、箸の練習ですか?」
僕の言葉を拾ったのか、精霊が聞いてきます。
「あー、そういう風になる様な食材にしようかなって」
「そんな面倒な食材があるのですか?」
「うん、まぁ一応?というか今疑問におもったところなのだけど、こっちは四季ってあるの?」
早速生き字引みたいなのに聞いてみることに。
「四季ですか。勿論ありますよ」
「あるんだ。じゃあ、雪が降る事も?」
「ええ。これから夏ですので丁度反対の時期ですけどね」
今のを聞く限り、地球とそれほどズレはなさそうな感じ。今日の食材は少し時期が早い気がしますが、まあ誤差の範囲かな。
「それで、今日のメインの食材は何に?」
「ああ。サンマの塩焼きにしようかなって」
「サンマの塩焼き?ですか。…………ほほぅ。お魚ですね」
どうやら知らずに調べた様子。
「そそ。箸の練習に良さそうでしょ?丸ごと食べると流石に大変だろうし」
と話していてどうするかと少し悩むことが。
グリルで焼くのはかなり美味しく悪くないのですが、折角美味しいものを食べるのであれば、多分ここの奥にアレがあるはず……。
「あった」
見つけたのは七輪。都合よく隣には炭も置いてあります。
「精霊、こういうのでいきなり焼き始めたらやっぱりまずいよね?」
聞いてみると、
「多分問題ないかと。ここはそれほど認識が簡単にできる様にはなっていないので、家の前で問題ないかと思いますよ」
言われてみると、家を出てすぐは人に合う事は一度も無く。大通りに出れば人とすれ違う事も多々ありますが、ここに帰るときに路地に入ってから人とすれ違った記憶はありません。
「認識阻害みたいな魔法もかかっているの?」
「多分。まぁがーさんが勝手にやっている事なので、それはいいとして。焼くのですか?」
精霊の興味は食事の方に向いているようで話は終わり。
「準備して焼こうか」
七輪の準備も必要ですが、先にご飯をしっかりと炊き始めて他にもある程度色々と終らせてからでないとお昼に間に合わなくなりそう。
そして大事なサンマの準備。
包丁の背などを使って鱗を優しく取ったら、片栗粉と塩を入れたちょっとだけとろみのある水を使って綺麗に一度洗います。
洗い終わったら塩を全体に振りかけて、五~十分前後置くと余計な水分が出て来るのでそれをしっかりと拭います。
これでサンマの準備は完了。
七輪に炭を入れて、火を付けてまずは火力を一定に。
「これで焼くのですか?」
家の前に七輪を置くと精霊が聞いてきます。
「そうだよ。魚用で四角いのは珍しい?」
「いえ、七輪が珍しいのですが」
いつも調理場で作っているのでこれも珍しいように見える訳ですね。
七輪も準備が終ったら、あとは時間を合わせる感じ。
皆さんが来るのは大体四十五分過ぎなので、三十分から焼き始めれば丁度いい感じかな?
他の準備を先にして、サンマを焼き始めます。
皮はパリッと、油がたまにしたたり落ちて少し火が強くなったりしますが、それがまた更に美味さを引き立てる香りを呼びます。
焼き始めて少し経つと、皆さんが。
「おっ?おおぉ?それ、今日のランチ?」
右手で指をさしながら、喜んでいるような顔をして近づいてくるのは風のと呼ばれたこの間の人。
「ええ。焼きさんま定食ってところですかね」
「今日のランチもおいしそうだねぇ」
いつの間にか後ろにがーさんが。今日のランチを聞いてニコニコしています。
「焼き終わってからでも大丈夫ですか?」
気が付けば皆さん揃って、この光景を楽しんでみてくれています。
「お腹が減るいい香り」
お昼はやっぱり忙しくなりそうです。
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