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ジャーキー

 焼肉は美味しくかなり食欲も刺激されてイイペースで減ってしまったのですが、それはイコールでジャーキー用のお肉が減るわけで。

 結局かなりの量が減るのが分かったので途中で冷蔵庫から牛のモモ肉を取り出して同じようにスライスして漬ける事に。

 食事が終ったらいつもはお風呂を済ませて就寝となりますが、今日はちょっとやることが残っている感じ。

 夕食終わりでお風呂を先に済ませて、いつもは戻らない厨房へ戻ります。


「あれ?雅がこの時間にココに居るのは珍しいですね?」

「それはこっちのセリフだけど?寧ろ何で精霊がここに居るの?」

「少し何か食べ物が無いかと。まあぁいつも何もないので飲み物で済ますのですけどね」

「あー、そう」


 多少の間食は認めないわけにもいかないので諦めている所ではありますが、自己申告で言っている以上はまあ問題ない範囲という事で。

 精霊を横目に風呂上がりの牛乳を一杯。


「ぷはぁ、やっぱり風呂上がりの牛乳は美味しい」

「美味しそうですから私も一杯お願いします」

「はいはい」


 精霊の分も一杯入れて、ココからはちょっと長い作業をするとしましょうか。


「で、なぜここに?」

「さっき漬けたお肉を乾燥させるからだよ」

「ではいつもの様にお風呂前にすればよかったのでは?」

「まぁ、本当はそうしたい所だったけど折角だから魔法を使ってみようかと思って」


 そう、魔力を使いすぎると疲れてしまうので先にお風呂を済ませてと今日の順番が逆なのにも理由はあります。

 乾燥と一言でいうと簡単ですが、やることは結構大変そう。


 まずはスライスして漬けているお肉をキッチンペーパーなどで拭いてオーブントレイ等にクッキングシートを敷いてその上にお肉を等間隔で並べます。

 キラキラ肉とモモ肉はパッと見て分かるぐらいに色の違いがあるので間違えようはありませんが、一応オーブントレイは別で分かりやすく分けることに。


「おぉぉぉ。こうやってみていると涎が出そうです」

「精霊、今食べるものじゃないからね?それに涎なんて出ないでしょう?」

「出ませんけど、比喩ですよ比喩。んーいい香りです」

「味見も無いからね?」

「えー、そうなのですか。それはつまらないですね」

「つまらないとかそういう話じゃないから」

「うー、まああまり邪魔をしても仕方がないので今日は早めに寝るとして明日の出来立てを狙うとします」

「出来立ても数日たっても味は変わらないよ?」

「それでも早く食べたいのです」

「……じゃあ、そのまま待っていた方がいいよ?」


 出来立てを味見する予定はありませんが、まあ一つぐらいであれば味の確認として食べることも出来ない事も無さそう。と、こういう甘い顔をするのがいけないのも分かっているのですが、自分の料理をいつも美味しい美味しいと食べてくれる人が近くにいてくれることはかなりありがたいと思っている部分もあるので、強く出ることも出来ないのが何ともな感じ。


