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★ダンジョン113

 けん制する様に右手の木刀を前に出したままゆっくり立ち上がって睨み返しますが、相手はニヤリと笑い落ちた木刀を拾いに動きます。

 その動きは堂々としたもので後ろから切りつける気も起きません。


『イイノカ?チャンスヲ逃シテ』

「後ろから切るつもりは無いからね」


 相手は先程と一緒で右手に木刀を持ったままこちらに向けてきます。

 それに対して自分は変わらず両手で木刀を持った状態。

 ナニカで切られたことは分かりましたが、それが何かは分からない状態。

 でも相手の言葉を聞く感じ自分も同じことが出来るような言い方。


「そういう事か」


 相手が出来ることは自分も出来ると考えてみれば相手が何をしたのか結構簡単に分かるもので。

 多分木刀での打ち合いは出来てもさっきの様な切れ味のモノと木刀で打ち合う事は出来そうにありません。

 それは分かったのですぐにやるのはいつもの風纏い。


「風っ」


 短く言葉で確定をさせれば木刀に風が薄く鋭く纏います。

 両手で木刀を構えると相手は木刀を拾ったにもかかわらず地面に置いて魔法で刀を作りだしてきます。

 それはこちらの切り札の炎刀。

 スゥっと手に炎で出来た刀が相手に出来ると同時に駆けだすのは自分から。

 相手の攻めを待ってカウンターを狙うのは悪くありませんが、多分自分よりも戦いが上手いように見えるのでそういう時は待つよりも攻める方が大事。

 駆けて接近すると同時に一度横に木刀を振って風の刃を相手に向かって飛ばします。


『チィ』


 風の刃を受けるかと思ったのですが、相手は右に避けてきます。

 避けた時に態勢を崩したのでこちらとしてはねらい目とばかりにもう一度一気に距離を縮めるとそのまま狙うのは胴体。

 そこは首を狙って一撃を狙うんじゃないの?と思っている人も居るかもしれませんが、銃などで対応する時と一緒。首という小さい的を狙うよりも胴体という大きい的を狙う方が確実にダメージは与えられるわけで。

 風纏いの木刀でそのまま胴体に向けて風の刃を発生させながらもう一度横薙ぎの一撃を狙います。


「くらえっ」


 砲丸投げとかと同じ要領でしょうか?

 力を入れるためにも声を上げて横薙ぎを相手に向かってしっかりと狙った一撃は何かを切る感触。

 しっかりと当てられた感触はあるのですが、そこに居るはずの相手が居ない状態。

 なのにしっかりと切れた感触。

 何がと思って切れたモノを確認しながら相手を探すのですが相手はいない状態。

 切ったものは相手の木刀。


「木刀!?」


 ついさっき相手は木刀を地面に置いていたはずそれが勝手に立って身代わりの術よろしく動くわけも無く。

 なにかをしたのはすぐにわかるのですがそれよりも今は先に相手が何処にいるのか見つけないといけない状態。

 キョロキョロと左右に首を振ってみますが見つからず。

 右も左もいないとなれば後は後ろか……、


「上!?」


 上からか後ろからの攻撃を避ける方法は自分がその場所に居ない様にするしかありません。

 ゴロンと前転をするように横に転がると地面にしっかりと刺さる音。


『避ケタカ』

「なんだそれっ!!」


 明らかに人間の動きじゃない。おかしいだろ!

 前転で少し汚れたのを無視して相手を見ると、陽炎のような感じで相手の後ろがぼやけている感じ。そして手には何も持っていないのに地面にはシッカリと刀が刺さったように見えます。


『油断ヲ誘ッタツモリダッタノダガ甘カッタカ』


 そう言うと何をしたのか全くわからないのですが、自分のリュックの所に置いてある木刀がスーッと移動してくるとそのまま相手の手の中に。


「は?」


 思わず出る言葉はそれだけ。

 何をしたのかわからないのですが、木刀が相手の手に。


『ソロソロ決着ヲツケルカ』


 ついでとばかりに相手は勝手に終わりにしようとしている様子。

 こっちの都合は完全に無視されている感じ。


 その時思ったのはそんな事が出来るのか?という疑問でしたが、実際に相手がやっているので多分出来るのでしょう。

 そうと分れば自分も相手と同じことをするまで。

 距離は微妙に近く、木刀は当らないけれどけん制出来るぐらいの距離。

 どうするか迷っている暇は無いようで、相手は木刀を今までと一緒で片手に持ってこちらを向きます。

 諦めたわけではないのですが持っていた木刀をそのまま置いて居合のように構えます。


『コノ一撃デ』


 相手は右手に木刀、左手には見えない何かがあるようでそのまま駆けてこちらへ突っ込んできます。

 一気にこっちに寄って来たかと思うとこちらの攻撃を予測しているのかいきなり方向転換をするようにバックステップで下がったかと思うと木刀をこちらに投げてきます。

 対してこちらは居合の様に構えたまま投げられた木刀もそのまま無視。

 木刀はそこまでの威力は無くただ放る様に投げたので左肩に当たります。

 攻撃をしたい所ですが微妙に距離がまだ足りない。

 そう思ってグッと我慢をするように耐えていると、


『死ネ』


 相手が見えない刀を縦に振ります。

 ただ、その一撃は最後まで振りぬくことは出来なかった様子。


『見事ダ』


 相手の一撃は縦振りなのですが、途中で止まっているような状態。

 対してこちらの一撃はもう振りぬき終えた状態。


「強かった」


 僕の言葉と同時に煙になって魔石がコロンと落ちます。

 魔石は中の魔石と強さ通りなのでしょうか?

 そんな事を考えながら魔石を拾うと、


「ハラハラしましたが勝てましたね」

「思っている以上に強かったね」

「で、結局何をしたのです?見ているだけでしたが途中からサッパリ分からなかったのですが」

「あー、すっごく単純なんだけど相手が可能性を見せてくれた感じ?」

「可能性ですか?」

「そそ。多分だけど魔力の使い方を見せてくれた感じだね」

「魔力の使い方?」


 相手が使っていたモノを最終的に自分も使ったのでコレは正しいハズと言えるのは見えなかった刀。

 これは魔力で作ったのでしょう。炎刀は火をしっかりと纏った属性の魔法ですが、別に属性を乗せないことだってできるわけで。

 なにも属性が乗っていない場合は魔力色つまり透明な刀になるわけで。

 そう考えれば木刀が見えずに浮いたのも同じ原理。

 精霊にスプーンなどを持ってもらうときの透明の手と同じ事をしたのでしょう。

 思っている以上に魔法が便利というか危ない事がよくわかるような出来事に。


「とりあえず階段で休憩しながら話そう」

「ええ。私の応援がしっかりと効いたようでよかったです」

「そう言えば何も聞こえなかったけど、応援してくれていたんだね?」

「えぇ!?聞こえていなかったのですか?」

「うん。なんにも」

「結構大きな声で応援していたんですけどねぇ?」


 色々と精霊に聞かないといけない事が多そうです。





今回も読んでいただきありがとうございます

目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです

誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません

改めてありがとうございます

毎日投稿頑張ります

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