★六属性の玉
タイトルに★が付いているという事は……
精霊の分の雑炊を作って、まずはお客さんの食べ終わった食器の片付け。
鍋を下げるだけというわけにもいかず、それをよそった器や箸、お玉にレンゲとこまごましたモノもあるので、一度水に浸けて洗いやすくしておきます。
「さらっとしている雑炊、するするはいります」
精霊が未だに美味しそうに食べているので、少し自分もおなかが減ってきます。
自分の分だけパパッと作るとしますか。
お客さんと違う所は最初からもやしもしっかり入っている事ぐらい。
この後動くことも考えるとご飯だと少し重たそうなのでうどんにすることに。
なので、具材もある程度残したままで大丈夫。
うどんを本当は別で茹でていましたが、自分の分なので冷凍のうどんをそのまま入れて、更に卵は調理者特権で二個。
野菜たっぷりのちゃんこうどんはかなりのボリュームでしたが美味しく食べられました。
もちろん途中で七味を少しかけてピリッとさせてみたり、ポン酢を入れて少しサラッとした味にかえてみたり。味変化も楽しんで。
「そのうどん、美味しそうですね?」
「少しだけ味でも見る?」
「はい!」
そんな会話も途中であって、精霊はかなりの量を食べていましたが、僕としては少しありがたいぐらい。一人鍋の大きさとはいえ、うどんもとなれば結構な量だったので助かりました。
「そういえば、先程がーさんに何か習っていましたね?」
食べ終わって、食器を片付けていると精霊が聞いてきます。
「あー、魔法の訓練方法を教えてくれてね」
丁度最後の一つを洗い終えて食器を並べた所だったので、この後は拭いて元のあった場所に戻すだけ。
「私が居るのに、余計な口を出してくるとは」
少しだけお冠の様子。
「それで、どんな訓練方法でしたか?」
怒っていても気にはなるようで。
「えーっと、魔法を発動させながら別の事をしてみるように教えてくれたよ」
「なるほど。それでしたら、いい方法が!」
それはまるで親指を立てたのかな?と思うような動きで、キラリンという擬音が出てきそうな感じに精霊から星が出たような気がしましたが、気のせいでしょうか?
「どうすればいいの?」
「魔力の使い切りが今は厳しくなっているのでそれを解消させる方法の一つとして魔力操作をガーさんは提案したようですが、雅はその程度では多分足りないので、こんな感じの事をやってください」
そう言うと、精霊の周りにふわりと一つずつ、魔法が浮かびます。
まずは火の玉、水の玉そして土の玉と風は竜巻のような形を帯びて。更に光と闇の玉が出てきて六つの玉が精霊の周りに浮かびます。
それは惑星と衛星のような感じ。くるくると精霊の周りをゆっくりと回ります。
「六つも出来るかなぁ?」
「今日も美味しかったので色々とコツは教えますよ?あと、ミスすると危ないので、家の中ではやらない方がいいと思います」
早速少しだけやろうと思って想像力を働かせていたので、その一言はちょっとびっくり。
ピタリと想像を止めると、大きく一息。
「いつもの草原でいい?もうすぐ片付け終るし」
「そうしましょう」
お湯で洗っているので乾きもかなりいいのですが、念の為で拭きながら元の位置へ。
「よし、これで終わり」
最後の一つを元の位置に戻せば今日のお仕事は終わり。
スープが残っているので、夕飯はお昼と一緒になりそうですが、精霊が許してくれるかどうか。どうしてもの時は少し味をうちなおして似ているけど違う方向にしましょうか。
そんな事を考えながら、外へ出ると雨が。
「そう言えば降っていたな……」
朝思っていた疑問を聞いてみることに。
「この世界に傘はあるの?」
「何を当たり前のことを?あるに決まっているじゃありませんか」
「いや、なんでも魔法があるから、そういうのも必要ないとかかなーって」
「魔法は長い時間を使うには向いていない傾向にありますから。まあ戦う人たちは使いませんが、街の中では傘は普通に使いますよ」
そうだったのか。でもこの家、傘ないんだよなぁ。
