大葉とツナマヨコーンのトースト
予想に反して、お昼はかなり慌ただしく。
豚の味噌漬けのランチを出したのですが、マスターのお店での食べ方を知っていたがーさんは最初から卵を注文。
それに倣うように、皆さんも注文して美味しく食べてもらったのは良かったのですが、マヨネーズの話をしなかったのが良くなかったようで。
二切れだけ残しているがーさんがトマトの脇に添えていたマヨネーズに付けて食べるのを何人かが見て驚愕の表情。
気が付くかどうか程度でわざわざ話す程の事ではないと思っていたのですが、卵があるので卵をつける、もしくはそのままで思考が止まっていたのでしょう。
男性陣はがっくりとうなだれて、女性陣は小さく頷きます。
というのも、男性陣は勢いに任せてガンガン食べるのでもう味噌漬けは残っておらず。女性陣はゆっくり目なので、一切れぐらいは残っているので味見ぐらいは可能です。
それを厨房から見ていた精霊が、
「雅っ!マヨネーズに付けるなんて聞いていませんが」
「言わなかったカモ?」
「なんですとー!!」
と、厨房では精霊がかなり激しく反応しまして。
まぁ、自分の分を一切れあげればいいかなと言う感じで後に落ち着くのですがそこに至るまでは結構時間がかかって。
そんなことがありまして、お昼は慌ただしく過ぎていきましたが本題はそこではなくて。
帰り際にがーさんと女性陣が手招きをします。
「ちょっと話があるみたいなんだ」
「どうかしましたか?」
「少し相談がありまして」
「相談、ですか?」
「ん?何か面白そうな話をしているな?」
男性陣もいつもならすぐに来るみんなが居ない事で後ろを振り向くと、会話に混ざってきます。
「関係ない人たちはいいのよ。話を聞かなくて」
「いやいや、面白そうな話だと勘が働くものだからね」
一気にわちゃわちゃとしてきます。
「で、なんでしょう?」
「ウチの国の名産品のワインが結構な量あって配ったけれどそれでもまだあるのよ」
それは水の精霊付きの女性の言葉。
「あー、あの美味しいワインな。貰ったなそう言えばこの前」
「色々なところに配ったけどそれでもまだあるから、貰ってくれないかしらって話なのよ。だからあなたたちは関係ないの」
「まぁ、そう言われると貰ったモノの話だから……そうだな」
「ワインですか。調理に使っていいのであれば貰いますよ。ただ僕はまだ飲めませんが、皆さんも飲んでいるようですしそれなりにいいモノなのでは?」
「いいモノでも多すぎると困っちゃうのよ?」
「そういうモノですか」
ワインであれば洋食に使えますし、色々と加工方法も思い浮かぶので貰って困るものでもなく。
「いただけるのであればありがたく頂戴したいです」
ワインをたっぷり使ったモノを色々と想像できるのでそれはそれで楽しそう。
「量があるから、明後日辺りでいいかしら?」
「分かりました。今週は明日のうちにダンジョンに行って明後日は開けておくようにします。ワインかぁ」
「じゃあ、その時は僕も一緒にお邪魔するよ」
突然という程でもありませんが、がーさんが話に乗っかる様に言います。
「因みに明後日はいつごろ持ってくる予定だ?」
火の精霊付きの人が水の精霊付きの人に聞いてきます。
「お昼過ぎでどうかしら?」
「その時間までには起きていると思いますから、大丈夫だと思います」
「では、そんな感じにお願いするわ」
「ふむ」
男性陣は思案顔で、女性陣もなにやら皆さん目を合わせない感じ。
がーさんに至ってはにやにやと笑っているのが少し不気味ですが、明後日のお昼過ぎワインが運ばれる事が決まった感じ。
「じゃあ、今日も御馳走様でした」
「次はマヨネーズを使ってもうひと味楽しむからな」
「今日も美味しかったわ」
「ご馳走様でした」
「…………(無言で頷く)」
全員が帰ると一気に静かになりますが、なんというか嵐が去った感じと似ていて結構すがすがしいモノでもあります。
「雅、早くマヨネーズをつけた豚の味噌漬けが食べたいです」
「……はいはい」
