パリパリ麺のどっさりサラダ
お客さん達の反応は今日も良く、いただいた麺も殆ど消費出来ました。
「いやぁ、今日のランチも最高だった」
「お口に合ったようで何よりです」
「麺は?」
「今日の分で丁度終わった感じですね」
がーさんにわざわざ言う事ではないので心にしまっているのは厨房にはまだ数人前の麺が余っていますが、いつも来てくれるお客さんに出す程の分は無いのでこういう答えになっているのですが、この微妙な量は多分今夜の夕飯で食べきる感じ。
「それは良かった。それにしても麺料理が続いても飽きないね」
「此方こそ、そう言ってもらえるならよかったです」
こんな話をしながら、今日のお昼も解散。
やることは変わらず昨日の続きで木刀作成。
「精霊、今日は来る?」
「どちらでも大丈夫ですけど?」
「じゃあ、やすりをお願いしたいから来てもらえる?」
「構いませんよ」
という感じで、今日も精霊と一緒に南の扉へ。
いつもの人が居たので軽く挨拶をしてみると、
「お?それは俺達用の木刀か?」
「ですよ。今週分ですね」
「皆楽しみだから、嬉しいね」
「生産数は上がりませんけどね」
「ありゃ、残念」
笑いながら扉を開けてくれるので、最後に会釈をして扉を抜けます。
いつもの場所までゆっくり行って、切り株に腰かけて今日は木刀磨き。
「じゃあ、精霊お手伝いお願いね?」
「ええ。では、土のやすり!」
「身体強化っ!」
全身に魔力が纏います。ちょっとだけ温かい感じになって右手には精霊が作った土のやすり。
静かな外の場所でシャッシャッといい音。
「なんというか、静かですね」
「だねぇ。っていうか、身体強化時間で切れるって言っていたけど、いつもココだと切れない気がするけど?どっちが正しいの?」
「どちらも正しいというのが正直なところでしょうか」
「え?どういう事?」
「ダンジョンは他の魔法や次の敵など色々と注意力が必要なので魔法を何処かで維持できなくなる瞬間があるのです。ですが、今日のようにここには敵も必要な処理も無いのでゆっくり自然体で使っていられるので魔法が切れないという事なのですが、分かりますかね?今の説明で」
なんともとんちが効いたような話し方なので、すぐに頷く事は難しそうですが、言いたいことは何となく分かる様な。
ですが、そのままの意味で理解すると、
「じゃあ、ダンジョンにいる間ずっと身体強化も慣れれば出来るって事?」
「それは勿論可能ですよ」
「なるほど」
「ですが、雅は魔法攻撃もしますからかなり大変だとは思いますけど」
「あー、そうね。魔法使うもんね」
攻撃魔法の便利さは前回のダンジョン探索でたくさん知りましたから、身体強化ばかりに振り切るわけにもいきません。
でも、自分の都合以外で切れる時間が少しでも長くなるのは悪い事ではないので、
「因みに時間を延長させるにはどうしたらいいの?」
少しでも長く使えるようになるにはどうしたらいいか確認してみることに。
「他の魔法と一緒で、使い慣れるしかないですね」
「ですか」
「ですよ」
お互いに無言になって静寂が二人を包みます。
地道な何時もの通りの努力が大事と言われた感じです。
少し話に夢中になり過ぎて、手も止まっていたようですぐに手を動かしなおして木刀磨きに戻ります。
「コレもちゃんと練習になっているって事だよね?」
「勿論ですとも。私も色々と今頑張っているのですから」
「ん?精霊も色々頑張っているって、何を?」
「あー、まだその話はちょっと。ほら、内緒の方がいい話もあるでしょう?」
「そう言われると逆に聞きたくなるんだけど、まあ隠したいのであれば今は聞かないようにしておくよ」
「是非そうしてください。ついでに言えば、お夕飯がそろそろ気になってきているのですが、考えてくれていますか?」
露骨すぎる話題そらしですが、まあいいやと思ってその話に乗ることに。
「今日の夕食に関しては、もう考えてあるから大丈夫だよ」
「なんとっ!それはまた楽しみですね」
ご飯の話になれば精霊はいつも通りに。
まあ、少しずつアレが食べたい、コレが食べたいなどと注文も出てきてはいるのですがまだそこまで猛プッシュと言うわけでもないので問題という程でもありません。
