担々麺
昨日はちょっと大変だった。
精霊と一緒に夕飯を食べているといきなり入って来たのは知り合いで。
「ちょっと一緒に話をしながらご飯を食べよう」
そう言って、勝手に席に着くのだから断る暇もなかった。
味噌味のちゃんこを早速よそって、話をしながらの夕飯に。
そして食事中に言われたのは、やはり混ぜてはいけないという話。
本当は話すつもりはなかったけれど、あまりにも危ない事をしていたという話と喩え話をされたので、今後混ぜると危険を適当に混ぜるつもりはない。
ただ、ケガの功名で得たお湯については大丈夫という事。
「他にも混ぜていいもの悪いものはあるけど、精霊?あまり勝手をしちゃいけないよ?」
知り合いが手を乗せる様に精霊を撫でると、精霊は少しだけ大人しく。
「はーい」
返事をして精霊は食事に集中している模様。味噌味での具材も結構減って来たので、バターを足して野菜やもやしもまた少し足します。
「がーさんは厳しいです」
精霊がポツリとこぼしますが、
「全く君は誰に似たんだか。あまり無茶をしちゃいけないよ?」
「五月蝿いです。色々な知識にロックを掛けられて困りますよ全く」
「そりゃぁね、アレだけ危ない事をしていたわけだから反省も必要なわけだからね?」
横で見ていて思ったのは何となく親子の会話のように見えます。
そういえば、知り合いの事を精霊はいつもガーさんと呼ぶのですが、少しそれが気になっていたことを思い出します。
いい感じに出来上がったバター入りのちゃんこをよそって聞いてみます。
「そう言えば、なんでがーさんなのです?」
そこで聞いた話はちょっと信じられなくて、でも多分本当なのだろうと思える話。
「あのお店に関わる人だから何かしらはあると思っていましたが、本当ですか?」
「まぁ、嘘を言っても仕方ないからね。気軽にがーさんと呼んでくれていいよ?」
言われたままにはい、そうですかと言えるほど簡単に呑み込むことは出来そうにありませんが、考えてみれば何となく分かる事。
「がーさんがいつも連れてきている六人もじゃあ結構凄い人です?」
「凄くはないけど、まあそれなりに?そのうち話す予定はあったけど、まあ丁度いいタイミングだったね?」
その苦笑いは何度かあちらでも見たことがある気がします。
「まぁ、いいです。お客さんに変わりはありませんから」
「そそ。それで十分。お湯も使えるようになったみたいだし、魔力消費は適当にまぁがんばってよ」
鍋は終盤。キャベツともやしを足して一緒に入れるのはラー油。
味噌バターにピリッとくるラー油入り。
更に中華麺を入れてスープごと飲み干して終わらせるというちょっとした荒業。
「それは?」
僕の横にはさっぱりも欲しいのでお酢。
「味変化ようのお酢です」
「このアレンジは最高だね」
そんな感じで夕飯はちょっとしたお話を聞きながらのわいわいしたものに。
いつもよりも少し長い夕飯になったので、全体的にゆっくりしてしまったのもあって朝、起きてみるとすぐに色々とやらないといけない時間。
起きてすぐ、風呂場に行ってまずはちょっと水を浴び、昨日の夜から早速使っているお湯も浴びます。
「んー、お湯だとゆっくりできる」
水だとどうしても寒くなってしまうので、長くとはいきませんが丁度いい温度のお湯だとゆっくり水浴びしてしまいます。
それでも水浴びをすればしゃきっとするのでこれで目もしっかりと覚めたはず。
「さて今日はなにつくろう?」
昨日の鍋はあれやこれやと結構楽しんだので、今日のお昼は自分の食べたい物も頭に浮かびます。
「昨日の鍋で麺は出したけど、やっぱりしっかりした麺類で、今から時間をあまりかけないで作れるものだと、担々麺?」
ラーメンスープを作るには今からでは遅いので無理ですが、担々麺であれば鶏がらスープのストックを使えば大丈夫。