「傘は何処だったら買える?」
「南の方の職人街ですね。ですが今日は特別で、少々お待ちください」
精霊はそう言うと、グルグルとその場で回ってみせます。
大体一分が経つとピタリと精霊が止まります。そして、スーパーボールのような精霊からにょきにょきっと一本の和傘が。
地面に落ちて、ぱたりと和傘が倒れます。
「雨に濡れる必要もありませんからね。コレを使いましょう」
どういう原理なのか、何もわかりませんが精霊が出してくれた和傘は結構いい感じの物。
傘をさしていつもの様に南の扉へ向かいます。
「おや、今日も出るのかい?こんな天気だが」
扉の所で警備をしている人が流石にこんな天気だったからか声を掛けてきました。
「少しだけ魔法の練習がしたいんで、あんまり長くはするつもりありませんよ」
「そうかい。まぁ、気を付けてね」
そんな挨拶をしながら、草原に出ると人は殆どおらずいつもの場所へ行く必要もなさそうです。それでもここ数日の慣れのせいか足は自然といつもの場所へ。
「精霊、よろしくね」
「任されました」
呼び出せばすぐに出てきてくれます。
「どういう形の教え方がイイでしょうか?」
「色々あるの?」
「ええ。私のお勧めは天才型ですね」
「へー。じゃあとりあえずそれで教えてくれる?」
「まずギューって力を入れて、属性をポンポンと各自に入れて、パパっとすれば完了です」
……僕は天才ではなさそうなので、天才型の教え方では理解できない事がすぐにわかりました。
「因みに、他は?」
「努力型と理論型でしょうか?」
「んー、理論型は聞いても分からなそうだから努力型で教えてみてくれる?」
「先程の天才型ではちょっと難しすぎましたか」
難しいというか擬音が多くて抽象的すぎるから分からなかった気がしますが、まぁ仕方ありません。
「魔力を必要個数練って、そこへ属性を一つずつ入れていきます。入れ終えたら意志でそれを動かして完了です」
必要個数の魔力を作って、属性を入れて。
「ねぇ、一つずつ順番に作っちゃダメなの?」
火の玉、水の玉そんな感じで順番に作れば行けそうな気がするのですが、
「やってみるとわかると思いますよ?」
折角の練習。やっぱり失敗することも大事。
言われた通りにやってみることに。
まずは火の玉を想像して「火の玉」と言葉で火の玉を作ります。自分の意志で火の玉が動かせるので、一つ目は成功。
その状態で次の想像、水の玉を考えて「水の玉」と言葉を発してみますが水の玉は出てきません。
でも火の玉はそのまま残っている状態。
「本当だ。出来ない」
「それはですね、魔力が続いているからです」
魔力を止めると火の玉がふわっと消えていきます。
くるりんと精霊は回りながら言います。
「魔法の発動、今は言葉で確定させていますが、一度発動したものを解除しないと次が出ません。そして一度解除した魔法に再びつなぐというのはあまり聞きません」
出来ないと言わないという事は一応できるけど難しい可能性が高いという事。
「だから最初に六つ、そこへ属性を各自足すって想像じゃないといけないって事?」
「そうです。そして属性は反発することがあるので、もし反対属性で反発しあった場合はどういう事が起きるか分かりません。なのでこんな天気ですが外に出てきてもらっています」
なるほど。順番でできるかと思っていましたが、そんな簡単な事はないようで。
もう少し練習が必要そうです。
頭の中で作るのはまずは魔力の玉が六つ。自分の周りを回る衛星のように一、二、三、四、五、六。
六つが想像できたので、そこへ属性を。火、水、風、土、光、闇。
順番にゆっくり想像すれば間違えて入れることもありません。
後はこれを確定させる言葉。
「六属性の玉」
「凄いですね。一回でできるとは」
想像がしっかりできていたから簡単に。
というのも、さっき精霊がやってくれていたので一回見ているモノを作るだけ。
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