★ダンジョン556
精霊に伝えた通り、三つ目の部屋の手前でしっかりと準備を済ませたら、後は一気に。
左足を通路と部屋の境ギリギリに置き、フッと小さく息を吐くと同時に強く左足をすり出し、勢いを殺さないように注意しながら右足を前にかなり大股のような形になりながらも気にすることはなく、グッと地面に右足がめり込むぐらいの勢いをつけたまま下半身を強く動かしたら、後はこの動きに上半身を乗せるだけ。
ワザと左足を先に出し、右足を後から強く出した事でねじれが生まれ、そのねじれを利用していつも以上の左から右に抜けるように強く右手を振り抜きます。
左手は右手に添える形で、若干窮屈だった左手が解放されるとどっと疲れが自分に下りた気がしますが、予想よりもかなり多めにもしかしたら精霊が魔力を吸ったせいでしょうか?
自分としては綺麗に精霊の大剣を部屋に入ったことを相手に悟られないように注意しつつも振り抜けたという感覚だったのですが、ハタと気が付きます。
「アレ、風の刃が……出てない?」
魔力はかなり吸われた感覚があるのに、見えるはずの風の刃を全く視認できていない事に気がつきます。
こうなってくると精霊を疑うほかないわけですが、疑いを持つよりも前に今の状況を怪しむことに。
明らかに部屋の中に居たはずの気配がさっぱりない状態で、反撃が来るよりも先にどうにかしようと思っていたわけですが、予想通りなのかその反撃も全くないまま。
こっちの疑問が増え続けている状態にもかかわらず、精霊は何か一仕事サクッと終わったと言わんばかりに、大剣の形からいつもの人形の状態に。
「いやぁ、予想以上にスパッとイケましたね」
「……風の刃は見えなかったけど?」
「それはそうでしょう?風ではなく、雷の刃にしましたから」
いやいや?聞いてないし?という顔でもって精霊を見ると、コテンと首をかしげて可愛らしい仕草。
「サポートしますよって、言いましたよね?」
「言ったね」
「変換しますとも言いましたよね?」
「……多分」
「なので、ちょっと余分に魔力は頂きましたが、風から雷に属性を変えてあげて、音よりも早いスピードの刃を広範囲に、スパッと」
そりゃあ視認出来ない訳だと思うような話になるわけですが、精霊が剣からいつもの形に戻ったのも頷ける話。
「じゃ、回収に行けばいいかな?」
「ですね。ついでに、後ろに戻って後輩も肩に乗せ直さないと忘れそうですけど?」
「あー、忘れるつもりはないけど、そうだね」
精霊に言われるまま一度後ろに戻ってまだぶつぶつと考えているタマエを元の位置に戻すと、精霊もいつもの定位置に戻って来て、三人で三つ目の部屋に入るのですがさっきまでのような敵の圧は全くない状態。
「スパッとイケましたね。コレは」
「予想以上に魔力が抜けた気はしたけど……これだけ安全ならまあ、問題ないね」
「でしょう?」
こうなってしまうと文句を言える空気はないので、頷きを返しながら前へと進むと、頭がスパッと切れているベル……の色違いがあっちにもこっちにもいる事に気が付きます。
「アレ?結構目の前に集中して刃は飛ばしたつもりだったけど……」
「範囲も幅もしっかりと調整したので、ちょっとまあ、やり過ぎちゃったかもしれませんけど」
「やり過ぎちゃった?」
どういう事?と聞こうかと思ったのですが、目の前にいたベルを回収した後さらに進んでいくと精霊の言いたい事の意味が分かります。
それはある程度進んだ先、北側の壁の所を見ると一筋の線がずっと続くように一定の位置から今から進む側に向かってピーっと入っている状態。
「壁にまで刃が当たってたって事?」
「ええ。多分ですが、反対側もですね」
「それはまあ、魔力も大きくなるけど……」
話しながら進んでいくと、さっき面倒だったオレンジのベル。
更に、近くには黄色と赤いベルも無造作に山盛りで置かれたただのピーマンという感じにごろっとしている状態。
「多分ですけど、このフロア全体を切れたんじゃないですかね?」
「……魔力消費をもう少し少なめにしていたら、どうなった?」
「多分、切れないモンスターも居たかもしれませんが……」
アレだけ魔力を使えばそうもなるかな?という感じの答えが返ってくる事に。
「あ、階段」
「そう言えば、今回後輩が見つからないと言っていましたが……」
「予想通りといえば、予想通りですね」
階段の周りに黄色といつもの緑のピーマンが二重になる形でごろっと転がっているのですが、しっかりと階段を守るような、よく言えば鉄壁の守り……だったハズ。
「遠距離でスパッとやるのは……ちょっと申し訳なかったかもしれませんね」
「まあ、魔法に弱いって事がわかっただけこっちとしては収獲って事でいいんじゃない?」
「ですねぇ」
階段の周りに落ちているピーマンも奇麗にすべて拾ったら、そのまま階段に入る事に。
タマエはまだぶつぶつと自分の中でどうやって戦うかのシュミュレーションをしているみたいですが、任せていいのかちょっとだけ迷ってきます。
そんな気持ちを察した精霊。
「ここまで集中しているのであれば、大丈夫でしょうよ」
「本当?」
「ええ。まあ、予想を超える事はあるかもしれませんが、何とかなるはずですよ」
精霊が信頼しているみたいなのと、思った以上に自分の魔力も減っているので、次の階はタマエにお願いしましょうか。
とりあえず、周りを確認して問題がなさそうなので階段を降りましょう。
スパッと解決。
何というか、プロレス書いたりしていたのもあって久しぶりにちゃんと戦ったような気持ちでしたね。(かなり一方的でしたが)
やる気満々なあの人にあとは任せても???
このペースでいけば……年末年始は普通に料理を書けそうで一安心。
ダンジョンはダンジョンの楽しさがあるのですが……やっぱり設定を考えないといけないので疲れるぅぅぅ(笑)
人には向き不向きが。
私に向いているのは……なんだろう?(分かってない)(笑)
分からない以上、やるしかないか(笑)
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