少し遅く起きたといっても、最悪今からガラでスープを煮出せば二時間以上は一応あるので間に合う計算です。
「よし、今日は担々麺にしよう」
鶏ガラスープは鶏のガラを綺麗に水で洗ってからまずは一度白くなる程度まで茹でます。
茹でた後に、内臓や血合いを綺麗に水洗い。これでガラの下準備が完了。
別の鍋に下準備の終ったガラ、ネギの青い部分、ニンニクは数片潰したものを、生姜は皮ごとスライスしたモノを適量入れて水を注いで強火で。
最初は灰汁が出るのでそれを丁寧に掬って、灰汁がそれほどでなくなったら弱火にして一時間以上煮込めばガラスープの出来上がり。
その間にゴマのペーストを作りますか。
今日は白ごまで、フードプロセッサーを使って少しだけ楽を。
白ごまを軽く炒って、粗熱をとったらフードプロセッサーに入れて後はスイッチを入れるだけ。
音が変わって来るので、それを目安に。別の容器に移して、練りごまの準備もこれでオッケー。
ただかなりペーストは洗いにくいので、ある程度綺麗に容器に移し替えたらフードプロセッサーの中へ牛乳と少量の砂糖を入れてもう一度ミックス。
残っているゴマペーストと牛乳に砂糖の甘味の入った、ゴマミルク。
ちょっと休憩に飲むのにちょうどいいので、作った人の特権という事で飲もうとしたのですが、
「美味しそうな気配がしました」
朝も起きてこなかった精霊がいつの間にかそこへ。
「飲み物だけど?」
「いただきます」
休憩のジュースも半分こですが、さっぱりとした甘さなので丁度よく。
「今日のお昼の準備ですか?」
「そそ。担々麺のつもりだよ」
「楽しみにしています」
それだけ言って、パッと消えてしまいます。まぁ、作業の邪魔をしないようにとおもって僕も作業再開。
メインの肉味噌を作ります。
豚肉はひき肉とコマを両方そしてザーサイ。お店などで食べる物には干しエビの旨味も入っているのですが、マスターの拘りで干しエビは抜き。
鍋に油を敷いて、ひき肉とコマを炒めます。色が白く変わってきたら、ザーサイの半分と醤油、甜麺醤を入れて味付け。
これで肉味噌の完成。
後はガラスープで使った青い部分の反対側の白い部分の長ネギを小さく刻むのと、色合いで乗せるチンゲン菜を塩ゆでしておくぐらいかな?
とりあえず支度がこれで完了。
「精霊、試食するけど食べる?」
「食べます」
即答の返事が。
二人前だったら簡単。お昼の予行練習とばかりに作ってみます。
器の準備から。丼ぶりを二つ準備して、ゴマのペースト、長ネギ、醤油、豆板醤、酢、お好み量のラー油を入れて刻んだザーサイも一緒に入れます。
丼ぶりの準備がおわったので、麺を茹でます。
麺を茹でている最中の茹で上がる一分前からが一気に忙しく。
丼ぶりにガラスープを入れて、ゴマのペーストなどを溶かしておきます。
湯切りをした麺を乗せて、最後に肉味噌をたっぷりと乗せてチンゲン菜をのせれば完成。
「担々麺の出来上がり」
「いただきます」
精霊は僕の事を待つことなく、麺を食べ始めます。
でもそれは麺類に限っては正しい判断。麺類は出て来たら喋ることなくすぐに食べるのが礼儀。麺が伸びたら勿体ない。
僕も頷き、いただきますと言ってスープを一啜りしながら麺も啜ります。
ゴマのいい香りが鼻を抜けて、肉味噌の強い味とザーサイの酸味、ピリッと来るラー油や豆板醤の味が食欲を刺激します。
お互い無言で担々麺を食べ終えると、額には結構な汗。
「美味しかったぁ」
「最高ですね」
「あ、どうしよう!?」
そこで思い出したのはアレが無い事。
「どうかしましたか?」
「ご飯炊き忘れている、急いで炊かなきゃ」
「後乗せご飯?早くお願いします」
お客さんよりも自分の食欲を優先する精霊に苦笑いをしながらご飯の準備。
ぎりぎり間に合いそうで、ホッとしました。
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