★ダンジョン76
壁を軽く叩きながら次の部屋に進むと運がいいのか悪いのか。
すぐに階段を発見。
「探索あまりしていないけど、どうしよう?」
「次の階になるとローバリィオブボーンはいなくなってしまうのでお宝部屋を探すとしたらこの階までになりますが……」
精霊の言葉に頷いて、少しだけ考える事に。
確かにお宝部屋は色々なアイテムが落ちていますが、さっき宝箱を拾ったばかり。
まあ、宝箱からいいモノが出るとは限らないのでこのまま探索を続けてもいいのですがいいモノが拾えるという確証があるわけでもなく。
「折角見つけたし階段に入ろう」
「ええ」
幸いなことに部屋にモンスターはいなかったのでそのまますんなりと階段に入れます。
「回復も済んでいるしちょっとだけ食べようか」
「ええ」
少しだけ携行食を食べながら、次の階について確認を。
「三十一階はいつも通りのオールスターですね。バタフライ、モスにビートル、スタッグビートル、スパイダー、ビー、スネークとスライム」
「大集合だね」
バラフライやモスは結構厄介な記憶がよみがえります。
というか、どれもこれもタッグを組まれるとかなり厄介。
「かなり慎重にいかないとダメかな」
「ですね。バタフライとモスは見た感じでは殆ど区別が付かないと思うのでその辺りも要注意ですね」
「そうだったね」
話をしながら食べていると持っていたモノは意外とすぐになくなってしまいます。
「よし、行こうか」
精霊が頷くような動きをしているのでリュックを背負いなおして木刀のチェック。
階段を降りると三十一階に到着です。
まずは動かずに周りをキョロキョロと確認。どうやらモンスターはいない様子。
すぐに一歩目を踏み出して一番近くの通路へ移動します。
「あ、そういえば大集合なのにゴーストアップルはいないんだね?」
「言われてみれば。なんででしょうね?」
ゴーストアップルが居ない階なので通路にリンゴは見当たらず。
意外とリンゴが生っているのは安らぎになっていたことを思い知ります。
ただ、リンゴが無い分動きやすいという面もあるので、そう考えるとどっこいどっこいにも感じるのですが、
「どうやらモンスターのお出ましみたいですね」
「かな」
羽の音を響かせて前から来たのはビー。
木刀を構えるとあちらもこちらを認識した様子。
「身体強化っ」
すぐにこちらもやれる状態にすると、通路の狭さもあってフェイントは雑になりながらも肩のあたりを狙って噛みつき攻撃をしてきます。
ですが直線的な動き。
すでにこちらも魔法で強化をしているのもあって簡単に避けられます。
「甘いっ」
右肩を狙っての噛みつきをクルリとターンをするように避けて、後ろから木刀を打ち下ろすと、しっかりと当たってビーは煙になって魔石を落とします。
「幸先のいいスタートですね」
「だねぇ」
身体強化を解いて魔石を拾ってリュックに仕舞って、通路を抜けると次の部屋。
新しい部屋にはすでにモンスターが三体。
ビートルとスタッグビートルがにらみ合って相撲を取っている状態。そしてそれを優雅に観戦するように飛んでいるのはバタフライかモスでしょう。
三対一になってしまうと厳しいので入る事をためらって、どうしようかと迷っていたのですがよーくみると不思議な状態。
ビートルとスタッグビートルは組み合っているのですが、ピクピクとあまり見ない動き。
ぐるぐるとその周りを回っているバタフライかモスは鱗粉を撒いているようにも見えます。
「アレは麻痺の鱗粉ですね」
「麻痺の鱗粉?」
「ええ、アイツはモスです。モスは毒の鱗粉を撒くのですが毒の効果以外に麻痺の効果の鱗粉も撒く奴がいるので多分アイツはそれですね」
「幻覚と眠りがバタフライだっけ?」
「ええ、毒がモスですね。まあ、毒と麻痺と言うべきかもしれませんが」
だとするなら、なぜモンスターを麻痺させているのだろう?
そう思っていると、奥の通路からもう一匹バタフライかモスが飛んできます。
それ程しっかりと言うわけではないのですが、ある程度羽ばたかせて飛んでいるもう一匹が二匹の喧嘩の真ん中より少し端のしっかりと掴めそうなところへ降ります。
すると最初に麻痺をさせていた方のモスが下りているもう一匹へ近づき、ひっくり返って一つに。
「アレは……」
「うん……」
口に出すのは恥ずかしいのですが、多分そういう事でしょう。
二匹は一つになると、下に居たビートルとスタッグビートルも含めて光が下から。
「あれは?」
「分かりません」
精霊も分からないというのですが、通路から視線を向けていると光は一気に強くなって、そしていつも通りのダンジョンに戻ります。
「眩しかったね」
そう言った時には、部屋の中にいたモンスターは全ていなくなっている状態に。
「モンスターって魔力から生まれるんだよね?」
「そのはずです」
「でもあれ……」
「ええ、そう言う個体も混ざっているという事でしょうかね?」
「どうなんだろうね?」
ちょっとした白昼夢を見せられたような気分になりながら、新しい部屋を探索するとしましょう。
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