じゃがいもとタコのおつまみ
お昼よりは結構早い時間からおつまみを出していたので、お酒も無しで大丈夫なのかなと思っていたのですが、意外と精霊とがーさんは話すことがあるようで、二人楽しくおつまみを前に会話がかなり盛り上がっている様子。
まあ、盛り上がるのは構わないのですが場所がそのまま厨房だったのである程度時間が経った頃に客席の方へ移動してもらったのですが、時間が経てばチーズも硬くなるので温めなおしも必要にはなりそうですが、今の所は問題が無い様子。
一人厨房でこの後をどうしようかと考えて居たのですが、はじめに火の精霊付きの人。次に風と闇の方が来店。
「がーさんと精霊がワインを待ちながらおつまみを食べているので客席へどうぞ」
「え?もう来ているの?」
僕からすれば男性陣の皆さんがお昼に来ている時点でがーさんとあまり変わりない気がしたのですが、がーさんが持って来たコンビニの袋は結構な大きさで。
中身もたくさん入っていたので、もしかしたらとある程度予想済みだったのでそこまで慌てる事も無く。
「ワインが来たら、またお知らせしますから」
「そうしたら、ついでに少し野菜も欲しい」
「分かりました。すぐ用意しますね」
いつものお昼の様相に近くなってきている気がしますが、まあ範囲内。
カマンベールチーズに切り込みを入れてなんちゃってフォンデュを出すつもりなのですが、パンとソーセージだけだと具材も寂しいのでついでにニンジンやブロッコリーを茹でて食べやすい大きさにカットして一緒に出すことに。
他にも生でいけるのでプチトマトを出すとワインも無いのに男性陣はかなり楽しそうに飲み会を始めた様子。
「ワインが来る前からこれだとワインが来たら大変そうだなぁ……」
そんな事を思いながらも、なんちゃってフォンデュを一人一つずつ出していきます。
勿論キムチの汁を使ったピリ辛さきいかやその具材であるキムチも小皿で出していきます。
少し時間が経って、おつまみ一式も出し終えてブランチのようなものを食べていた自分も少しだけお腹が減ってくるような頃に扉の開く音。
その音を待っていましたとばかりに客席の皆さんが玄関へ迎えに行きます。
「飲んでないのに楽しそうね?」
「おうよ。ちょっとしたおつまみなんだがこれもまた美味くてな」
「あら、それは私達も食べたいわね?」
私達?と思ったのですが、ワインを持ってくるといっていた水の精霊付きの女性だけでなく、土と光の精霊付きの方も一緒に来た模様。
いつものお昼と同じ人数が揃った感じですが、まずはワインを受け取るとしましょう。
「今日は持ってきてもらってすみません」
「いいのよ。こっちが無理を言って貰って貰うのだから」
そう言ってはいるのですが、現物が全く見当たらず。
「あの、ワインは?」
「何処に置いたらいいか聞いてから出そうかと」
「あ、そうですね。入り口横の倉庫みたいな場所だったら涼しくて温度も保たれるのでいいかなって」
「わかったわ」
ついて行って案内をします。
玄関を入ってすぐの右の扉の中。そこは木刀の木等を保管している場所なのですが、丁度いい感じに広さもあります。
「ここでいいの?」
「ええ。お願いしても?」
「わかったわ」
そう言うと、鞄を横に倒して右手でトントンとカバンを叩きます。
するとカバンの中からワインが入っているビンの音がする大きな木箱がゴトっと重たそうな音で置かれていきます。
「え?」
「あら、こういう魔法は初めて?」
「え、ええ。収納魔法ですか?」
「まぁ、そんなところかしらね。まだ知らないのであれば私の口からは教えられないわね」
「あ、はい。そうですか」
目の前の光景はなかなかビックリ。カバンの大きさからはどうやっても想像できないような量の木箱が部屋の中にどんどん置かれていきます。
「えーっと、こっちの木箱が白ワインで、あっち側が赤ワインね」
「こんなにいいのですか?」
「むしろお願いしたい感じなのよ?」
「では、有り難くいただきますね。あの、早速皆さんに振る舞っても?」
「私も飲ませてもらうけどね」
「ええ、どうぞ」
と言う感じの話がありまして。
今は皆さんの分のなんちゃってフォンデュを出し終えた所。
勿論ワインも赤と白と両方出したので、皆さんはお酒も入って楽しそうな感じ。
「少しチーズが硬くなってきたのだが?」
火の精霊付きの人がフォンデュのチーズが硬くなってきて少し付けづらくなってきたのを持って厨房へ来たので温めなおすことに。
今まではそのまま温めるだけでしたが、モノがあるのでほんの少しの工夫という事で確認をしてみます。
「少しだけお酒の味が強くなっても大丈夫ですか?」
「全然問題ないが?」
という事でチーズの所に足すのは少量の白ワイン。
コレを入れて温めると水分も増えているのでチーズもさらに柔らかくなります。
「どうぞ」
「おぉぉぉ。コレは自慢できる」
自慢するほどの事だとは思えませんが、少し面倒になりそうな予感はしながらも自分もお腹が減っている事に気が付きます。
「何か少し作るか……」
自分のお昼を作る予定ではあるのですが、お客さんも楽しめた方がいいと思うとつまみに近い形のモノがいいでしょう。
いつも通りに冷蔵庫とちょっと相談をするように考えてから、お昼を作りましょう。
使う材料はジャガイモ、タコ、ドライトマト、ニンニクとバジル。
まずはジャガイモからで、一口大に切りそろえます。そしてコレを茹でている間にニンニクをみじん切りにして、タコの足も食べやすい大きさに切ります。
茹であがったジャガイモの皮を剥いてあげるのですが、茹でてからの方が皮を薄く剥けます。
準備はこの位。
一つに纏めて一気に完成させましょう。
オリーブオイルを軽く敷いたフライパンにまずはニンニクのみじん切りを入れて弱火でニンニクの香りをオイルに移します。
ドライトマトとタコも入れてタコにも火をある程度入れましょう。
トマトの旨味とタコの旨味がフライパンに出て来たら茹でたジャガイモを入れて塩を振って味を整えます。
最後にバジルを手でちぎりながら全体に掛けて纏めたら出来上がり。
「なにか凄く美味しそうな香りがするのですがー」
精霊に鼻があるのを見た事は無いのですが、ワインをお客さんと一緒に飲んでいたと思っていたのに香りにつられて厨房へ来た様子。
「おつまみの追加だよ。今持って行くね」
「流石雅です!略してサスマサ!!!」
精霊は結構笑っているのですが多分酔っているのでしょう。
客席へ持っていくと皆さん各々ワインとおつまみで楽しんでいる様子。
「フォンデュいいわぁ」
「いや、このピリっとくるさきいかが……」
「キムチをちょっとフォンデュにつけるとまた違った旨味が」
「ん?追加のおつまみ?」
光の精霊付きの女性がすぐにこっちに寄って来たので皆さんへどうぞとつまみを置いてさっさと厨房へ。
このままだとゆっくり食べられそうになかったので、韓国のりと海苔を少し小さめにカットしてそれをスライスチーズに巻いてもう一品追加でおつまみを出してからゆっくりと自分のお昼時間。
芋とタコの食感の違いにドライトマトの旨味そして鼻を抜けるバジルの風味と結構美味しい一品なのですが、流石にコレだけでは少し足りないのでおつまみでも出しているバケットを数枚焼いて、チーズを乗せてそこの上にコレを置いてそのまま口へ。
「ん、いいね」
お客さんはお客さんで楽しんでいるようなので、厨房で一人ちょっと美味しい遅めのお昼もなかなかおつなものです。
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