★ダンジョン65
精霊に二十七階の事を聞いてみると、
「新しいモンスターが居ますね。名前のままでしょうけど、スパイダーとビーが出てきます」
「蜘蛛と蜂ってことかな?」
「ええ、どちらも結構厄介ですが特にスパイダーは危険です」
「危険?」
「罠を張るタイプと攻撃をしてくるタイプがそこら中にいまして、連携攻撃が危険です」
「連携攻撃かぁ」
「罠を張るタイプの罠も踏んでしまうとすこしの間ベトベトと歩くスピードが落ちますから、探索の邪魔になります」
「踏まなければ大丈夫かな?」
そう言いながらも、考えてみると蜂も結構怖い気がします。
「ビーはそんなに怖くないってこと?」
「んー、噛みつき攻撃は結構ダメージが高いですし、素早い動きで攻めて来るので弱いという事は無いのですが……」
「十分怖いね」
「どちらのモンスターもそうなのですが、毒攻撃や麻痺攻撃があるのでそれは気をつけた方がいいですね」
「両方やっぱり危ないんだね」
毒も怖いですが、麻痺は特に怖く感じます。
「他にもモンスターは居るの?」
「いえ、この階層はその二匹にスライムぐらいだったと思います」
「新しいモンスターを楽しめって事か」
「ですね」
自分の知っている蜘蛛や蜂はそれ程近づかなければ怖いイメージは無いのですが、それは地球での事。ここはダンジョンで敵対しているモンスターなので逃げたからと追ってこないわけではありません。
「水分補給だけして、降りようか」
「ええ」
リュックから水筒を取り出して水分補給を済ませたら、覚悟を決めて階段を下がります。
「さて、どうなるかな」
階段を降りきって、二十七階へ降りるととりあえず部屋をパッと見まわしてみますが今までとそれほどと変わらず。
「もっと一杯蜘蛛の巣とかがあるのかと思っていたけど、そうでもないんだね?」
「ですね」
はじめの一歩を踏み出して、一部屋目をもう一度見てみますがアイテムなども落ちておらず。そしてここは角部屋だったのか、通路は二本で北か西への二択。
「とりあえずこっち行ってみようか」
選んだのは西への道。
このまま西へ西へと行ける道を終わらせて突き当たったら北へ上がってと端を攻める様に動こうかと予定を立てます。
「通路もこれと言ってそれ程変わりはないんだね」
「ですね」
もっと蜘蛛の巣などがある事を想像していたのですが、そんな事も無く。
通路で敵に遭う事も無く、そのまま二つ目の部屋に入ったのですが今回も何も落ちておらず。
「アイテムはなさそうだね」
「ですが……」
「うん。敵だね」
部屋は最初空っぽだったのですが、通路から出て来たのはビー。
「デカくない?」
「まあ、モンスターですからね」
ビーと呼ばれる蜂のモンスターなのですが、大きさは顔ぐらいの胴体にペットボトルぐらいの羽を凄い速さで震わせて飛んでいるのですが、
「よくアレ飛んでいるね?」
「ですねぇ」
明らかにその羽で何故飛べているといいたくなるようなフォルム。ですが、飛んでいる事には変わらず。
そして開いてもこちらを認識したようで、左右にフェイントをかけながら強襲してきます。
「来ますっ!」
フェイントはあるものの、寄ってくるのですぐに木刀を腰から引き抜いて正面に構えて剣先を相手に向ける様に手首のスナップを利かせてけん制します。
ビーも木刀の剣先を向けられたのを感じて、少し慎重に寄ってくるのを止めてこちらとにらめっこの状態に。
さて、どうしようと考えていると先にしびれを切らせたのはビー。
一度地面すれすれまで下がったかと思うと一気にこちらへ寄ってきます。
下からのアッパーカットの様な軌道で来たので木刀をそのまま振り下ろしたのですが、直前にビーは左に。
こちらの一撃は空を切って、そのままの上昇の勢いで大きな顎でガブリと左肩を噛みつかれます。
「痛っ」
噛みつき攻撃なのですが、先に顎が少しめり込む感じもあって刺さりながら噛みつかれた感じ。
がぶりと噛みつき終えると、スッと離れてまた目の前をチラチラと挑発する様に飛び回ります。
「大丈夫ですか?」
「結構痛いけど、大丈夫だと思う」
少しばかりの強がりを言いながら、どうやって倒すか考えます。
何かいい方法が無いかな、と。
「弱点ってあるの?」
「勿論あります」
「教えてくれる?」
「ええ、勿論。ビーの弱点は温度変化や水です」
「温度変化に水ね」
という事は魔法でどうにかするしかないのですが、水をあの速さにあてるのはかなり難しそう。
そして痛みもあるのであまり細かい想像や慣れていない魔法を考えるのは難度が高くなります。
「自分が使っている魔法でなんとか水をビーに当てないとか」
ウォーターボールでは速さ的に無理、と思ったところでいつもの魔法であれば行けそうな気がします。
「イケますか?」
精霊の言葉に頷いて頭の中では想像を。
それはさっぱりする為に何度もやっている魔法。
そして、範囲はいつもと違って広めに勢いはいつも通り。
形が決まったら後は言葉で確定をさせて放つだけ。
「シャワー!」
木刀を左手だけに持って、右手を前に出して手のひらの先から広範囲に勢いの良い水の玉がシャワーになって出ます。
その水玉にビーも最初はビックリして避けようとするのですが、範囲も広いのでしっかりと当たった様子。
ですが、ダメージが無いのを理解するとビーはまた調子に乗ってこちらを挑発してきます。
「効果は薄そうだね」
「ですか?そろそろ効果を発揮してくると思いますけど」
「ん?」
シャワーの水は弱くなっているのですが、ある程度当っていた蜂の動きは次第に鈍くなっていきます。
「これなら当たるね」
「ええ、すぐに倒して下さい」
右手から出していたシャワーが終ると同時に、右手もまた木刀を握って、こちらからビーへ近づきます。
ビーは近づいてくると思っていなかったのか慌てたのですが、今までよりも遅い動きなので当てられそうな速さ。
それでもやられるつもりは無いと、左右にフェイントをかけて来るのですが先程よりはグッと遅くなるので目である程度追えます。
「身体強化っ!」
このままだと外してしまう可能性があったので、身体強化を自分にかけると更に敵の行動が遅く見えます。
「そこだっ!」
ちょうどビーの動きに慣れて次への軌道が何となく分かったので、そこへ横薙ぎを当てる様に小さな動き。
バットで言う所の芯でしょうか?木刀のそれなりに良い位置へ当たった感触があります。
するとそのダメージで飛ぶことが出来なくなったのか、ビーは地面へ落ちます。
「すぐにとどめを」
「うん」
地面に落ちたビーを木刀の先で突きさすと煙になって魔石を落とします。
「ビー、強いね。回復薬取り出さないと」
「噛みつきの一撃も結構バカに出来ませんね」
身体強化を解いて、回復を。
結構手ごわい階層になってきたのを実感します。
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




