★ダンジョン54
何が大変なのか聞きたい所ではありますが、それと同じぐらい見て体験したいという気持ちもあって。
「命の危険は?」
「そういった大変ではないですね」
「それだったら」
「ついてから話す方がよさそうですね?」
「うん。悪いね?」
「いえいえ。私も少し信じられないと思っている話なので」
信じられないと思う話?
それなのに命の危険は無い?
どういう事だろうと考えてみても答えが出るわけでもなく。
リュックを背負って階段を降りればすぐにわかることなので楽しみにするほかありません。
「休憩もあまり長く取りすぎると疲れるから、行ける?」
「ええ。水分補給に栄養補給も出来たのでばっちりです」
「じゃあ、行こうか」
「はい」
リュックを背負いなおして、木刀を確認してついでにサイドポケットの回復や万が一の時に敵に投げる紫のビンも確認。
すぐに使える状態になっている事を確認して階段を降りていきます。
するとそこに広がっていたのは、平原でした。
「は?」
「ほえぇえ。本当なんですねぇ」
今まで階段を降りると部屋があって、通路があって、かなり狭い部屋もありましたがそこまで明るい事も無かったのですが、ここは平原。
「え?」
全く頭が追いつかないのですが、動かなければ安全という思考が残っていたのは幸いでしょう。
一歩も動かないまま、精霊に確認をしてみます。
「どういう事?」
「二十五階は専用フロアみたいでして」
「専用フロア?」
「ええ。キャタピラーというモンスターの巣窟となっているって情報を仕入れたのです」
「うんうん」
「ミスがあってはいけないと思ってもっとよく調べてみたのですが、分かったことがありまして、それがこの広さです」
この広い平原にキャタピラーが居ることは分かりました。
「ダンジョンの中なんだよね?」
「ええ。そう言うフロアだと思っていただければ」
「通路無し。大きく一部屋って感じか」
「ですです。ちゃんと部屋と同じ作りの様なので、足元に罠もありますし何処かに階段もあるはずです」
「……この広さのどこかに階段があるんだ」
ぱっと見渡してもかなりの広さに見えるのでコレは途方もない事になりそうな予感がヒシヒシとします。
「明るいね?」
「ですね。その代わり足元に草が生えているので罠はやっぱり見えづらいと思いますけどね」
「あー、そう言う感じで罠も隠されているのね?」
なるほど。明るくても優しくはなさそう。
ただ罠見えの腕輪があるので平原をよく見れば赤くうっすら見えるので今まで通り罠にはかからないで済みそうです。
「それとですね、もう一匹モンスターが居まして」
「あー、キャタピラー以外にもいるんだ」
「ええ。それがかなり強敵でして」
「ほほぅ?」
そう言われるとワクワクしてしまいます。
強敵なモンスター。今までの様な特殊な強さを持つタイプのモンスターは倒せれば楽しいのですが、倒せないのが多かったので今回もかなり大変な気がしそう。
「コドモドラゴンというモンスターがいるので、見つけたら急いで逃げた方がいいと思います」
精霊の言葉にすぐに頷いて、少し経ってもう一度頷きます。
なるほど、コドモドラゴンね。
子供ドラゴン?
「え?ドラゴン?」
「ええ。コドモドラゴンというドラゴンの子供のモンスターです」
「おおおおおおお……やったぁ!!」
いきなりの驚きに精霊がビクッとしていますが、自分としては嬉しい限り。
こっちの世界に来て魔法があると聞いてビックリしたのはついこの間ですが、ダンジョンを探索していてついにドラゴンに出会える日が来るとは。
「ど、どうかしましたか?」
「いや、嬉しくて」
「嬉しいのです?」
「だって、ドラゴンが居るんでしょう?」
「ええ、コドモドラゴンですけどね?」
子供でもドラゴンはドラゴン。
嬉しいに変わりは全くなく。
キャタピラーとコドモドラゴンがこのフロアにいるという事が分かったので、早速一歩目を踏み出すとしましょうか。
気持ちはかなり逸っていて、勿論それはドラゴンが見たいからなのですが時間が少し経って冷静になってくると精霊の言葉を思い出します。
「コドモドラゴンを見たら逃げた方がいいんだっけ?」
「ええ。残念ながら今の私達では倒す事はほぼ無理ですから」
「滅茶苦茶強いって事?」
「ええ。まがりなりにもドラゴンですから。魔法も殆ど効きませんし、物理的にもかなり硬いですから」
「あー、こっそり見るとかは?」
「見つからなければ何とか」
「あー、そんな感じか」
かなり喜んでいた気分は一気にしぼんでしまったのですが、一応見る事ぐらいは可能な様子。
周りを見回してもパッと見た感じはモンスターが居ない様に見えるのですが、
「雅、キャタピラーが近づいてきています」
精霊のその声で、すぐに木刀を引き抜いて臨戦態勢へ。
精霊の言う通りで右斜め先からこちらへかなりの勢いでキャタピラーが近づいてきます。
近づいてくるというよりは、コレは……。
「転がってきてる!?」
「ああいう攻撃です!」
目の前のキャタピラーは結構な大きさで、分かりやすいかは分かりませんが地球で言えばタイヤがそのままこっちへ向かってくる感じでしょうか?
土煙をあげてぼよーんと途中で飛び跳ねながらも正確にこちらを狙って攻撃をしてきます。
勢いが凄すぎて止めることは無理そうなのでそうなるとやれることは避ける事。
結構早めに横へ逃げようとしたのですが、どういうわけか正確にこちらを追って体当たりをしてきそう。
あの勢いでは木刀でいなすのも無理でしょう。
いきなり出て来たキャタピラーによって二十五階は慌ただしいスタートになります。
今回も読んでいただきありがとうございます
一つの作品中に別の作品を書けるほどの文章力は無いのですが
短編を書きました
お時間があったら読んでみて下さい
https://book1.adouzi.eu.org/n2129hk/
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




