★ダンジョン35
十九階は前回石を拾った階なので記憶に新しい。
先程聞いた通りでマップは全然違うので、下りた場所からどうするかゆっくりと決めることに。
「とりあえず戻って来たね。十九階」
「ですね。この階はクロウなので少しだけ楽ですかね」
「だねぇ。っと早速お出ましか」
噂をすればなんとやら。クロウがこちらに近づいてくるのが分かります。
ここまでかなり温存できているので、そろそろシッカリ暴れたい所ではあるのでそうなると思いつくのはいつもの行動。
「巣に連れていってもらってアイテム貰おうか」
「ですかね」
精霊と頷き合って魔石をわざと落とすと凄い速さでクロウがそれを銜えます。そしてこちらとは違う通路へ入っていくのでそれを追いかけることに。
通路を抜けて次の部屋は罠が何ヵ所かあって、緑のビンが落ちていたのですが他にもモンスターが。居たのはスクワラルで、すぐにこちらを見つけた感じ。
「クロウを追いかけている最中なんだけど、まあこっちの言葉を聞いてはくれないよね」
罠は当りそうな位置にないので大丈夫そうですが、敵と自分の間には落ちているアイテム緑のビンが。ニヤリと笑うのは何度か見たあの嫌な顔。
「落ちているモノなら何でもいいのか」
こちらが拾うよりも早くスクワラルが移動して緑のビンを持つとこちらへ勢いよく投げてきます。
ですが、投げてきたのは緑のビン。中身は水か塩水か回復薬だから大丈夫だろうと思ってしまったのですが、投げてきたのはあくまでもビン。それも結構な勢いで投げて来るので簡単にキャッチも出来ず、胸のあたりに当りますがそれが結構痛いのなんの。
「イッテェ」
「ダメージですね?」
「ビンはそのまま投げて来るとやっぱりいいダメージなのか」
「みたいですね」
ダメージを与えてスクワラルは喜んでいるようですが、その隙を逃す筈も無く。一気に近づいて前歯に木刀でダメージを。念の為と言う形で前歯の一撃に追撃で頭にも振り下ろしを。すぐに煙になって魔石を落とします。
「ビンの効果が出るかなと思っていたけど、栓を抜かなければただのビンだから痛いよね」
「ですね。そのうちそういう知能を持った敵も出て来る気がするので怖いですね」
「回復薬ならいいけど、毒系や赤いビンの何かわからないモノを投げられるのは怖いね」
「それは怖いですね。っと、クロウが逃げてしまうので急いで追いましょう」
「うん」
緑のビンと魔石を拾ってクロウの背中を追いかける様に次の通路へ。
通路は何度か曲がりながらも脇道が無いので楽。羽の音を頼りに次の部屋へ。
そんな感じに部屋を二つほど抜けると、やっと当たりの様で巣が見つかったのですが、今回は運が悪いのか、そこにはウォーキングパームが。
ただ、居るだけならば問題はないのですが以前見たことのある蕾をつけた状態のウォーキングパーム。そしてその位置も最悪。巣のすぐ近くにいるのです。
「これは、もしかして?」
「厄介かもしれませんね?」
「だよねぇ」
クロウをこちらは追いかけていたので距離は十分離れているのですが、それが逆に仇となった感じ。クロウは巣に拾って来た魔石をコロンと落とすのですが、ウォーキングパームは餌が来たとばかりに二本の蔦を上手く使ってそれを獲得。
「「あ」」
精霊も自分も言える言葉はそれだけでしたが、さてどうなることやら。と、見ている場合ではないのですが気にならないといえばウソにもなります。
ウォーキングパームが魔石を食べると蕾が綺麗に花開きます。
「開花だけなら嬉しいけど……違うよね?」
「ですね。花もどきと同じ効果だったと思います」
「すぐに倒さないとやばいか」
「ええ、速攻が推奨です」
わかったと言わんばかりに木刀を引き抜いて風を纏わせて横薙ぎ一閃。
「風っ」
風の刃を飛ばしてみます。しかし魔石を食べているせいか若干ウォーキングパームも強くなっているようで、蔦二本使ってバッテン印を作る様に防御をしてきます。
勿論こちらの風刃の方が威力は高かったのですが、本体に傷が少しできる程度で防御された模様。そして植物系モンスターだけあって切れた蔦もすぐに再生をしてきます。
「思っているよりも強くなるね」
「ですね。後ろの通路に敵の気配がきているので早々に倒さないとモンスターハウスの様になりますよっ」
精霊の言葉にぎょっとしながら、花もどきと一緒のあの花が敵を呼び寄せていることを思い出します。となれば、次に狙うのはあの花。
「もう一回っ!風っ」
二度目の横薙ぎの一撃がウォーキングパームに飛んで行ったのですが次は防御できそうにないのでイケたと思ったのですが、さっきまで巣に戻っていたクロウが今度はその攻撃を受け止めて煙となって魔石になります。
「まじか」
ウォーキングパームは目の前で煙から魔石になったクロウの魔石をそのまままた口へ。
美味しいのか喜んでいるのかよくわかりませんがウォーキングパームは二本の蔦をぴしぴしとダンジョンに当てながら今度は一回り大きくなった感じ。
「コレは怖いな。そろそろとどめを刺さないと」
「ですね。後ろからタートルもかけつけてきているようですよ」
「それって結構のろのろじゃない?」
そんな軽口をたたきながら次は防御されない、倒せるだけの攻撃をさっさと放つとしましょう。
いつもは動かない木材を切る為の魔法ですが、今回は動く木。とはいっても木は木。切れない道理はありません。個人的にコレを武器にしたいとは思っていなかったのですが、防御をされない為にも近づいてやりましょう。
「風のチェンソー」
いつもはハンドソー程度の小ささで手に持つ感じで使っていますが、相手が相手なので出来るかどうかは分かりませんでしたが、木刀にチェーンが巻き付いている状態を想像。木刀の周りをチェーンソーが凄い速さで回っている感じ。
「接近戦は怖いけど、いけっるっかぁなっっと」
軽くステップを踏みながら木刀片手に接近していきます。
勿論それをただウォーキングパームも見ているわけではないので二本の蔦で攻撃をしてきます。ただこちらの武器はチェンソー纏い。鍔迫り合いのようなことが出来る訳も無くこちらの方が切れ味は上だった様子。
蔦を簡単にこちらの木刀が切り伏せながら肉薄できるのでそれほど怖くなく。
近づいてしまえば後は横でも縦でも切ってしまえばいいだけ。
袈裟切りをしてみたのですが、蔦と違って簡単にスパッとはいけずにチェンソーらしいゆっくり切れる感じ。
「うわっ、これは自分でやっていてなんだけど酷い……」
半分ほどまで切れた辺りでウォーキングパームは煙になって魔石を落としたのですが、いつも通りの極小の魔石。二、三個食べただけでは大きくはならない模様でちょっと残念。
ウォーキングパームを倒すと花が無くなったからかこちらに向かっていた敵ももどっていったと精霊が言うので一安心。
「スライムもそうだけど、魔石で釣るのは危ないかもね」
「ですね。それにしてもその魔法もかなり危ないというか強いというか……」
「木を抉る様に切るからああなるのは分かるけど、結構残酷だったね」
「ですね。っと、気持ちを切り替えてクロウの巣を見るとしましょう?」
「だねぇ」
とりあえずウォーキングパームを倒せました。
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