ハッシュドリア
昨日の内に今日のランチが出来あがっているのでいつもよりもかなり気楽な朝。
いつも通りの朝食でグラノーラやフレークでもいいのですが、昨日そこまで食べなかったので昨日の夕飯と一緒ですが、今日の朝として食べてもいいかなと思って布団から出ると、珍しく精霊の気配。
「あ、雅。お、おはようございます」
「おはよう精霊?早起きだね」
「え、ええ。雅も早いですね?」
「そお?いつも通りだと思うけど?」
「ですかね?」
少し怪しい感じの精霊はいつもの事と思ってとりあえず顔を洗う事に。
顔を洗う水がかなりキンキンに冷えていて顔がパリッとするほど。
しっかりと目が覚めたので、厨房へ。
「ん?何か少しいつもと違う?」
置いてあるものの位置はいつも通りで、何もおかしい感じはしないのですがそれでも何か少し違う感じ。
ただそのナニカがすぐにわかる事は無く。
「気のせいかな?」
答えが出ないので、気にすることを止めてからとりあえず食べる食べないは別として昨日作ったハッシュドビーフを温めることに。
火をしっかり入れなおして今日のお昼に備えて場合によってはタマネギや牛肉を足そうと思って冷蔵庫から出したのですが、そこで明らかな違和感。
「え?」
それはもう違和感と思う事のない明らかな差があります。
「そんな、まさか?」
その差ははっきりと重さとして分かります。
凄く怖い気持ちで、蓋を開けると答えがすぐにわかります。
そう、ハッシュドビーフが半分以下ぐらいまで減っているのです。
昨日殆ど鍋一杯近くまであったハッシュドビーフは大体半分より少し少なく明らかに傘が減ったのが分かるのは鍋肌。昨日まであった量の所にあった事が分かる汁跡が残っています。
「精霊、いる?」
とりあえず湧いてきたのは怒りよりも呆れの方。そして、次に湧いてきた気持ちはお昼をどうするか。
その二つですが、精霊の返事は無く。
「精霊、でておいで?」
もう一度呼びかけると、目の前のポンと精霊が現れます。
「あのーですね、あまりにも昨日の夜美味しくて…………」
「うん」
「それですこーしだけ、ほんのすこーしだけ味見をしようと思いまして」
「うん」
「今朝早く起きて、鍋ごと温めると流石に分かってしまうと思いまして、お玉で掬ってレンジで温める形でちょちょっと味をみていましたら…………」
「うん」
「少しばかり食べ過ぎてしまいまして…………」
「…………はぁ」
いつかはやると思っていましたが、まあ、目の届く範囲で時間のある時にやってくれたのでまだ助かったといえば助かった感じ。
今からであればなんとかなりそうな感じです。
「とりあえず何とかするしかないけど、流石にメニューは変更だな」
七人分となると流石にこのままでは少し足りず。
だからと言って今からワインや具材を足しても、少し味も浅くなってしまいそうなのであまり足すことも出来そうになく。
何か考える他なさそうです。
「あのぉ、すみませんでした」
「あやまるんだったら、我慢してね?」
「どうしても我慢できなくって……」
「その辺りは少しがーさんに相談しないといけないかもね?」
「ええぇ?がーさんに言うのですか?」
「まぁ、今回の件は流石にね……」
「ううぅ」
「言われたくなかったらしっかり我慢すればよかったのに」
「二回目で美味しくって、つい…………」
作った料理をおいしいと言ってもらえるのは嬉しい限りですが、やって良い事と悪い事も理解してもらわないといけないわけで。
叱る事も大事なのですが、お昼にランチを間に合わせないといけないわけで。
何か形を変えてでも作るほかないわけで。
頭をひねって何か絞り出ないかと考えているとパッと思い浮かぶ一品。
「とりあえずやってみるか……」
ご飯は元々炊く予定だったので、先に炊いている間に自分の朝食を。
コレだけ減っているのにハッシュドビーフとはもちろんいかないのでグラノーラで済ませるのですが、ついでに色々と一緒に作業を始めます。
ご飯を炊く準備が終ったら、お水を沸かせてしっかり固ゆでのゆで卵を作ります。
後は乾燥パセリがあるか確認。
「んー、やっぱりコレだけだと少し足りないか」
少し計算をしてみたのですが思っている以上にハッシュドビーフが少ないので更に嵩を増やす方法を考えてみることに。
そこで目に入ったのはジャガイモ。これなら嵩も増えますが味も悪くなりません。
じゃがいもは皮を剥いて薄くスライスしてから水を掛けて耐熱容器に敷いてレンジで温めることに。
茹でるよりも時間がかからず、人数分の量も簡単に準備できました。
「よし、後は形にするだけかな」
使うのはグラタン皿。バターをキッチンペーパーにつけてグラタン皿に塗っていきます。
最初に炊き立てのご飯をある程度薄く敷きます。
そしてハッシュドビーフの汁の部分を多めに全体にかけたら、先程のジャガイモを綺麗に敷き詰めます。
その上にもう一度ハッシュドビーフの汁を掛けて、ご飯を乗せて最後は具材を乗せる様にもう一度ハッシュドビーフを掛けて、あとはチーズを周りに掛けて真ん中は茹で卵一個分を適当な感覚にスライスしたモノをのせて出来上がり。
「ぉおおお?なんですかそれは?」
精霊が聞いてきます。
「ハッシュドビーフが少ないから、色々と他のモノを足して誤魔化したの」
「誤魔化したという割にはかなり美味しそうなのですが?」
「アレだけ食べたのにまだそういう事を言うの?」
「うぐっ」
精霊は静かになりますが、とりあえず時計を見ると結構いい時間。
後はこれをオーブンやトースターで温めるだけにはなりましたが、まあ流石に見える範囲でつまみ食いは出来ないでしょう。
急いで完成させるとしましょうか。
お客さんの分はなんとか出来上がったのですが、人数分ギリギリ。
自分の分は勿論、精霊の分も出来る訳も無く。
「あの、七つしか見えないのですが?」
「無いから作れないよ。誰かさんが食べなければ何とかなったかもしれないけどね」
「え?えぇ?本当に、本当に無いのですか?」
「当たり前でしょ?」
「では、味見は?」
「味見出来るわけがないでしょう?」
「そこにあるのに、食べられない……」
地面へすごくゆっくり精霊が落ちていくのですが、こればかりは自業自得。
何とか人数分出来たので安心したいところですが、メインだけなのでとりあえずサラダでも作るとしましょうか。
時計はもうすぐお昼。
このまま何事も無いといいのですが……。
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