グラノーラ
「いやぁ、今日も美味しかったよ。今週もこれから楽しみだ」
がーさんがそう言うと皆さんも頷いてくれます。
「そう言ってもらえると嬉しいです」
心の底からこういう小さな自信が付く一言は本当に嬉しいものです。
「明日はどんなメニューになるんですか?」
女性の一人が聞いてきました。
「明日、ですか?」
明日は、何にしようかと少しだけ考える様につぶやきます。
「もしかして?」
僕の返事を聞いて、眉を顰めます。
「毎回考えているわけではないのですか?」
「え、ええ。例えば今の皆さんの状態で、夜は何を作ろうとか食べようとはあまり考えないですよね?」
皆さん共にお腹いっぱいと言ってくれていたので、確認を取るように聞いてみます。
「確かに、今の今から考えるのはあまりないが……」
「それに、ここの厨房にはほぼ何でも作れる材料がありますから。まあ、下準備が大変なモノや煮込み料理で時間がかかるものだったら結構早めに始めないといけませんけどね」
この前作ったカレーの様にすぐに食べるタイプはいいけど、ビーフシチューの様なしっかり煮込む必要があるものは朝からでは間に合いません。
そして、僕にこの調理技術を教えてくれたマスターもいつもこんな感じに思いついたら作るタイプ。時間が無いときは時短テクニックを駆使して、あとは人数という名のマンパワーでお昼までに、いやお客さんが来て待たせなければ大丈夫という感じ。
「本当に凄い子を連れて来たんだね。がーさんは」
そう男性の方が言うと、がーさんはただ頷いてニヤリと笑うだけ。
「決まっていないのであれば、明日も楽しみにさせてもらうわ」
「分かりました。お口に合うように頑張りますね」
そう答えると、にっこり笑ってくれました。
「お疲れ様でした」
お客さんのお見送りを済ませて、厨房に戻ると精霊が声を掛けてきます。
「うん。ありがとう」
「それでですね、ええと、お昼をですね……」
ごにょごにょと口ごもるように精霊が言います。
「あんまりつまみ食いし過ぎないでね?」
少しだけ今日の焦りポイントがそう言えばありましたね。
「アレはですね、キュウリが美味しすぎるのが問題で、私のせいではっ」
「ん?」
言い訳をしているのですが、美味しかったと言われているようで嬉しいのですが、それとこれとは別。少しだけ怒りをにじませてみます。
「いえ、つまみ食いはほどほどにします」
「ん。よろしい」
学校の先生と生徒のような感じの空気が一瞬流れた気がしましたが気のせいでしょう。
ロールキャベツを二人で食べて、片付けをして。
とりあえず今日の業務をさっさと終える事に。
「今週も木刀作りですか?」
食事も終えて、いつもの所へ行くかどうするかを少し悩んでいると精霊が声を掛けてきました。
「かなぁ?なんだかんだと言いながらも魔力操作は結構上手くなっている気はするけど、精霊から見てどうなの?」
「かなり良くなっていると思いますよ?全体的に魔力も上がってきているようなので持続時間も増えているのを実感していると思いますし」
とりあえず今は三本目の木刀を製作中。あと木の端材で作れるのは五本程度。来週位には端材も無くなる計算です。
「偶に、魔力玉の操作訓練と素振りもちゃんとやってくださいね?」
あれは結構集中力と魔力を使うので、アレをやる日は逆に朝はランニングの方がいいかなぁ。今日はゆっくりと起きたので、明日は走るとすれば、うん、丁度いい。
「分かった。じゃあ明日は少し早く起きるかな」
「早く起きるという事は、あのサンドウィッチが?」
「はいはい。買ってくるよ。あー、そろそろまたコーンフレークも減っているし作らないといけないか」
ある程度は作り置いておけますが、そろそろストックも少ないので今日はこのままコーンフレークでも作ることに。
「そういえば、精霊?」
「なんでしょう?」
「グラノーラって作れるの?」
「グラノーラですね?少々お待ちください」
そう言うといつもの様にマウスポインタ状に精霊がなっているので待つことに。
「作れるみたいですよ?比較的簡単に」
「そうなのかぁ。折角だから、作ってみようか」
「新しい美味しいものですね?是非お願いします」
精霊に作り方を聞いてみると、コーンフレークとそれほど変わりが無いので、いきなりですが今日は魔法で作ってみることに。
「まずはミックスナッツや穀物を砕いてください」
言われるままに、ミックスナッツとカボチャの種、燕麦を適当に砕こうとしたのですが、ミックスナッツは分かるのですが、燕麦はそのままでも良さそうだったので、あまり小さくなりすぎない程度に。
「あとはコーンとの時とあまり変わりません。ここへ薄力粉、はちみつ、あと少量のお塩を入れたら、最後にオリーブオイルを入れて生地にしてください」
言われるままにやってみると、何となく頷ける感じに。
「あとはオーブンに入れて中までしっかりと火を通せば完成です」
「オーブン?コーンフレークはレンジでチンでも大丈夫だったよね?」
「ええと、オーブンで十五分程しっかりと中まで火を通さないといけないみたいですね」
これは予想外。コーンの時と変わらないという言葉を鵜呑みにし過ぎた自分のせいです。
「何か他に情報は?」
「あまり焦げる場合はアルミホイルなどで焦げないように火を上手く調節してくださいとなっていますね」
「アルミホイル……」
成功するかわかりませんが、コーンフレークの時と一緒で薄めに伸ばして、ホイルを被せてから上に火のブロックを置いてやってみることに。
火のブロックは火力もあるので結構魔力は取られます。
やっとの思いで一つだけ出来たのですが、かなりの量を今日は作るつもりだったので、明らかに具材が残ってしまう事に。
「オーブン使おう。何度の何分?」
「オーブンですと、170度で時間はさっきの通り十五分ですね」
「分かった。少し怠い……」
コーンフレークと似ているので簡単かと思っていたのですが、結構大変で。
でも魔法の練習にもこれもなるので、一つ勉強になった感じ。
「似ていてもやっぱり全然違うのかぁ。料理は奥が深いなぁ」
そんなことを実感する昼下がりでした。
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