みぞれ煮
メイン不在で時間は刻々と過ぎていくのですが、出来上がった煮っ転がしは結構いい感じに濃い目の味に出来上がり。
そうなってくると少しアッサリした感じが欲しいなと思ってきます。
「あっさりといえば……」
「あっさりといえば?」
僕の言葉に精霊が輪唱の様に続きます。
「おろしなんていいんじゃない?」
「おろし?ですか」
副菜としておろしを出すことはあった気がしますが、メインでは使っていなかったかもしれません。
少しだけ手間はかかりますが、今からであれば間に合うハズ。
気合を入れなおして作るとしましょう。
使う材料は少しだけ豪華に。鶏モモ肉、ナス、マイタケやしめじ等のキノコ類、時間があればお餅も入れてもいいのですが、今日はご飯の用意があるのでなくても大丈夫でしょう。
鶏モモ肉は一口大に切りそろえて、軽く塩を振って休ませます。その間にナスは乱切りで切りそろえて、マイタケかしめじは手でほぐして食べやすい大きさにそろえます。
塩を振ったモモ肉は水気が少し出るので綺麗に拭ってから片栗粉でコーティング。
ここまでも同時のタイミングで色々やっていますが、更にここからが同時進行で一気に大変な部分。時間があるのであれば先に大根おろしをすってからで大丈夫。ですが、今日の僕には時間が無いので同時に。
油を少し多めに敷いたフライパンに粉を振った鶏肉、ナス、マイタケを入れて中火で焼き炒めます。
ナスやマイタケはそれなりの時間で火が通るので、野菜に火が通ったら野菜は一度取り出します。
鶏肉だけはしっかりと火を通しておきたいので、野菜を取り出してから蓋をしながら中までしっかりと火が通る様にしておきます。この鶏肉にしっかり火を通している間に急いで大根おろしをすりおろし。というか、ちょくちょく時間が余っている時はどんどんおろしている感じで、鶏肉にしっかりと火が通ったら野菜を戻して、出汁、大根おろし、醤油、酒、みりんを入れて大根おろしがあったまったら出来上がり。
出汁が入っているので味は結構薄目でも大丈夫。
大根おろしの水気も勿論全部使って、美味しく食べてしまうのですがこのおろしの水気がさっぱりをかなり演出してくれます。
出来立てを早速味見してみようとすると、
「雅、私の分もお願いします」
「はいはい」
出来立てのみぞれ煮を精霊にも出します。
味見なので自分も一緒に一つずつ食べてみましょう。
鶏肉はコーティングのおかげかパサつくことなくいい食感でつるっと入るので食べやすく、ナスも少し香ばしく、マイタケとおろしが優しくいい味に包んでくれます。
「コレはもっと食べたいです」
「いや、味見だからね?」
「お昼が待てそうにないのですが?」
「お味噌汁作る時間ぐらいは待てる?」
「まぁ、それぐらいであれば」
という感じで、今日のお昼を精霊は先に一人食べることに。
作るお味噌汁は単純に、赤味噌で豆腐を賽の目に切ったいたってシンプルな一品。
ですが、これがなかなか。
と、お味噌汁を作っている間にご飯が炊けたようで、この後お客さんに出す様に精霊の分を盛りつけてみます。
ご飯、お味噌汁、メインのみぞれ煮に煮っ転がしを見て、思ったのは一つ。
「ちょっと色が地味だね」
「言われてみると、茶色系ばかりに見えますね」
「ちょっとだけ精霊待って、すぐに終わるから」
みぞれ煮には万能ねぎを小口切りにして緑をプラス。どうしてももう少し色が欲しいので、もう一つ小鉢を追加してプチトマトを三つ程で色合いのバランスを整えた感じ。
「えー、プチトマトですか?」
「色合いで」
「いらないのですが……」
「食べない?」
「このままだと手が伸びにくいです」
仕方ないので、そのまま一度下げて色合いをもう一度再考。
明るい色があると良さそうとなると暖色系?でもプチトマトに暖色系をあわせる?
真っ先に思い付いた色は黄色で、今日は使っていないので一品に昇華も簡単なはず。
「精霊は食べていていいよ。すぐに出すから」
「ではお先にいただきます」
精霊が食事を初めても問題は無く。
味付けもシンプルで使う材料も二つだけ。プチトマトはヘタを取って半分か四等分にして、卵を溶いて一緒に炒めるだけ。一人分と決めているので逆に卵も一つとシンプルな材料で簡単に一人前を。
プチトマトを小さいフライパンで少しだけ火を入れて、塩を振って水分が出て来たところへ逃がさぬように卵を入れて半熟に火を通すだけ。
「プチトマトの卵焼き、味は薄目だからね」
「おぉぉ、これなら食べたいです」
なんともな言い方をする精霊ですが、パッと見てみると殆ど食べてしまっているのでかなりの速さの食事。
「もう少しゆっくり食べたら?」
「待てなかったのです。今朝は少な目でしたから」
「いや、少なかったのは僕で精霊は結構しっかり食べていたと思うけど?」
「ん?そうでしたっけ?」
お昼はすぐそこまで来ましたが、とりあえず今日のお昼も何とか出来上がり。
さて、お昼を今日も頑張っていきましょうか。
気合を再度入れなおすと、どうやらお客さんが到着した模様。
今週も頑張っていきます。
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