★ダンジョン48
目の前で通路が塞がれてしまって、さて、どうしたものか。
「厄介だねぇ?ウォールゴーレム」
「ええ、本当に」
「物理攻撃は効かないんだよね?」
「叩くとよくわかると思いますよ」
「そうなの?」
言われるままに木刀を準備して軽くたたいてみます。
カン……カン!
まるで鉄を叩いているようなかなり硬いものを叩く音。
「硬そうな音だ事で……」
そう思いながら近くの壁を叩いてみたのですが、土壁のようなものなので何も音が鳴りません。
「なるほど、こういう風に叩くとすぐにわかるわけだ」
「ですねぇ。さて、どうしましょう?迂回します?」
「あのさ、本当に倒せないの?」
「物理では絶対に無理でしょうね」
「物理では、だよねぇ。魔法は?」
「あ、そうですね?どうなるのでしょう?」
精霊は知っていたのか、想定していなかったのか。
かなりの硬さがあるので簡単に倒せるとは思っていませんが、叩けば分かりやすい音なので場所はすぐに判明します。
今もこの先へ続く通路の目の前にいるわけで。
とりあえず風の魔法を武器に纏っていつもの様に。
「風っ!」
風の刃を飛ばしてみます。
すると、音がなる事も無く風の刃が壁にめり込んでいきます。そのまま風の刃が途中で止まったのか壁は抉れた感じになります。
「魔法は効くね」
「ですね。なるほど、物理に強いは魔法に弱いと聞きますが、かなり弱いのですね」
ウォールゴーレムに魔法攻撃はしっかりと効いた様子で、壁は抉れたまま回復する様子は無く。
分かってはいるのですが、一応と抉れた部分を木刀で突いてみましたがカンッと音は変わらずでそれが深くなる事も全くなく。
「内側は柔らかいって事も無いみたいだね」
「ですね」
という事でもう一撃。
木刀に風を纏って刃を飛ばします。
「風っ!」
ウォールゴーレムの抉れた場所にもう一回風の刃が入っていくと貫通して、反対側の通路が見えます。そして貫通できたのがウォールゴーレムの体力限界だったようで、煙になって魔石をコロンと落とします。
「おお、倒せたね。攻撃してこないモンスターでもこういう厄介なモンスターも居るわけだね」
「イケましたね」
精霊も頷くような動きをして同意してくれます。
これで塞がれていた道に入れるわけで。
通路が心なし明るくみえる気がするほど。
「また塞がれる前に先に進もう」
「ええ。多分この先に階段があるはずですからね」
今までよりも通路は長く、モンスターが塞いでいた為か前からモンスターが来ることも無く。
サクサク進むとやっと通路が終りそう。
そこには部屋が勿論あったのですが、敵も結構居る感じ。
「バタフライもスネークも居るね」
「どうしましょう?」
「うーん、アイテムも落ちているように見えるけどあっちのアレ階段っぽいよね?」
「あっ、本当ですね」
「駆け込む?」
「その方がいいかもしれないですね」
経験値という意味でも、魔石確保という意味でも戦いたい気持ちはあるのですが、解毒薬が無いのでやはり戦いづらい所はあって。
何かいい案が浮かべばいいのですが今すぐにパッと思い浮かぶものも無く。
そうすると先に進むという選択がやはり選ばれるわけで。
「身体強化!」
少しでも敵にやられない様にする為にも、速さをあげる為もあって身体強化をして一気に階段へ向かうとしましょう。
通路のギリギリの位置から部屋の中のバタフライとスネークを伺って、こちらに背中を向ける瞬間を狙います
モンスターの動きはチグハグで法則性が感じられるものではありませんが、少し待つとやっとこちらの狙い通り背中を向けます
「いこうっ!」
サッと駆けて一気に階段へ。
四歩目あたりでバタフライは気が付いて鱗粉をこちらへ攻撃してきますが距離もあって届く前に階段に届きそう。
スネークはまだ気が付いていないのか後ろを向いたまま。
イケたと思いますが気を緩めずにそのまま駆けて階段に入って、大きく『ふぅ』と息を吐いて吸い込みます。
「ちょっと危なかったですね」
「だね。まあ、とりあえず休憩しよう」
「ええ。水分補給や干し肉が欲しいです」
精霊の言う通りで。一回休憩を挟みたい所。
階段を少しだけ降りて、腰を下ろしてリュックも降ろして休憩タイム。
まずは水分補給とスポーツドリンクを飲んだのですがいつも以上に美味しく感じます。
「思っていたよりも緊張していたみたい」
「そうなのです?」
「うん。喉がかなり渇いていたみたいですっごく美味しいわ」
「毒を初めて体験したわけですからね」
「まぁ、そうだね。というかスネーク強いなぁ。噛みつかれたら毒になるのが確定しているのが痛すぎるね」
「そう言われてしまうとそうですねぇ。噛みつかれないように避け続けるのは大変そうですものね」
「避け続けるのは無理だね。絶対に何処かでスタミナ切れが起こる気がする。因みにこの後の階もでるんだよね?」
「勿論です。次の階もモンスターに変わりはありません」
「マジかー。ずっと逃げるわけにもいかないとなると戦う方法も考えないといけないなぁ」
干し肉をリュックから出して自分と精霊に渡して齧ります。
いつもの様に唾液で少しずつ柔らかくなって食べているとなかなかいい味をじっくりと出してくれてジャーキーとは違う中々のモノ。
「ダンジョン味もいいものですね」
「うん。どうしたものかねー」
スネーク対策を少し考えながらゆっくりと休憩をとってから次の二十四階に挑むとしましょう。
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