精霊はいつも通りなので、すぐに戻って片付けと自分の分の調理。
味噌漬けの焼き方は七割ほど味噌を落として、少量の油を敷いて焼くのですが蓋が大事。
焼き色が付くまで大体四分程度なのですが、その間蓋をして中まで火が通るように蒸し焼きもします。片面が終ったらひっくり返して反対側も。
多少の焦げは味噌が焼けているのでなかなかおいしくて人によっては焼き味噌が酒のつまみと言う人がいるほどには美味しいモノ。
しっかりと焼けたらあとは包丁で食べやすい大きさにカットして出来上がり。
「一切れだけだからね」
「しょうがないですねぇ」
そのセリフは精霊ではなく僕のセリフだと思うのですが、まあ一切れあげるだけで何とかなるのは助かります。
「マヨネーズだと角が取れて卵よりも複雑な感じの味ですね。でもご飯は進みそう……」
どこでどうやって覚えているのか知りませんが、精霊の食レポを適当に聞き流して、お昼を終えたら、今日は自分の中の金曜日。
木刀の納品に行く予定です。
お昼を済ませて、洗い物を終えて出来た木刀を持って東の消防署のような建物に今日も行きましょう。
「こんにちは」
「おっ、今週の分だね?」
「です。六角棒はもう皆さんに渡ったみたいですね?」
「ああ。お、今回は三本か」
「ええ。安定して三本ぐらいまでならできそうですね」
「棒術も悪くないが、やはりそっちの方が手になじみが良くてね」
「そういうものですか」
そんな会話をしながら三本ほど今回も木刀を納品して、サッサとお暇することに。
「ゆっくりしていっていいんだよ?」
「いやぁ、明日またダンジョンに潜ろうと思っているので用意がありまして」
「まあ、無理強いするつもりはないから仕方ないが、ダンジョンも無理はするなよ?」
「ええ。楽しむ程度にしますよ」
そんな感じの会話を終えて家に戻ってダンジョンの支度を始めます。
ただ、今までよりもかなり楽になっているのはリュックの存在。
今までは用意して、確認をして風呂敷で包む形のリュックでしたが、今は入れてしまえばオッケー。
干し肉もまだ少し残っているので今回も持って行きながら、自作のジャーキーも持って行き、飲み物は明日の朝に作ればオッケー。
武器はいつもの感じで三本の木刀で、クローゼットからドラゴンローブを取り出して明日すぐに着やすい用に準備も忘れず。
「こんなところかな」
ダンジョンの準備も終わったら、今日やることは殆ど終わり。
「そろそろお夕食でしょうか?」
「あー、そうだね。何か作ろうか」
お昼が終って、次は夜。
生きている以上お腹も減ります。
明日の事を考えるとそんなに凝ったものを作りたい気分でもなく。
「ご飯が続いたから、パンか麺。麺は昨日食べたし、そうなるとパンかな?」
お客さんに出すわけではないとなれば、結構簡単に思い浮かぶものもあります。
洗い物も少なめで、簡単で美味しいモノ。
ちゃちゃっと作ってしまいましょう。
最初にまな板と包丁を出して、切るものは大葉。
茎の部分を落としてクルリと丸めて包丁で千切りにしてからもう一度クルリと横に回してみじん切りに。
包丁はここでおさらばで、まな板もココまで。
先にボウルに水気を切ったツナとコーンを一緒に入れて、その中へ今切ったばかりの大葉も投入。
味付けはマヨネーズ、塩、コショウ、お好みで少しだけマスタードやからしを入れるとちょっと大人な味に。
これをパンに塗って焼くだけの一品なのですが、中々のボリュームを感じる一品に。
「精霊、もうすぐ出来あがるよー」
「はーい」
ツナとマヨネーズがボリュームでコーンは食感、大葉がさっぱりを出してくれて、アクセントのマスタードやからしの辛味がただのトーストを何倍も美味しくしてくれます。
上に乗せたものはそのまま取っておいて、明日の朝に同じことをして朝食の手間を飛ばすとしましょう。
明日のダンジョン、新しい階層はどんな敵が出るのか楽しみな夜を過ごします。
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