バナナパンケーキ
「今日は何かな?」
そんな声を掛けながらいつもの様に六人が来店。
「こんにちは、いらっしゃい」
あちらのお店を踏襲してのセリフを言うと、ガーさんはニヤリとしてくれます。
席に案内をして、おしぼりやお水を提供したら、今日は先にこちらから。
「少し、出すのに時間がかかるのでもし必要でしたら飲み物を先にご用意しますが?」
品数もあるので、すぐには出来ない事とちょっとした空気も楽しんでほしいのがあったので、聞いてみます。
「珍しいね?もしかしてランチに関係が?」
「そうですね。多少は」
「じゃあ、お勧めをお願いするよ。みんなもそれでいい?」
ガーさんの言葉に六人は頷いてくれます。
「かしこまりました」
出す飲み物はオレンジジュースとサイダー。それも、ちょっとレトロな感じを味わってもらいたいのでビンの物。更に、少しだけ小さく感じる昭和のガラスコップ。
人数も居るので、本来であれば確認をしておくところですがとりあえず五本ずつ。
「どうぞ、こちらを飲みながらお待ちください」
栓抜きとコップを先に置いて、後からビンを持っていくとガーさんだけが懐かしむような目。他の六人は少し不思議そうにビンを見ます。
「こっちの説明は僕がやっておくから。調理をお願いね」
ガーさんが後の説明を引き受けてくれたのでお願いして、僕は調理へ。
朝から準備をしっかりしているので、焦らなくても大丈夫なはず。
少し冷めても大丈夫なチキンライスとハンバーグを同時進行で先に作っていきます。
ハンバーグは両面を焼いて、お湯を入れてさらに蒸し焼き。中までちゃんと火を入れるので時間がかかります。
チキンライスは具材をしっかり炒め終っているので、フライパンにケチャップをたっぷりと入れてケチャップをしっかりと炒める事から。このケチャップをしっかり炒める事が旨味の上昇につながるので、自分としてはチキンライスのキモ。
ケチャップの量が半分程度まで減ったら、事前に炒めていた具材とご飯を一緒に炒め、最後に味見。少し薄い程度が今日はいいので、塩は少な目で。
パスタはまだ少し芯が残っているので、もう一度塩も入っているお湯で茹でなおし。
そのゆで汁を少量使い、事前に炒めたベーコンとしめじをフライパンで温めます。
アルデンテ辺りで麺をあげたら、具材と合わせて鍋肌から醤油、少量のバター。
一度煽って、味というよりは香り付けに鍋肌へもう一度醤油。これでパスタも完成です。
ハンバーグもそろそろ焼けるので、まずは盛りつけから。
エビフライも揚げたいところですが、意外と早く揚がるのでいったん後回し。
チキンライスをプリンの容器などでつかう型で円柱にしてお皿の左手前に乗せて、その後ろにはキャベツの千切りをちょっと多いと思う程度にたっぷりと。
少し大きめのサニーレタスをキャベツの右側の方に一枚だけ敷いて、その上にハンバーグを置いて、反対側にはこのあとエビフライが二尾ほど乗る予定。
右手前にはくるりとトングで巻いて高さを。具材もしっかりと見えるのでかなり見た感じも良し。
ハンバーグを作ったフライパンは少し焦げた肉やタマネギがあるので、そこへ赤ワイン、バター、ソース、ケチャップを入れてワインの酒精を飛ばしたらハンバーグソースの完成。
ただ、コレは好みがあるのでソース皿に個別で。
「さ、後はエビフライ」
八人分はやってみるとやはり結構大変。
置き方や皿の準備など先にかなりしっかりやっていたのですが、明らかに洗い物が溜まってきています。
エビフライは油に入れたら結構早く揚がるのですが、見極めが難しい所。
目で見てわかる部分は衣がいい色になって来たかどうか。衣の色が良さそうになったら次は音。入れてからの音は結構激しい音なのですが、火が通ってくると少し落ち着いてパチパチと小さくなります。
