★ダンジョン544
今、目の前で起こっていることをそのまんま説明すると、ジャガイモで出来た人の形をしたデストロイヤーという名の敵と精霊、タマエが無邪気にリングの中で駆け回っています。
どこかでこんな映像を見たことがある気がして、少しばかり自分なりに思い出してみると、それは地方巡業などでお相撲さんと子供がじゃれ合っているような微笑ましい映像で、じゃあ、精霊やタマエは戦っていないの?といわれると、実はそうでもなくて。
精霊は人形の形のまま浮きながらもぐいぐいと腰のあたりを押し、更に雷まで纏って、通常よりもかなり強い体当たりのようなことをしてみたり、普通に考えればかなり勢いのあるリングを蹴りながら速さを持った状態での延髄蹴りなどをデストロイヤーにかましてみたりしているのですが、ジャガイモの腕というのは人間の関節とは違うというのもあるのでしょう。普通では防御出来ないハズの位置でもしっかりと防御していて、そんな攻撃を受けているはずのデストロイヤーはかなりの余裕を見せています。
同じタイミングで、顔やあしもとを狙って尻尾を使ったいやらしい一撃をタマエも狙っているわけですが、どういう訳か大した事にはなっているように見えず、連続してけりが当たり続けている顔面には小さい傷が。
「ふふん。執拗に攻めれば、このとおりですよっ!!」
そう言いながら、タマエは精霊の攻撃にタイミングを合わせ、強い体当たりの為に後ろに下がった精霊をサポートするように顔面に対してくるっと回天を強めにしたテイルアタックをかまします。
流石に前が見えなければ、精霊の体当たりはみぞおちに入ると読んでいたみたいですが、どういう訳か、しっかりと精霊をキャッチ。
いきなり掴まれる形になって驚いている精霊を慌てて助けるようにタマエが距離を縮めると、その動きを予測していたデストロイヤーはあえて顔面に対しての攻撃を受けたまま、顔に手を伸ばし、タマエの尻尾ごとガシッとキャッチ。
「あわわ」
「後輩っ!」
慌てたタマエの声に思わず精霊が強く声を上げ、パリパリっと精霊が怒るのですが何故か纏っている雷のパリパリはどんどん弱くなっていきます。
「どういうことですっ!?」
わけがわからないという顔でじたばたとする精霊。
尻尾をぎゅっと握られて吊るされているタマエ。
流石にコレはまずそうだと思ったので、リングに手を掛けようとしたところでリングサイドまでゆっくりと歩いてきたデストロイヤーが優しく二人をロープの上に座らせます。
「どういう事?」
成り行きを今までも見守っていましたが、どうやら安全そうと自分も判断。
そのまま見ていると、ロープの上に座らせた二人に対して、デストロイヤーが拍手を送ってきます。
あまりに突然過ぎる出来事に、三人共ポカーンとしてしまうわけですが、予想外はこの後も続くもので、ロープの上だと安定しないと思ったのか、ゆっくりと横にずらしながらコーナーサイドへ二人を移動させ、しっかりと座らせるとおもむろに左腕を強く握る動きをして、突然腕をポキっと折ります。
思わず、ヒッと声を上げたのはタマエで意外と冷静な状態で精霊や自分が見ていると思ってしまいますが、折れたところからにょきにょきっと次のジャガイモが生えて来て、それもまたポキポキと折り、結構な量のジャガイモが足元へ。
「え、え?」
「コレは?」
二人もなにが起きたのか分かっていないのか、目を白黒させている状態ですが、ある程度のジャガイモの山が二つ出来上がったら満足したのか、デストロイヤーは大きく頷くとリングの真ん中に戻ってまた最初と同じようにポーズを決めている状態に。
「えーっと?」
「どうやら、参加賞を貰ったみたいですね」
「ポテトバロンとは違う品種ですかね?」
真ん中に戻ったデストロイヤーは攻撃の意思を見せないので、二人も戦闘モードからいつもの感じに。
「戦ってみた感想は?」
「終始、遊ばれていた感じでしたね」
「結構しっかりとヒットしたはずだったんですけど、傷をつけた感触もあったはずなんですけどねー」
精霊もタマエもこういうところはかなり冷静に見てくれているので、助かるわけですが、二人共は焼くこっちへ来てくれという態度でコーナーの辺りにあるデストロイヤーのおいてくれたジャガイモをリュックに仕舞います。
「そこまで悪い奴ではないみたいですし、リュックは私達が預かりますから」
「ですです。ご主人は私達のリベンジをお願いします」
お願いしますと言われても、そもそもそこまで戦うつもりがない自分が何で戦わないといけないの?という気持ちも無い訳ではなく。
「参加賞でこれだという事は……」
「勝ったら、ウハウハ?」
「やっぱり、ポテトフライ……いえ、コロッケもよさそうですね」
「ポテトサラダもいいですし……帰ってすぐはラクチンなじゃがバターもいいのでは?」
二人の意識は戦いの後の食事の方に完全に向いちゃっているみたいで、心配は多分……してくれているはずですがあまり感じられず。
「そういえば、プロレスってご主人……出来るんですかね?」
「さー?でも、知らないって顔でもなさそうですけど……」
スポーツ全般、あんまり見た事ないのにプロレスなんて……といいたいところですが、うちの二人がぐいぐいと押してくるのは何でですかね!!!
子供相撲大会とかって、何とも微笑ましいですよね。
なんで微笑ましいと思うのか作者なりに色々と考えてみたのですが、もしかすると自分が幼稚園ぐらいの頃、そういう体験をしたのかなーって思い至りましたが……。確認できておりません(笑)
いや、親などに聞けばいいだけなんですけどね……。
精霊もタマエも戦っているつもりなのですが、そうは見えないのは作者のそういう思いからです。
なかなか上手く書けないものです。
文章って、難しい!!!
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




