プチトマト&ツナグラタン
お昼の後に今日は話をしたのもあって、いつもよりは一時間程度遅い時間に。
「おわったー」
洗い物を済ませて、厨房を拭きあげて綺麗にしていきます。
シチューは少し残りましたが、そのままラップをかけて冷蔵庫へ。
「こんなところかな」
一段落という感じまで来られたので、先に質問をしてみます。
「精霊?いい?」
疑問形で声をかけると、そこに居たようでパッと出てきます。
「なんでしょう?」
「さっきの話、簡単に説明してもらえる?」
アレだけ驚かれれば、気になる話。
「……さっきの話?揚げパンが好きという事ですか?」
「あー、そっちじゃなくて」
「では、今日のシチューの話?」
「それでもなくて」
「何かありましたかね?」
精霊の頭の中はご飯で一杯なのかもしれませんが、聞きたい話は魔法の話。
「闇と光の魔法、かなり驚いていたじゃない?」
「あぁ。人間には難しいので驚いていたのでしょうね?」
さらっと言いました。
「人間には難しいの?」
「そうらしいです。詳しくは知りませんけど」
そう言われては、こちらとしても困るところ。
「どう、難しいとかは分かる?」
僕の言葉に、少しだけマウスポインターの様になりながらも考えてくれたのか、言葉をつなげてくれます。
「四属性は現象を知覚しやすいのだと思います。火、水、風、土と見ればすぐに分かるので。ですが、光や闇というのはそれの一つ上の概念を理解しないといけないみたいです」
「一つ上の概念?」
「詳しくは私の口からは言えないようです。本当にガーさんは全く、もーですね」
今の精霊のいい方から考えると、この間の混ぜるな危険に近い何か危ない事がここには含まれているのが分かります。
「でも、出来たよね?さっき」
「出来ましたね。こちらの世界では常識ではないかもしれませんが、雅の世界では光も闇もある程度解明されているのでしょう?そういった下地があったから出来たのでは?」
常識が違う前に世界が違う。
目の前で今話している精霊も地球には居なかった。魔法っていう概念もあちらにはなかった。世界が違えば常識も違うという事か。
「雅、出来ないより出来た方がいいのでそのぐらいの事です」
こともなげに精霊が言います。
「その程度?」
「その程度です。コレからいつもの練習をするのでしょう?草原の方で」
話を一気に変えるようなことを精霊が言います。
「うん、そうしようかなって思っている所」
「でしたら、この前の木刀作りをお願いします」
「木刀?この間一本作ったけど、またつくるって事?」
「はい。属性を足してみたり、長時間の魔力維持をしてみたり、あの作業は基礎訓練にはかなりいいと思います。体は普段動かしているので問題も無いと思いますし」
なるほど。素振りも悪くないけど、集中して作る作業というのもいいモノです。
「ん。分かった。木の残りは結構あるし、アレをとりあえず全部木刀にしてみますか」
パッと思い出すだけでも七本以上は作れそう。この前と違い、かなりばらけているのでその木を木刀に作り替えるだけ。
一本だけ木をもって、家を出ていつもの草原へ。
この前やった事と同じ事をするだけなので、悩むことなく大まかな木刀の形へまずは整えます。
ですが、少し出発が遅れたのもあって、やすりで綺麗に整える前に日が傾いてきたので、今日はここまで。
「んー、時間が過ぎるの早いなー」
持ち手の部分は結構滑らかになっているので持って来た時よりはかなり持ちやすくなっています。出来たばかりのそれをもって、南の扉へ。
時間もある程度遅くなってしまったので、南の扉の先街は夜の顔へ。
お店も客引きをしているので、かなり賑やか。屋台から香る香辛料の香りや揚げたての香りが胃を刺激してきます。つい、キョロキョロと見てはいるのですが、仕事終わりの一杯を楽しむ人たち。豆や煮込みなどのつまみを口に入れて、ビールの様なもので流し込む様はお酒が飲めない自分でも美味しそうに見えます。
「お腹減って来たな……」
急いでいるわけではないのに、帰り道の足は早くなっていきました。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
精霊の声が聞こえて、家に帰って来たのを実感します。
「夜の屋台は美味しそうなものが一杯でしたね。お腹が減りました」
どうやら近くにいたようで、同じ光景を見ていたのでしょう。
「うん。急いで夕飯何か作ろう」
「なるはやでお願いします」
言われなくても、僕もお腹が減っています。
時間をかけず、とりあえず食べたい。
父や母がお酒を飲むときに作っていた一品がすぐに思い浮かびました。
「メインは後で、すぐに食べられるのでいいよね?」
「勿論です」
手を洗って厨房へ。
お昼に使った耐熱のグラタン皿をすぐに置いて、使う食材は三つ。
プチトマトを取り出して、ヘタを取って半分に。一人で食べるのであればこれでいいのですが、二人で分ける予定なので、さらに半分の四等分に。
そこへ軽く塩と胡椒を振って、次はツナ缶。
開けたら、オイルをそのままプチトマトへ満遍なくかけます。
ツナはほぐれているものであればそのまま全体へ。塊がごろっとしているものは少し小さくして、ばらばらとプチトマトの上へ。
最後にピザチーズをかけて後はオーブントースターでチーズがしっかり溶けるまで温めるだけ。
お昼同様、容器はかなり熱くなるので、出来立ては気をつけて持ってお皿に。
「出来たよー」
出来立てを二人分、皿に分けてすぐに食べることに。
ツナの味、トマトの酸味、チーズの塩味とかなり熱いのですがしっかりとした味で手は止まりません。
「いい味ですね」
「だね」
ある程度食べ進めると、
「雅、まだコッペパンがあるのでしたら揚げパンをまたお願いします」
精霊からの注文が。
「いや、アレ僕の分だから」
「でも、二本残っていますよね?私が一本の、雅が一本」
両方自分のつもりでしたが、精霊の目には自分の物と見えているようです。
「あまり甘いものばかりはよくないと思うけど?」
「気になりませんので問題ありません」
どうやら気にもならない模様。
この後に揚げパンを作り直して、夕飯はなんとも甘い香りのまま。
少しだけ片付けが面倒な一日でした。
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