ご飯の話をしながら、木刀を四本程ゆっくりと数種類の土のやすりを使って磨き、ある程度いいかなという所まで出来上がったらいい時間。
「ちょっとだけ魔法の練習、していい?」
「魔力があるのでしたら」
ずっと身体強化を使っていたのですが、今日は最後まで切れることなく使えました。多分コツとしては気にしないというか肩に力を入れて今、自分は身体強化しているぞっ!とならないで自然体でいればいいのかな?と何となくのアタリはつけているのですが、合っているかどうかは不明。
魔力もまだ結構残っている気がしたので、今日の練習はこの前使わなかったもう一つの属性のランス。
勿論木に向けて撃ってもいいのですが、ちょっと怖いのでワザと空に向けて撃ってみることに。
「ウォーターランスッ!」
頭で想像したのは今までと一緒のランスの魔法。水で出来た槍は先端もかなりしっかりと尖って、刺されば痛そうに見えます。それを確定させて上向きで魔法を作ったら後は放つイメージで、リリース。
「イケッ」
ウォーターランスはそのまま空に向かって飛んでいきます。
「ねぇ、あれって最後どうなるの?」
「魔力が続く限り飛んでいきますよ?」
「じゃあ、魔力を解いたら?」
「水に戻りますね」
「そっかー。じゃあ、魔力を止めて見よう」
魔力を解くと、かなり上空に行っていたウォーターランスが消えます。そのまま上を見ていても何もないように見えたのですが、少しするとパラパラと雨のような感じで少しだけ水滴が。
「水は消えるわけじゃないんだね」
「ですね。それにしてもかなりの高さまで魔法が飛んでいましたね?」
「だねぇ。色々と試してみるのはやっぱり楽しいね」
「なにかわかったのです?」
「魔法を放つだけだと、魔力消費が殆どないって事は分かったかも。動かすときは結構使うけど、放つとそのままどうぞって感じ?」
「あー、なるほど」
少しでも魔力消費が減るのは良い事なのでこれもまたいい勉強。
そんな感じのちょっとした魔法の練習を楽しんで、今日の外出は終わり。
南の扉にはいつもの人が居なくなっていたので、そのまま人と喋る事なく家に。
家に着いたら背中を押されるように夕食作りなので、ゆっくりする暇は無く。
「さてと、つくるかな」
使う材料はお昼に一緒に蒸しておいた麺。勿論これはお昼と一緒なので油で揚げるつもりです。それと一緒に食べるのは白菜とキャベツ。両方生で千切りにするだけでオッケー。ただ白菜もキャベツも芯の部分は硬いので出来るだけそこは細かくします。
「白菜と、キャベツを千切りにするだけですか?」
「まぁね」
ボウルにどっさりと二種の野菜が入ったら、麺をお昼と一緒で揚げます。揚げ麺があるのであればサラダとして食べたいので少しそのままだと長いのであまり細かくなりすぎない程度煮パラパラと長さを短めに。
僕達は揚げたてのメンなので少し冷めるのを待ってから、両手でパリパリと崩してボウルの上に掛けます。最後にドレッシング。
醤油をベースに、お酢、砂糖、ゴマ油、隠し味程度のみりんを混ぜて一度味見。
「ん、いいかな」
ちょっと濃くても大丈夫。どばーっとサラダにかけたらパリパリ麺のどっさりサラダの出来上がり。
「サラダだけですが?」
「とりあえず、食べよう?」
「「いただきます」」
精霊に有無を言わせず食べ始めると、精霊も納得の様子。
というのも、今日の材料である白菜もキャベツも揚げた麺も食感が結構しっかりとパリパリ、シャキシャキしているので飲み込むタイプのモノではありません。と言うのもあって、食べていると結構顎を使うので、美味しけど、ちょっと疲れるそんな感じのサラダ。
「食べおわって、足りなかったらパンを焼くから。ゆっくり食べよう?」
「ええ。思っている以上にシンプルながらこれは美味しいです」
「そう言ってもらえてよかったよ」
パリパリ麺のどっさりサラダ。夕飯の一品としては足りないように見えますが、結構思っている以上には胃にしっかり来るいい一品です。
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