★ダンジョン83
階段に入ってまだあまり必要はなさそうでしたが、ちょっとだけ休憩を。
いつもの様に三段降りて腰を下ろしてからリュックも降ろします。
「次の階はこの前聞いたモンスターが出て来るんだよね?」
「ええ、スケルトンにエイプ。そしてゴーレムですね」
この間、一階分だけと精霊から新しい階層の事を聞いていたのですが、それを思い出します。
今迄はスケが多いスケルトンでしたが、ついに今回は普通のスケルトンに。
その分強くなっているみたいなので嬉しくはありません。
そしてエイプは名前の通りの猿。団体行動をしているみたいなので結構人数差は怖いのであまり戦いたい敵ではなく。
ゴーレムも名前の通りで、泥の塊とも聞いているので早く見てみたい気がします。
「少し水分補給を」
「はいはい」
精霊に促されるまま、水筒を出して水分補給。
少しだけ何か口に入れるのもいいかとおも思いましたが、まだこれから先が長いのでここは我慢。
少しだけの休憩を終えて、横道を横に見ながら階段を降りると三十二階へ到達。
降りてすぐ、部屋の中からはカタカタと聞きなれた音。
「スケルトンかな?」
「ですね」
音ですぐにわかるので優しいもんだと思って視線を向けたのですが、そこに居たのは人体骨格図をそのまま形にしたようなスケルトン。
まだ一歩目を踏み出していないのでスケルトンはこちらに攻撃こそしてきませんが、何となくばれているような気がしてしまいます。
「すぐに戦えるようにして、踏み出すよ」
言いながらも、木刀を腰から引き抜き右手で握り込みます。
一歩目は右足で踏み出してすぐにスケルトンの後ろを取れる位置。
踏み出した勢いで右手を思いっきり振り狙うのは頭。
完全に不意打ちになる一撃を頭に当てると頭が壁に吹き飛びますが、煙が出る事は無く。
「まだやれていませんね」
「弱点は頭のままだよね?」
「ええ」
飛んだ頭はどういう原理なのかわからないのですがゆっくりと胴体に向かって動きます。ですが、胴体は何も動かないまま。
それを見て安心したのがいけませんでした。
「避けて下さい」
精霊の声に反応できたのか分かりませんが、咄嗟にバックステップを踏みましたが軽く腕を掠ります。
頭のないスケルトンが自分の腕を振るってきたのですが、かなりの鋭さ。
ローブが切れるほどの威力でビックリしたのですが、こちらが慌てている間にスケルトンは態勢を整えなおしていた様子。
頭を肋骨の中に仕舞って攻撃が通りにくく防御をしている様子。そしてスケルトンの腕は最初見た時と変わっていて、手の形ではなく刀の様な鋭い状態に。
「手の形が変わるなんてズルくない?」
「大丈夫でしたか?」
「掠って切れたのはローブだけだったみたいだから」
若干腕は切られているのですが鋭すぎたようで血も出ないで少し赤く筋が出るだけ。もしかするとこの後に血が出てきてしまうとも考えられるのでさっさと倒してしまいたい所。
「それにしても変な形だね」
「ただ普通に木刀を振ってもダメージが与えられないですよね?」
「まぁね。でも、上手く突ければイケるはず」
横振りや縦振りでのダメージは期待できそうにない形になりましたが、その分突きはしっかり当たりそう。
顎の部分をカタカタとスケルトンが鳴らすと腕はまた手の形に戻ります。
「よくわからない変化をしてくるね」
「ですねぇ」
目の前で見える変化は不思議で腕は刀状の形からまた指のある手の形に。
そして肋骨の一本をポキリと折ると今度は折れた肋骨がナイフの形に。
「骨一本分狙いやすくなりましたかね?」
「そう言う見方をするとそうなるかな」
ただスケルトンのリーチも少し増えた形。
短剣術でも覚えがあるのかその構えはフェンシングのような構えに見えます。
「来ます」
スケルトンは頭が無いのに何食わぬ形で動き、右足を前に出しながら右手で突きの攻撃をしてきます。
こちらは木刀でスケルトンよりもリーチがあるのでその右手を打ち払うように弾きます。
「イケたっ」
しっかりと指を狙った一撃で、狙いは親指。
指に木刀が当たるとパラパラと骨が地面に落ちます。
これで短剣を落とすだろうと思っていたのですが、スケルトンはお構いなしに突っ込んできます。
慌ててバックステップで距離を離すと、落ちたはずの指が復活していきます。
「回復能力も結構あるのか」
「みたいですね」
このまま戦っていてもどんどん追いつめられるのは自分。
攻められる前に攻める事に。
木刀をもう一度ギュッと握って、一度それを緩めたらふぅと小さく息を吐いて呼吸を整えます。
スケルトンがまた右手を前にこちらに向かってこようとしたのですが、呼吸が整ったこちらは先程よりも鋭い一撃を放てます。
その一撃は「突き」の一撃。
しっかりと肋骨の合間を縫って頭部を貫く一撃に。そしてかなりいい手ごたえを感じます。
その一撃がとどめとなってスケルトンは煙になって魔石を落とします。
「良い一撃が決まりましたね」
「呼吸も整っていたからね」
「モンスターも居なくなりましたし探索開始ですね」
精霊の言葉に頷きながら、拾った魔石をリュックに仕舞います。
ゆっくりと部屋を見回すと奥の端の辺りに緑色のビンを発見。
サイドポケットに回収をする頃にはローブの切れた所も繋がっています。
「ダメージは?」
「ローブも直ったけど、殆どなかったみたい」
脱ぎながら確認してみると本当に薄皮一枚を綺麗に切られていただけだったようで、多分この辺りと言う程度に。
新しい階層の新しい敵の熱烈な歓迎を受けてしまいましたが、探索を楽しんでいきましょう。
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




