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★ダンジョン117

 通路でのレッドスライムとの戦闘の火蓋が落とされているのですが、こちらの攻撃手段が無い状態に。

 弱い強い以前に攻撃手段が無いと倒しようがないわけで。


「とりあえず逃げよう」

「それがいいですね」


 来た道を戻る様に走りながら距離を取るとある程度は追いかけてきていたのですが、スライムも諦めてくれた様子。

 部屋は先程のレッドラットを倒したのもあって敵もいないのである程度安全な状態。

 安全が確保できたのであまりゆっくりは話せませんがすぐに相談を開始。


「魔法が撃てないってかなり致命的だよね?」

「えーっと、雅本当に撃てない感じですか?」

「もう一度やってみようか。いつもので」


 精霊が頷くので一番と言っていいほどダンジョンで使っている風の魔法を頭に想像。

 すっと腰から木刀を抜いて、言葉による確定をさせます。


「風っ!」


 しーーーん


 まるで中二病の様な感じの空気。

 いや、本当にいつもは魔法を使っているのですよ?今日はたまたま調子が悪くてとかそういうわけで。

 木刀に勿論風が纏えることも無く。


「ダメだね?」

「どういう事です?」

「いや、こっちが聞きたいんだけど?」

「本当の本当に魔力が無いとかではないんですよね?」

「大した魔法を使った記憶は無いよ」

「さっきのスリーテイルズフォックスの時の魔力刀とかもですよね?」

「うん。見た目よりもあれの魔力消費は少ないからそんな事は無いハズだよ」


 もし魔力が残っていないのであればそれを勿論精霊に伝えるわけで。

 こうなってくると本当に何が原因かわからない状態。


「いつもと違う事が何か違うところあるか考えてみよう」

「そうですね」


 木刀を戻してもう一度一から確認。

 武器は別に新しくしていないし、リュックも変なところは無し。防具も何も変えていないし、コレと言って何もしていない感じ。

 さっき倒したスリーテイルズフォックスの何かが影響している事も少し考えてみますが現実的ではあまりなく。


「コレと言ってないんだけど」

「本当ですか?」

「武器も防具も何もやっていないし、レベルアップみたいなことも多分無い」

「本当に何もなしですね」

「サッパリわから……」

「おやおやぁ、何か気が付きました?」


 分からないと言いながら頭を少し搔こうとして思い当たるものに当たります。


「いつもと違うの一つあった。それもかなり確率の高そうなものが」

「え?なんです?」


 コレだけ熱い部屋にいるのになにも違和感が無い精霊の魔法。


「精霊のコレ」


 精霊が自分にかけてくれているクーラー。

 コレは今までになかったもので、だからと言って止めてほしいというモノでもなく。


「私の魔法ですか?」

「うん。魔法をかけてもらっている時に何かをした事は無いからわからないけど、多分これじゃない?」

「では一度魔法を解きます?」

「あー、自分で魔法を使えばいいのかな?」

「でもその時、攻撃魔法は出来ませんよね?」

「あー、そうなるか」

「それに一度魔法を解いてもう一度かけると結構魔力消費があるので私的にもきついです」

「なるほど」


 中々これは迷いどころな話ですがどうにかしないといけないわけで。

 今は四十階なのであともう一回下がればとりあえず今回の探索は終るはず。

 自分の残っている魔力は結構ある気がするので持たないという事は無さそう。

 ただ、あまり時間をかけるわけにはいかない感じ。


「確認のためにも一度魔法を解いてくれる?」

「いいんですか?」

「うん。構わないからお願いできる?」

「わかりました」


 言うと同時に魔法が解けて、全身の毛穴がブワっと空くような熱気が襲ってきます。

 冷房がギンギンに効いていた部屋から真夏の炎天下に放りだされた感じよりもさらに数倍熱い所にいる感じで体中の水分が奪われるような錯覚に陥るほど。

 あまりの熱さでどうにかなりそうな気もしますがそれよりも先にまずは魔法が使えるか確認。

 少し熱さでぼやけている頭ではありますが、いつもの様に想像して少し鈍い動きで木刀をもう一度右手に持って、


「風っ」


 木刀に風が集まってしっかりと風が纏えます。

 さっきまでなかった魔力が少し減る感じも勿論あって、しっかりと魔法が打てることが確認できたのですぐに魔法を解いて唱えるのは勿論、


「クーラー」


 言葉の確定と同時に快適な場所に戻った感じ。

 出ていた汗が服に張り付いて少しだけ不快な感じも残りますが、それでもうだるような熱さに比べればかなりいい感じ。


「精霊が魔法を使ってくれるのは凄く助かるけど、どうやら少し問題があるみたいだね」

「その様ですね。ちょっとこれは想定外ですね」

「とりあえず魔法をスイッチしながら進んで階段に入ってしっかり休憩を取ろうか」

「ですね。でも今日の勘はさっきの道の先に階段がある気がするようなので戻ってもらう感じが一番ですかね」

「オッケー。魔法の切り替えはあまり慣れていないけどレッドスライムを何とかやってみよう」


 方針も決まったのでもう一度道を逆に戻ります。

 さっきは部屋の手前辺りでしたが通路を少し進んだところにレッドスライムはいて、丸くボール状のままこちらを見つけるとすぐに臨戦態勢に。

 相手もやる気ですが、こちらもやる気。

 右手を前に出して、頭で先に想像するのは水の玉。

 出来るだけタイムラグは無い状態で行きたいので想像が出来た所で自分のクーラーを解除して、


「ウォーターボール」


 言葉によって水の玉が出来上がります。

 それをそのまま頭の上から乗せる様にレッドスライムを狙って落とします。

 ウォーターボールに覆われて少し中で暴れたのですが、やがて煙になって魔石を落としたので水を解いてすぐにクーラーと唱えます。


「一撃ですね」

「だねぇ。レッドスライムだけは中の魔石だね。なんでだろう?」

「考えた事ないのでわかりません。とりあえず先に進みましょう?」

「うん、魔力が減り切る前に動かないとね」

「ですです」


 いきなり時間制限が付いたような感じで四十階の探索を続けることに。

 精霊の魔法が原因でしたが、ちょっとこの辺りはどうにかしないと今後の探索は大変そうです。

 なにか解決策も考えないといけなさそうです。





今回も読んでいただきありがとうございます

目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです

誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません

改めてありがとうございます

毎日投稿頑張ります

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔法も使い勝手が悪いことがあるのですねぇ。 一生懸命練習した精霊もショック、かな。
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