★ダンジョン57
何とかコドモドラゴンから逃げ切って、肩で息をしていたのでちょっとだけ呼吸を整えるための休憩を。
といってもだたっ広い平原なので遮蔽物も無く。
ただありがたいのは直射日光のような状態にもかかわらず丁度いい温かさ程度で熱く感じないのは助かります。
「ふぅ、何とか逃げ切れたね」
「食欲優先のようでよかったですね」
「本当。ちょっと誰かさんに似ている気がしたけどそうでもないか」
「ん?」
「ん?」
少しだけ間があって、大きく一息吐くと呼吸も整います。
走って逃げている間も一応周りの確認はしていたのですが階段らしきものは見つからず。
「あ、また罠が一杯ある」
「という事は?」
「うん、また隅っこかもしれない」
足元は赤く見える罠が沢山散りばめられていてわざわざ行きたいようには見えず。
さっきの角と一緒で少し大きくズレながら南に向かって歩くとやはり壁に突き当たりました。
「壁だね」
「四隅は罠だらけというのは何かあるのですかね?」
「さあ?ただ罠が多くあると隅っこだよって罠が見えない人でもわかる様にしているとも思えるね」
「あー、そうですよね。普通は見えないですものね」
そう、普通は罠が見える訳ではないので引っかかってからこの辺りは……となるわけで。
あれからキャタピラーもコドモドラゴンとも会わずに済んでいるので助かっているのですが、アイテムも見つからず。
もしかしたら見逃しているのかもしれませんが、まあ逃げている時にはそんな余裕はなかったので仕方ない部分も。
「次は西へ向けてですか?」
「そうだね。少し北側も確認しながら階段があるといいんだけどね」
「本当ですね」
その後もそれなりのスピードで歩いて探索。
結構遠くの方でバリバリと音だけが聞こえたのですが、それはさっきコドモドラゴンが魔石を食べていた時と同じような音。
見つからない様に体をかがめて音のした方と反対へ丁度向かっていたのでそそくさと逃げます。
今回は敵に全然会う事無く南西の隅へ来られた模様。
「やっぱり罠が一杯だね。それにしても階段が……ない」
「あとはここから北へ向けて行くだけですね」
「うん。これで見つからないともう少し内側に入ってもう一周って感じかな」
「思っている以上にこのフロアは困りますね」
「だね」
やはり罠が沢山隅にはあるので少しズレながら西の端に手が付くところまで移動をして、北上を開始。
少し歩いていると、そこにはモンスターハウスの様な状態になっているキャタピラーの群れを発見。
「流石にアレには突っ込めないね」
「ええ。量が多すぎますね」
パッと見るだけでもキャタピラーは四種類のタイプが二匹以上いる感じ。ツルツルのタイヤの様なローリング攻撃をしてきたタイプとトゲトゲのタイプ。全身毛むくじゃらのように細い毛がびっしりのタイプと明らかに色が毒と言っているような真っ赤なタイプ。
それが今自分の歩く前方右前辺りに固まって居ます。
「さて、どうしよう?走り抜けるのは難しいよね」
「多分見つかりますね。あとローリング攻撃してきたタイプが後ろから狙ってきそうなので危ないですね」
「あー、それはあるね」
走り抜けるのはダメそう。
「屈んで、静かにゆっくり?」
「それも多分あの量であればこっちへ移動してくる個体も居るでしょうから厳しいのでは?」
「あー、そうだよね」
ゆっくり移動も難しそう。
「って事は、待機するか引き返すしかない感じか」
「それが一番安全でしょうね」
安全は大事な要素なのでそうなると待機と引き返すの二択なのですが、ただジーッと待つのも休憩が出来るわけではないのでそれほど歓迎できるわけでもなく。
でも、結局安全を取るしかないと待つことにしようかと思っていると、
「ねぇ、精霊?あれって、スネーク?」
「え?この階層にスネークはいないはずですけど?」
「だよね?」
そう言った僕の視線の先にはスネークの様な蛇が一匹目を細くしてキャタピラーを見ています。
その時ゾワリと今まで感じたことのない戦慄が走ります。
一瞬にして息も出来ず、ただここにいること自体が間違いだったと体中のセンサーがアラートをMAXに発する感じ。
恐怖で目が閉じられないので目は開けたまま。
その目に映ったのは一方的な食事風景。
一匹の蛇がチロチロと下を出してキャタピラーの群れにゆっくりと向かうとキャタピラー達も自分同様に恐怖で動けない様子。
蛇は目を細めたままキャタピラーをそのまま丸呑みします。
怖いのに目が離せず、動きたいのに動けない。
金縛りにあってしまったような感じです。
自分の知っている蛇は丸呑みにしたあとは何処かでゆっくり休んで消化をさせるはずですが目の前の蛇はそんな事は無く。丸呑みして数秒もすると最初と同じ大きさに。
するとすぐに近くのキャタピラーを同じようにまた丸呑みの繰り返し。
七匹目を丸呑みした後、額から流れた汗が瞼に乗ってそれが頬を伝うように下へと行くのを感じた瞬間、今まで動かなかった全身が動くように。
体が動くのが分かって初めにしたのは利き手を握って開く事。
動くのが分かれば逃げられると思い、すぐに汗を拭って音を立てない様に後ろへ下がります。
それでも視線はさっきの蛇の様なモンスターに合わせたまま。
一歩、二歩、三歩と下がっているとキャタピラーも動けるようになった様でありがたい事にこちらとは反対の方向東の方へ移動します。
それを追うように移動したので下がるのを止めて一気に駆け抜ける事に。
出来るだけ小さな声ですぐに、魔法を確定させます。
「身体強化」
全身に魔力が漲ったと同時にグッと蹴り出して、一気に北上をすると見えたのは階段。
近くにアイテムがあるようにも見えましたがそんな事はどうでもよく。
急いでその階段に入ります。
階段に入るといつもの様に真っ白な階段の部屋。
「ふぅぅぅぅ」
大きな息が一つだけ。
そしてその息が吐き終わると、全身の震えが。
生き延びた事を感じる瞬間になりました。
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
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