そのタイミングで油から揚げたら、バットで油を切ってエビフライも完成。
後はお皿にしっかりと二尾乗せて、二人分ずつ提供を。
「お待たせしました。本日のランチ、大人用お子様ランチです」
チキンライスに旗は乗っておらず、お皿は電車や車の形はしていません。
子供用のおもちゃなども付いてはいませんが、これは大人用のお子様ランチ。
「ジュースと一緒に、どうぞお楽しみください」
とりあえずお客さんに提供が出来たので急いで厨房へ。
精霊がいつも食べているところにお皿を置いて、呼びます。
「お待たせ、精霊。今日のランチだよ」
僕自身はこの後のもう一品があるので、ゆっくりできませんが精霊はソロソロ我慢のできない頃でしょう。
「これは?」
「お子様ランチ。小さい頃の夢のランチだよ」
「夢の、ランチですか?」
「そう。ハンバーグにエビフライ、チキンライスにパスタ。どれもこれもその日のメインになるものなのに、それが一つのお皿に一回で食べられるっていう、嬉しいランチ」
精霊は球体で目や口があるわけではないのでどういう表情なのかは分かりませんが、色を見る感じは喜んでいるような感じ。
「なるほど。ではゆっくり楽しませてもらいますね」
「あ、コレ、オレンジジュースも一緒にね」
ちょうど自分も喉が渇いていたので、オレンジジュースのビンを栓抜きで開けて二つのコップに注ぎ、自分の分はそのまま一気飲み。
「美味し」
ジュースを僕が飲む横で、精霊は「いただきます」と食べ始めました。
折角のお子様ランチなので、デザートも。
最初は結構凝った感じにプリンなどを考えていたのですが、朝から作るには時間も足りません。そこで思い出したのは簡単ですぐに作れるデザート。
と、その前に厨房はかなりやりっぱなしのものが多いので、大きいものだけは先に洗って片付けを。
大物の片付けが一段落したら先にホイップクリームだけを作りますか。
生クリームに砂糖を入れて、一滴程度香り付けのブランデーをいれたらハンドミキサーで泡立てれば、ホイップクリームの完成。後で添えるのを考えると少し固めに角がしっかり立つぐらいたてておきます。
次に使うのがメインの食材。バナナ、そして卵。
ボウルにバナナの皮を剥いて入れたら、フォークの背などでしっかりと潰します。全部バナナを潰したら、別の容器で割った卵を入れていきます。
ちょっとだけ楽をする為、ハンドミキサーをこっちでも使います。卵とバナナが綺麗にミックスしたら十分。
後はこれを焼くだけ。
フライパンに油を敷いて、ある程度丸く落としたら一分少々待って、フチが固くなって来たらフライ返しなどでひっくり返して反対側も焼くだけ。
とりあえず焼きたてを二枚お皿に盛って、クリームを脇に添えてクリームの上にはミントの葉を一枚。
「デザートの出来上がりっと」
バナナパンケーキのデザートも完成です。
「なにやら甘い香りがしますが?」
「精霊は……、もう食べ終わったんだね」
「ええ。一皿で色々な味わい。主役級が勢ぞろいですが、食べ合わせてみると色々な組み合わせもあって、コレは素晴らしいですね」
「楽しんでくれたならよかったよ。まぁ、こんな感じに大変だからコースはまだ難しそうっていうのも分かって貰えたかな?」
「ええ。よく分かりました。雅が色々出来るのだと」
あれ?思っていたのと違う答え。
「もっと色々と美味しいものをお願いします。あ、あと早速デザートも欲しいです」
どうやらウチの食いしん坊さんには思った通りには伝わらなかった模様。
「おーい」
客席からも声がかかります。
「はーい、今デザートをお持ちしますねー」
返事を一つして客席へ。
デザートを出せば、やっと一段落。
まだ気は抜けません。
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