ロールキャベツ
「今週も楽しませてもらうよ」
「こんにちは、いらっしゃい」
お昼前、大体いつも通りの時間にがーさんと六人がやってきました。
「懐かしいような香り?いや、でもあまり知らない香り?」
「そこで止まらず早く席へ行ってくれ」
玄関で立ち止まるとすぐに押されて奥へ。
「そうだぞ。二日は家のお昼で、あれはあれで悪くないがやはりここの昼飯が最高だという事が分かって……」
「いいから進む」
僕としてはゆっくり入ってきてくれている間に水とおしぼりの用意が出来たので大助かり。今日のランチは提供も簡単なので、厨房へすぐに戻ります。
「何が出るのか楽しみです」
「……(無言で頷く)」
いつもの調子で客席が賑わってきたので、早速提供をしましょう。
数時間前悩んでいたのは、キュウリのしぼり汁と種の部分。あとはキュウリの両端に大根の皮を出来れば無駄なく使う事。
ただ、それだけでは流石に難しいので、それは全て鍋の中へ。
さらにそこへ追加するのはニンジンの皮、セロリのスジ、セロリの葉っぱの部分。タマネギの皮、シイタケの石突の部分キャベツの芯などの捨てる部分。
すべてを一つの鍋に入れて後は水を入れて火にかけて。これである程度美味しいスープストックが出来る筈。
もちろん今、使った野菜は使います。
ニンジンも、セロリもシイタケもみじん切り。それもちょっと面倒ですが出来るだけ小さめに。そして、タマネギだけは薄切りとみじん切り。
薄切りは後で別で使います。
キャベツはたっぷりのお湯で下茹でを。ああ、これにお塩とごま油も美味しいんだよなぁと少しだけ意識が別へ飛びましたが、それはソレ。
豚のひき肉をボウルに準備したら、みじん切りの野菜をすべて入れてパン粉、牛乳、それに味付けで塩、コショウ。
豚のひき肉が粘り気を出してくれるので、しっかりと先に粘り気を出してから入れてもいいですし、適当に入れてしっかり混ぜても大丈夫。
これで肉種が出来たら、あとはキャベツで包むだけ。
「これは、ハンバーグではないのですか?」
精霊が見ていたようで、聞いてきました。
「似ているけど、ちょっと違うかな。焼かない分お肉は柔らかいからね」
「ほほぅ。お昼も楽しみなってきました」
「あ、浅漬け食べたでしょ!!」
スーパーボールのような形の精霊からぺろっと一枚キュウリがはみ出ています。
「な、何のことでしょう?」
それだけ言うのが精一杯のようで、キュウリが吸い込まれるように無くなると精霊は消えてしまいます。
肉種が丁度出来てキャベツでこれから包むタイミングなので手を洗うと二度手間というのもあって、いま浅漬けの量の確認は出来ないのでちょっとこの後が怖いのですが、仕方ない。
とりあえずは作ってそれからと頭を切り替えることに。
茹でたキャベツをまな板の上に置いて、肉種を乗せて芯の方からクルリと巻いて、そのまま次へ。一気にすべて巻いてしまいます。
巻き終えたら、手を洗ってあまり得意でない作業に。
パスタをつまようじ程の長さで折って、つまようじ代わりに。
全てにパスタを刺したら一段落。
冷蔵庫を開けて、浅漬けの量を確認することに。
「……まぁ、手加減はしてくれた感じはあるけど微妙かな」
少し量に不安が残りますが、最悪十分あれば出来るので調理続行。
鍋にキャベツ包みを敷いて、先に作り始めていたスープストックを濾しながら入れていきます。
これでしっかり煮込めば今日のメインのロールキャベツが出来ます。
ただ、ここからがちょっと普通のロールキャベツと違います。
一度沸騰させて、多少の灰汁を掬ったら用意するのは赤味噌。
味噌をしっかりと溶いて、しっかりと煮込んだら今度こそ完成です。
味噌を今日は一種類にしましたが、二種類や混合味噌を使うのも悪くありません。それに一人で面倒な時はスープストックも作れないので、普通にコンソメの素で代用。それでも家の味になるのがこの料理の面白い所。
味噌の種類によってはかなり甘くなってしまうので、塩やコショウで最後の味を整えるのはお好みで。
これでメインが出来たので、後はスープ。
スープストックがそのまま残っているので、コレをメインに。
薄切りにしたタマネギにバターを敷いたフライパンで飴色になるまでしっかり炒めてそれにスープストックを入れて、塩、コショウで味を付けるだけ。
文字で見ると滅茶苦茶簡単に見えますが、やってみると滅茶苦茶大変。
本当は中火よりも弱火でじっくりとなのですが、お昼前で時間も無いので、中火で焦がしつかないように手はシッカリと動かす形で。
最後に味を確認して、オニオンスープも完成です。
「お待たせしました、今日のランチはロールキャベツ定食ですね」
ロールキャベツは味噌味。オニオンスープはそのまま飲めるスープで、ご飯に浅漬け。
メインに汁物、ご飯に箸休め。これは定食といって問題ないハズ。
「どうぞごゆっくり」
サーブが終って、大きく一つ安堵の溜息。
というのも、やっぱり浅漬けの量が微妙で何とか七人分になったので良かった。
「あれ?私の分の浅漬けが……ない?」
その原因が自分の分が無いとこちらへ丁度やってくる模様。
「お昼の分だって言ったよね?」
「私の分が無いようですが?どういう事です?」
精霊は自分の分が無くて怒っているようです。
「そんなこと言うと、お昼抜きだよ?」
「それは、いけませんね。お客さんもいるのですし、私の事は後でいいのでは?」
お昼抜きは精霊にとって効果覿面のようで、手のひらをクルリとすぐに返したようです。
ぱっと消えてしまったので、もう一度溜息。
「雅君、ご飯のおかわりお願―い」
客席からの声で現実に戻されます。
「はーい」
大きな声で返事をして、お客さんのご飯をよそうとしましょう。
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
改めてありがとうございます
すぐに反映できるかは分かりませんが、なにか食材をコメントいただけましたら、その料理がそのうちに出させていただきたいのですが……。筆は遅いのであまり期待せずでよろしくお願いします。
毎日投稿頑張ります




