★木刀作り
調理が無いので、調理があるところまでは連投予定です。
やることが決まって、朝食も取り終えたとなれば早速行動に。
「精霊、木は何処なら売っている?」
街の事なら精霊に聞けばオッケー。
「南側で買う事が可能かと思われます。しかし、交渉が必要な場合が多いかと」
交渉?
「どういう事?」
「基本的に木材は家屋や家具用で準備をしています。個人で使うというのはあまり考慮されていないので、売ってもらえるか不明というのが正直なところです」
「まじかー」
ちょっとこれは想定外。
稽古する姿を思い出して思い付いただけに残念な気分。
って、そうだ。
「ねぇ、この街に道場とかないの?」
「道場ですか?」
「そそ。剣術道場とかそういう場所」
すこしばかり検索でもかけているのか、精霊は反応が薄くなります。
「無いですね」
「無いのかー。冒険者がいるなら、武器の扱い方とか教えてくれるところってありそうだと思ったけど」
思ったことをそのまま言ってみると、
「ギルドの講習がそれに当たるかと思いますが、ごく初歩的な事だけのようです。冒険者にとって命は最も大事なものですから、それを簡単に教えるというのはこの世界ではあまり普遍的ではないのです」
「って事は、この世界では命は……あまり言いたくないけど、安いって事?」
「そうなりますね。まあ、他にも色々と理由はあるのかもしれませんが、私の中にある知識ではそのような感じのようです」
こういう所を見るとやはり異世界だという事が分かります。
さっき思い付いたのは、道場などがあれば練習用の木刀のようなものがあるかなという期待を込めてだったのですが、それもかなり確率としては低そう。
「南側に自分でいくしかなさそうだね」
「頑張って交渉をしてください」
精霊も頷くように言ってくるのでそれしか今のところは出来そうにありませんね。
家を出て、噴水広場を抜けて南側へ。
走った時の賑わいは減って、朝には沢山あった屋台もしまっています。
「あの時間限定なのかな?」
ポケットにはある程度の貨幣。朝、買う事の出来なかったおばちゃんの露店の方へ歩みを進めると、一応まだやっている感じ。
「朝は色々とありがとうございます、まだ売っていますか?」
サンドウィッチを売っていたおばちゃんもそのまま居たので声を掛けます。
「あら、早速来てくれたの。ありがとうね」
サンドウィッチはまだ数個あって、一つ購入することに。
一つで銅貨五枚。見た目は結構量があるように見えます。
「この辺りで少し木を買いたいのですが、何か知っていたりしません?」
知らないときは知っていそうな人に聞く。
これはどんな世界に行っても共通。
「木を買いたいの?なにに使うんだい?」
「削って、練習用の木剣を作ろうと思っていまして」
「剣ねぇ。武器だったら西側だって言いたいところだけど、流石に木を使うっていうのはきいたことがないからねぇ。うーん、そうしたらこの先の角の所を左に曲がって家具用の木を売っているところがあるからそこで聞いてみるといいよ」
「ありがとうございます」
早速のいい情報をゲット。
パンは紙に包まれて、そのまま渡されたので受け取ります。
受け取ると、結構な重さでお昼はこれで十分だと思えるほど。値段以上の価値はありそうです。
言われた通りに道なりに進み角を曲がって少し行くと、家具用の木を置いているお店が。
「すいませーん」
お店は開いている感じですが、人がいない。
そういう時は声を掛けるしかないので少し声を張って挨拶をしてみます。
「ん、ああ。いらっしゃい」
声に反応してか、頭をかきながら眠そうな目で男の店主っぽい人がでてきました。
「量は少しなのですが、木が欲しいんですけど」
「あぁ。何を作るつもりだい?一応それに合ったモノを紹介はさせてもらうが」
「木剣を作りたくて。念の為で僕の身長よりは少し低いぐらいの木が欲しいんですよ」
僕が言うと、目と目の間に皺を寄せて、なにをいっているんだこいつ?という目。
「子供用の武器って事か?」
「え、あー。まあちょっと違うような、そんな様な感じですかね」
「って事は、まあ乾いた木が欲しいって事だな?」
「え、あ、はい。あるのですか?」
「ウチは木材屋だからな。あるに決まっているだろうが」
そう言って店主っぽい人は後ろに下がって、お店の中にポツンと一人待たされる感じ。
一分待って、二分待って。三分が経とうとすると、店主っぽい人が帰ってきました。
「あー、初めてだったな。分かると思うが木はここじゃなくて裏にあるんだ。外に出て裏に来てくれ。……じゃなくて、付いてこい」
「あ、はい」
どうやら裏で相手も待っていたようで、僕が初めてなのを分かってくれたようで先を歩いて案内してくれます。
表に出て、少し狭い道を通るとお店の裏側へ。
そこには色々な木がたくさん並べられています。
「とりあえず、三種類だな。硬い木、柔らかい木、あと重たい木だ」
三種類の木が用意されていて、どれもこれも同じぐらいの高さです。
ただ作ったこともないので、何がイイのかもよく分かりません。
「えっと、何がイイかとか……」
「知らんぞ。そもそも子供の武器程度であれば、乾燥していないものでも大丈夫だが、使っているときに割れる心配が出て来るからこそのこの三種類。当たり前だが、硬い木は加工も大変だ。そして柔らかい木は加工こそ簡単だろうが、耐久値的にはどうかわからん。そして最後の重たい木はその両方を一応兼ね備えて入るが、密度の関係上かなり加工は難しいはずだ」
何となくの感じで見てみると、最後の重たい木がアタリな気がします。
ですが、最初からできる気もしません。
「値段的にはどんな感じですか?」
「加工が無いならそんなにしないな。まあ、材質で多少のずれはあるが、大体それ一つで銅貨三枚。一番高いのでも五枚位でどうだ?」
何となく思い出したのはホームセンターでの値段ですが、それは流通の違いと思えばこの値段でも安いと思います。
「じゃあ、一気にいろいろできないと思うので、とりあえず今日は柔らかい木を一つもらえますか?」
まずは練習。最初からいいものが出来るとは思っていません。
「はいよ。じゃあ、銅貨三枚だな」
結構な大きさ、丸太が一本なのでこれで作るには中々。
「なんだ、何にも持ってきてないのか。今回はサービスで付けるが、次回からは銅貨一枚な」
そういって店主っぽい人が出したのは一本の縄。
それを上手い事ロープワークのように掛けて、持ち手を作ってくれます。
「これで持てるだろう。重いとかそうのは無しだからな?」
グッと持ってみるとかなりの重さですが、持てない事はありません。
ですが、かなりの重さには違いないので一つ提案を。
「とりあえずこれ半分に割って、半分は家に持って行ってもいいですか?」
「今日中ならいいぞ」
という事で半分を一度家に置いて、もう半分をこの後加工してみることに。
往復だけでも結構疲れましたが、とりあえず木をもって南の草原へ。
「サンドウィッチがあってよかった」
ちょうどいいのでお昼を食べることに。
久しぶりの一人ご飯は少しだけ寂しい感じでした。
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