きな粉
精霊から逃げるように客席の方へ行くと、そこには空っぽになった卵チャーハンと手招きをするがーさん。
「先に追加をお願いしようと思っていたのだけど、ついでに相談事があってね」
「なんでしょう?」
「僕の所もそうなのだけど、皆の所も貰い物でかなりの量の大豆を頂いてね」
「大豆ですか?」
「そそ。乾燥した大豆なのだがいかんせん量が多くてね」
がーさんの言葉に皆さんも頷きます。
「何か美味しいものに変えてもらえないかなと思ってね」
「大豆ですか。まぁ、ある程度は思い浮かぶものがあるので大丈夫だと思いますよ」
「そうかい、それは助かる。是非貰ってくれ」
「分かりました。とりあえず、今は追加のチャーハンですかね?」
「うん。大豆をどうにかできたので安心感からお腹がまた減ってきたぐらいだよ」
皆さんも一緒の様子で頷いているので、
「同じぐらいの量でいいですか?」
「ああ、頼む」
「分かりました」
厨房に戻ってチャーハンをもう一度作ることに。流石に二回目なので少し精霊に分けてあげれば精霊の溜飲も下がるでしょう。
「雅っ!話は終わっていないのですよ?」
「あー、追加で今注文が入ったから作るつもりだけど?どうする?」
「うー、チャーハンを作るのです?」
「そうそう。で、その流れで自分の分の肉団子も仕上げるつもりだから少しぐらいは食べられると思うけど?」
「…………では、すぐに作業を始めて下さい」
「はいはい」
精霊は文句を言うのと食べる事を天秤にかけたようで、思っていた通りというか天秤は食べる方に傾いた様子。
口調はまだ結構怒っているのですが、表情はにっこにことかなりわかりやすい状態で。
すぐに追加を作って、チャーハンをすぐにお客さんに出して自分の分の肉団子を作って、それを少しかけたモノを精霊に。
今度こそ精霊は完全に静かな状態で、厨房の隅の方で食べています。
皆さんも追加分をゆっくりと食べ終わった様で、顔は嬉しい事にかなり満足気。
そのまま帰るのかと思ったのですが、どうやら先程の話の大豆を各自持っていた様子。
「この前のワインの所に置いていいかい?」
「ええ、お願いします」
結構な量を皆さんが置いていくのでワイン同様使っていきたいところ。
「コレは食材ですか?」
「そそ。大豆をもらってね」
「今日の夕飯も期待できますね?」
「あー、今お昼を食べ終ったばかりだよね?」
「今はお腹がいっぱいですけど、お夕飯はまた別の楽しみですからね」
「あ、そう」
美味しく食べてくれるのは嬉しいのですが、一日中食事の事を考えないといけないのも結構大変なので少し考えてしまいますが、今はまだお客さんのお見送り。
「肉団子だけでもよかったのに、薄味のチャーハンがああも化けるとは思わなかったよ」
男性陣はそのボリュームに。
「あのスープいい味だったわ」
女性陣は体の温まるスープが嬉しかった様子。
「どんな料理になるのか、楽しみ」
約一名、うちの精霊と同じような事を言っている土の精霊付きの人。
大豆を皆さん同様に置いて、こちらをジーッと見てから一つ頷いて、手を振ってウチを後にします。
「今日も良かった。大豆も急ぎで使わないでいい様にしておくから、何かあったら相談して」
「いつもながらありがとうございます」
「いやいや、こちらこそ追加の注文も対応してくれてありがとう」
「いえいえ」
そんな会話をして、皆さんが帰ったら自分のお昼の時間になるのですが、なんというかあれこれやっていて自分のお腹が思っているよりも減っていない感じ。
精霊が少し食べた残りの肉団子を半分ぐらいでお腹も一杯に。
あまり残したくはないのですが、結構お腹は一杯なので食べる事を後回しにして先に洗い物を済ませます。
その洗い物をしながら、この後をどうしよかと精霊と相談。
「今日はどうするのです?」
「あー、木刀は昨日作ったから、ダンジョン探索の時の食べ物やフレークとかを作ろうか」
「じゃあ、早速先程の大豆を使うのですね?」
「あー、大豆かー。まあ、使えなくも無いかな」
「ほほぅ、何を作るのです?」
「そのままアクセントにね」
今までと作るものは変わらないのですが、折角大豆があるので一手間加えて大豆をきな粉にしてグラノーラバーの周りにかける方向で。
まあ、洗い物を済ませて調理が出来る状態にするのが先。
ぱぱっと洗い物を済ませて、食器を拭いて元の棚の中へ仕舞って。
大豆からきな粉を作る方法はそれほど面倒な工程はありません。
乾燥大豆をまずはフライパンで乾煎りします。焦げない程度でいい香りがたって来たら乾煎りはオッケー。
新聞紙などを敷いた広い場所やバット等で全体を一度しっかりと冷めさせてあげて、それをミルサーなどで粉末状にしてあげるだけ。なのですが、今日は魔法も使っていないので魔力も余っています。
「魔法の練習という事で、身体強化を使おうか」
このやり方はかなり大変なので身体強化無しでやるのはかなり体力のいる事なのでお勧めは出来ないのですが、使う機材がグッと簡単に。
使うものはすり鉢とすりこぎ。そして薄い布があればオッケー。
まずは冷ました大豆を薄い布で包んで、すりこぎで軽くたたきます。
ある程度大きいものが減ったら包みの中身をすり鉢へ。
ここからが体力勝負。すりこぎでどんどん小さくしていきます。
後は皮など口に残りやすいものをふるいにかけて、きな粉の出来上がり。
ただこれだけだと味は殆どないので砂糖とほんの少しの塩を混ぜると売っているモノと変わらなくなります。
「素朴な味ですけど悪くないですね」
「まぁ、今は普通に売っているモノを買うから一から作ることは殆どないと思うけどね」
「これでは料理と言う感じがしませんね」
「何か夕飯までに考えるよ」
「あ、でもコレが付いているグラノーラバーは甘さが少し控えめになって美味しいです」
「そんなに食べているのに、まだ夕飯食べるの?」
「お夕飯は別腹ですからね」
携行食や保存食の味見は今までと違って精霊が殆ど食べられないので、減るスピードがぐっと減っているので、もしかしたら作り過ぎてしまったかなと思う程。
ですがそれでも精霊の食への欲求は終わりない様子。
大豆を使った夕飯。
出来れば簡単なモノを何か考えますか。
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