あんかけ焼きそば
ゆっくりと朝ごはんを済ませていたら、結構いい時間。
そろそろお昼を決めて作り始めないといけないのですが……。
「お腹いっぱいで、頭が働かない」
食べたい物を食べて作りたい物を作り、お叱りまでと朝から色々イベント尽くしだったので、食後のコーヒーを飲んでいるのですが何も浮かばず。
うーん、と唸っても出るのは声だけでこれといったなにかが出て来ることはありません。
「焦っても仕方ないけど、どうするかな」
時間的にご飯ものにするにはギリギリ。
今からパン系をお願いするには遅すぎなので、選べるのは麺。
「昨日も麺だったっけ」
パスタを出したので、今日もパスタは自分的にも無しの方向。
一人で悩んでもどうにもならないときは、人に相談。
「精霊、何か食べたい物ある?」
「私ですか?そうですね、昨日のナゲットはよかったですね。色々と食べられたお子様ランチでしたっけ、アレがまた食べたいですけど時間は無いですよね?」
今からお子様ランチは無理だろう。
それを分かって言ってくれているので、それは無理と首を横に振ります。
ただ、人の意見はやはり重要。
色々と食べられるもの。
ぱっと今、一番に思い浮かんだのは色々の代表格の様な一品、八宝菜。
色々な野菜、肉などが一気に食べられる一品。昨日も野菜は少な目に感じるものだった気がするので、これはアリ。
ご飯を炊いて、今からやると何とかギリギリかな?
「よし、とりあえず作るか」
八宝菜は八つの具材という事ではなくて、確か沢山のという意味だった気がするので、あれやこれやと色々と入れて大丈夫なはず。
白菜、タマネギ、ニンジン、シイタケ、キクラゲ、エビやイカなどの海鮮、ウズラの卵に豚肉等。
ちょっと時間のかかりそうなウズラの卵をまずは茹でる所から。
水にウズラの卵を入れて火にかけたら、次は野菜。
大体同じぐらいの一口サイズに切りそろえて、エビは殻を剥いて尾っぽも取り外して背ワタを抜いて食べやすい大きさに、イカは飾り包丁を。
最後にお肉も野菜と同じぐらいの大きさにそろえたら、後は作るだけ。
と、なるはずだったのですが……。
自分でやらないといけないと、覚えていたはずなのですが忘れていた手順が一つ。
「……ご飯炊き忘れた」
八宝菜にご飯そしてスープの予定だったのですが、今からはギリギリ微妙なところ。
スープは時間をかけずにさっと作れるので問題はないのですが、ご飯は流石にすぐに炊くという事は難しい所。
どうにかリカバリーをしないといけません。
時計を見ても秒針が戻ってくれる事は無く、具材の準備も済んでいるのでこのまますべて使えるランチ。
冷蔵庫にもしかしたら目当てのモノがあるかもしれないと、急いで開けるそこには欲しいものが。
「これなら、間に合うかな」
八宝菜は具材をそのままに、見つけたのは焼きそばの麺。
「おや、何か作り替えるのです?」
精霊が聞いてきます。
「うん、ご飯炊くの忘れちゃって」
「それも美味しそうですよ?」
「それならよかった」
少し時間が経てばお客さんの来る時間。
スパートをかけるとしましょうか。
ウズラの卵は茹で上がったら殻を剥いて、準備完了。
焼きそばの麺をまずは一度レンジで温めて、ちょっと一工夫。
温まった麺をボウルに入れて、醤油、ゴマ油、溶き卵を少々入れて全体を混ぜたら麺の準備も完了。
後はこれをフライパンでパリッと焼き上げるだけ。少量の卵がいい感じに繋ぎにもなり、醤油も入っているので麺だけでも味がしっかりあるので、上の具の味が若干薄目でも問題はありません。
そして、その上の具を先に作ることに。
少量の油を敷いて、タマネギと豚肉をまず火を通して、ニンジン、シイタケと火の通りにくいものから入れて、次に海鮮。エビとイカは入れたらわざとそこへお酒をかけて殆どない臭み飛ばし。最後に白菜ときくらげを入れて、後は味付け。
鶏ガラスープを入れて、オイスターソース、醤油、塩、コショウで味を決めます。もし入れるのであれば、隠し味は砂糖。これが入ると一体感が少しだけ増すような、増さないような?隠し味なので効果のほどは各自で感じてください。
後は水溶き片栗粉でとろみをつけて、餡の完成。
「こんにちはー」
餡が丁度完成したあたりで、玄関から声が。
「こんにちは、いらっしゃい」
「今日も頼むね」
がーさんはニヤリと笑って客席へ。
いつも通りのお水におしぼりを出して、厨房に戻るとまた忘れていたことを思い出します。
「スープ、ないじゃん」
餡は出来ているので、あとは麺を焼くだけ。
その横ですぐにスープを作るのですが、シンプルにさっと作れるものにしましょう。
その方法はいたって簡単。
餡にもつかった鶏ガラスープをまず用意して、お鍋で温めます。そこへ塩とコショウで味を付けて、コーンの缶詰を開けてコーンを入れます。
本音を言えば、ちょっとだけ水溶き片栗粉でとろみをつけてそこへ卵を落として卵とコーンのスープにしたいのですが、人間の手は二本。
あれもこれも同時には出来ません。
今日のスープはシンプルなコーンの中華スープという事にさせてもらいます。
パリッと焼けた麺に出来立ての餡を掛けるといい音と白い湯気と共に美味しそうな香りがたちます。
「おお、今日はあんかけ焼きそばなんだね。よし、いただきます」
客席にサーブをすると皆さんが順に食べていくのでほっと一安心。
全員分出し終えて、厨房に戻ると精霊が出てきます。
「あー、もうちょっと後でも大丈夫?お昼」
お昼の催促かと思って言ったのですが、
「気にしないでいいですよ。昨日遅かったからなのかよくわかりませんが、珍しいですね?あれやこれやと忘れるなんて」
思っていたのと違う事を聞かれます。
「いやぁ、多分時間に焦って。よく言われるけど、焦りは禁物って本当だね」
まさにこの一言。
「でも、何とかなりましたか?」
「多分?」
お客さんに待たせることなく、今日のランチを出せたので自分としてはギリギリセーフ。
マスターに何か言われるかなと少しだけ想像をしたのですが、多分あの人は何も言わない気がします。いや、もし言葉をかけてくれるのであれば“よくやったのでは?”と言われそうな感じ。
「まだお客さんがいるけど、終ったと思ったら一気に気が抜けたかも。ふぅー、良かった」
「ここにお昼を待っているのが居るのを無視するつもりですか?」
「お客さんが帰ったらね?」
何とか今日のお昼を乗り切れました。
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