★ダンジョン72
転移トラップに引っかかってしまったのもあってゆっくりの休みは今回初。
リュックを降ろして水分補給をまずはします。
「精霊もいる?」
「勿論下さい」
精霊にも水筒の中身を渡して、ゴクゴクと喉を潤すと大きく一息。
「ふぅ、美味しいね」
「ですね。それにしても中々敵が強くなってきて厳しいですね」
「だねぇ。弱点があるけどうまくつけていないのがどうしてもね」
どうにもシッカリと弱点に対応できていないのが今のきつさなのでしょう。
「温度変化も狙って火ばかり使っているけど、多分精霊の言う通りだと冷やしても効果があると思うんだよね」
「冷やすですか?」
「そそ。ただ部屋を丸々冷やすとか凄く大変そうだからどうしたモノかなーって」
軽く冷やすぐらいであれば冷たい風を出す事ぐらいは出来そうなのですが、何処まで効果があるかは怪しい所。
「そういう事が出来るのでしたら練習するに越したことはないと思いますよ?」
「どういう事?」
「まだすぐにというわけではありませんが、フロア自体がかなり熱かったり、寒かったりするフロアが今後ありまして、そういう時に自衛する術があった方がいいですから」
「そんなフロアがあるの?」
「今調べている限りですと、水の中という事もあるようですよ?」
それは息が続かない気がするのだが大丈夫なのでしょうか?
ただ、少しだけ納得する部分もあるわけで。
「この前の狭い路地裏や草原みたいなフロアがあった以上精霊が言うようなフロアがあってもおかしくないか……」
「ええ。嘘を言ってはいませんよ」
「嘘を言うとは思ってないから大丈夫だよ」
精霊の言う通りであればコレからはフロアも結構な強敵になってきそうな予感。
フロアに対して魔法を使う事は厳しそうなので、そうなるとある程度範囲を絞った魔法を考えないといけないでしょう。
パッと思いつくのは自分の形。
範囲もそこまで広くは無く、距離も離れていないので自分で上手くやれそうな気がします。
「自分の形だったら、身体強化の応用でいけるかな?」
「ですね」
少し練習をしようかとも思ったのですが、まだダンジョンを下る事を考えると魔力を今使うのは躊躇われます。
「練習は後にしようか」
「ですかね」
「因みに次の階は何が出て来るの?」
話題をそらすわけではないのですが、気になっている事なので精霊に確認をします。
「二十九階はビートル、ビー、あとはゴーストアップルとウォールゴーレム、そしてローバリィオブボーンですね」
「盗人かー」
「ですです。なのでウォールゴーレムがまた居ますね」
盗んでくるので嫌な敵ではあるのですが、クロウの習性に似ているアイテムを集めてくれている可能性もあるのでそれを見つけることが出来れば一気にアイテムも獲得できるので嬉しい部分もゼロではなく。
そしてビーが居るのはまあ少し怖い所ではあるのですが、またゴーストアップルとビートルが居るというのはアレを見るのかと思うと少しげんなり。
「とりあえず、少しだけお腹に入れていこうか二十九階」
「ええ。私もグラノーラバーを下さい」
リュックから携行食を取り出して口に入れて、もう一度水分補給。
それを済ませたらリュックを背負って、探索再開と行きましょう。
階段を降りると新しい部屋なのですが、運が上向いているのでしょうか?アイテムが落ちています。
「ビンが二つも落ちているね」
「緑はいつも通りで、紫はサイドポケットですかね」
「そうだね」
今回は回復薬と解毒薬を多めに持ってきているので、青や紫のビンは置いてきてしまっていたので、最悪この紫のビンは投げつけるつもり。まあ、効果が不明なのでその辺りも考慮しないといけないのですが。
「さてと、通路は三本。どれがいいかな?」
「北の方へ向かってみましょう」
精霊が言うので、頷いて北の方角へ。
通路を進んでいると、ココでも変わらずリンゴが生っています。
「ダンジョン探索でこんなに誘惑が多いのは珍しいです」
「さっきグラノーラバー食べたよね?」
「肉体が無いのでいくらでも食べられると思うと、ついお腹が減ってしまいまして……」
「それもどうかと思うけど……、最初に拾ったリンゴはそのまま持って帰ってみたいから、また拾うにも安全を確認してからじゃないとダメなんだよね」
「そこが面倒ですよねぇ」
そんな話をしながらも通路を越えると次の部屋。
部屋の中には、ビーとビートルの二体がお互いを気にすることなく部屋を徘徊していて、すぐにこちらに気が付いたのはビー。
素早いフェイントを左右にかけながらこちらへ向かってきます。
こちらもすぐに木刀を腰から引き抜いて、正面に構えると一対一の状態に。
別の階の時と一緒で水に濡らすことも考えたのですが、アレをするとある程度範囲に水を撒くのでまだ気が付いていないビートルも気が付きそうなのでこのまま倒したい所。
「身体強化っ」
自分自身の素早さを上げると、ビーのフェイントもしっかりと目で追えます。
「これならいけるかな」
左右のフェイントをかけながらこちらに寄ってきていたビーはかなり近い位置までくると、今度は前後のフェイントも織り交ぜてきて、こちらの空振りを誘ってきます。
思わず手が出そうになりながらも、グッと堪えてこちらも隙を窺っているのですが中々タイミングがつかめません。
そして痺れが切れたのは自分。
木刀の剣先を左右に小さく振って一度右足で踏み込んで空振りをしたように見せかけてみます。
すると左右の振りにビーが反応して木刀の剣先を上に避けます。
上にビーが上がるとそのまま急降下をするようにこちらの右肩の辺りを狙って一気に突進をしてきます。
「甘いっ!」
右足で踏み込んでいたのですが、こちらもフェイントのつもりだったので重心を右足に預けてはいません。そのまま左足を斜め後ろへ下げて、すぐに右足も下がるとビーはこちらを見失った様子。
ビーの真横へ移動している今の状態。
木刀を上段からしっかりと振り下ろすと一撃でビーは煙になって魔石を落とします。
「よしっ」
思わずガッツポーズをしたのですが、
「雅っ、そんな大きな声は……」
「あっ」
ビートルがこちらをしっかりと認識した様子。
二十九階、なにかいいモノでも拾えるといいのですが……。
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