「ではゆっくりここで工程を見ながら待たせてもらいます」

「じゃあ、お茶でいい?」


 それほど長く時間がかかるとも思っていないのですが、どのぐらいかかるかもわからないので自分の分のお茶も用意するのでついでで精霊の分も。


 頭の中でコレからする工程をしっかりと考えていざ実践。

 やることは単純で、お肉をしっかりと乾燥させたいだけ。

 となれば必要なのは風と熱。

 ただいきなり魔法を混ぜるのもちょっと怖いので精霊に確認をしてみることに。


「風と火の魔法を混ぜるのって危ないかな?」

「風と火ですか?対属性ではないのでそこまで危ないとは思いませんが、一応がーさんに確認をしましょうか?」

「あー、そうだね。お願いしてもいい?」

「大丈夫です。少々お待ちくださいね?」


 少しの間があって、次に精霊から聞こえてくる声はがーさんの声。


「問題ないよ。攻撃や無茶をするつもりじゃなさそうだからまぁ、魔力も増えているだろうからその辺りのさじ加減は気をつけて」

「あ、はい。いきなりの連絡ですみません」

「いやいや問題ないよ。ダンジョンはどうだい?楽しめているかい?」

「ええ、凄く楽しいです。レイディビートルは今のままでは倒せそうに無いですけどね」

「あぁ、てんとう虫君ねー。ボーナス系モンスターだから仕方ないと思って」

「ボーナス系モンスターですか」

「そそ。まあその辺りもまた話が聞きたくなったら言ってよ。答えられる範囲で答えるからさ」

「ありがとうございます」

「因みに、温風を使って何をするつもりなんだい?」

「ダンジョン用にジャーキーを作ってみようかなって」

「なるほど。量があったらランチでもほしいけど?」

「そこまでの量は作れないと思うので、こっそり一人分ですかね」

「それで手を打つよ。じゃあ、頑張って」


 がーさんの声はその一言で終わりだったようで、


「がーさんに一人前取られるとは……、雅は優しすぎです」

「いや、こんな時間に連絡をしているんだからそのぐらいはね」

「むぅぅ」


 ということで、調理再開。


 がーさんの言葉もちょっとしたヒントになった気がするので、そのまま魔法を考えて唱える言葉も決まります。


「温風」


 範囲は厨房の調理台の上のオーブントレイすべてを囲む大きさで高さも必要ないので薄っぺらで大丈夫。風はゆっくりと流れるけれど、それは少し温く冷たくないそしてその風で飛ばした水分はちゃんと魔法の範囲から抜ける様に。

 想像してみるとなかなか難しい魔法ですが、やってみると意外と簡単なのは六属性の玉のおかげでしょうか?それともさっきも使ったお湯と同じだからかな?

 魔法は思った通りに機能してくれているようですが、当たり前ですがすぐにみられる変化は無く。

 コレは中々時間のかかる作業になる気がしてきます。


「代り映えしませんね?」

「まぁ、そう言う魔法だからね」

「因みに雅の予定ではどの位時間がかかると踏んでいるのです?」

「んー、二時間以上はかかると思っているよ?」

「二時間っ!?本気ですか?」

「本気だよ。まあ、魔力が無くなりそうになったら明日への延期かなぁ」

「うー、ココまで待ってしまっては行くも地獄待つも地獄。悩ましいです」

「どっちも地獄ってどういう事?精霊は何もしていないじゃん?」

「因みにですが、これはどういう事をしているのです?」

「お肉を乾燥させている所だよ」

「乾燥ですか?」

「そそ。お肉から水分を飛ばしているって事だね」

「……水分を飛ばすのでしたら、水の魔法で脱水させた方がいいのでは?」

「…………なるほど?」

「まさか、思いつかなかったのですか?」

「いやぁ、乾燥させないとって思っていたから……。そうか、脱水……ね」


 まさかの調理法の提案ですが、思い至らなかったのでやはり話と言うのはしてみるモノで。

 ただここまでしてしまっているので今回はこのままでいいでしょう。


「今日は気長に待って。脱水は次回で」

「うぅ、もっとしっかり話を聞けばよかったです」

「話してみるものだねぇ」


 僕と精霊は対照的な感じ。新しい調理法を思いつけた喜びの僕とすぐに出来ないという地獄の精霊。顔があったら結構ショックな顔をのぞかせそうですがまあ気長にやるとしましょう。


 結局、いい感じに乾燥できたのは三時間後でそれもまだ中にしっかり火が通っていないのでそこからさらにオーブンへ。となり、夜中を越えての作業になってしまったのですが、ジャーキーの出来は言わずもがな。

 いいモノが出来あがりました。





今回も読んでいただきありがとうございます

目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです

誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません

改めてありがとうございます

毎日投稿頑張ります

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