★ダンジョン538
大量に出てきているポテトバロンをどうにかしようという感じで降りて来てすぐの部屋から一歩も動かずに色々と考えているわけですが、思いついたことは結構とんでもない事みたいで、うちの二人の反応は微妙……というより、何がどう起こるのか分かっていない様子。
「えーっと、単純に説明すると土に返すだけだよ?」
「土に返すだけ……って、どういう事をするつもりです?」
自分の中でパッと思いついたのは地震の時に液状化現象が起き、上に乗っていたものが次々と地面に落ちていくような想像ですが、流石にどういう原理なのかなんてわかっていないので、今考えているのはもっと色々と単純なモノ。
「さっきは揺らせたわけでしょ?」
「ええ、しっかりと揺れましたよ」
「だったら、今回は穴開ければ落ちない?」
「……深すぎると、この間のような感じで地面の下にある罠を発動させる可能性がありますよね?」
「あー、それは……考えていなかったけど……、さっき地面を揺らしても罠が発動した様子はなかったから、落とすぐらいだったら大丈夫かなーって」
言われて罠の事を思い出しましたが、アレだけ全体を揺らしても発動しなかった罠が落ちて来るだけで発動するとは思えず。
まあ、多少気を付けないといけないというのは分かりますが、落とすぐらいだったら……何とかなるはず。
「穴を作るのは目視で?」
「最初はそういう魔法にしようかと思ったけど、もっと単純に地面の上に乗っていたら、落とすでもいいかな?」
「それだと、自分達も落ちません?」
「そこはほら、自分達以外って魔法にすればいい訳でしょ?」
使用者専用というわけではありませんが、自分達以外の土の上に居るものすべてという指定で考えれば、そこまで難しい話でもなさそうな気がしたので、説明をしてみた訳ですが、二人としてはまあギリギリ及第点といった様子。
「二人が肩の上から何かあった時は動いてくれるわけでしょ?」
「それは勿論です」
「ええ」
「だからこそ、出来る作戦って感じかな?」
精霊もタマエも、褒められているというか認められているというのはそれだけで十分嬉しいみたいで、まあそれでしたらいいでしょうと言わんばかり。
「何かあった場合は、さっきみたいにスパスパっと……いえ、剣でサクサク切るのも突くのもアリかもしれませんね」
「突き刺すのであれば、氷の針みたいな方が良さそうなので、矢じりよりは鋭い感じをしっかりと作れるように想像しておきますね」
二人共、もしもの時のサポートは任せろと言わんばかり。
「じゃ、動かずに早速やってみよう」
ここまでゆっくりと作戦を練ることが出来るのは、偏に一歩目を踏み出していないから。
実はここまでこの一歩目を踏み出さずに大事に使ったことはなかったわけですが、こう敵が多い場合、やっぱりかなりこの一歩目の縛りは有用そうで。
頭の中に想像するのは足をついているこの階層にいるポテトバロンがそのまま足もとの土の中に帰っていくイメージ。
名前は……そのまま落とし穴でよさそうなわけですが……ぱっと珍しく英語がそのまま浮かんでくれたので、適しているかは別として自分達以外が全て奇麗に落ちるように想像しながら言葉による確定をさせてみます。
「ピットホール!!」
おっと、説明が雑になっていましたが腰から抜いた土の脇差を地面にさくっと刺しながらしっかりと頭の中で想像した通りになるように魔力を脇差に込めつつ、言葉を放つと同時に部屋の中に居たポテトバロンの視線が一気に自分達に集まるのが分かります。
ただ、ワンテンポこっちの方が早かったみたいで、想像した通りポテトバロン達の足元には落とし穴……となるはずだったのですが、ある意味想像通りのモノが出来上がっていて、それは落とし穴というよりは蟻地獄のような感じの抜け出せないタイプのひっくり返したすり鉢状の穴。
この穴のいいところは動いたりもがいたりすればするほど足や手を取られ、地面にどんどん吸い込まれる形になるところ。
一応魔法や体術的な何かをされてもそう簡単に抜け出せない様なものを想像したつもりはあるのですが、そんな事を知らない部屋に居たポテトバロンは杖を使ってみたり、頭の上にあるシルクハットをバケツ代わりに足元の砂を外へと捨ててみたりと悪あがきをしてくれるのですが、魔法の効力の方が強かったみたいで、流砂のように流れる砂の中へ中へと次々に落ちていくポテトバロン。
生き埋めにする為の攻撃……にしたつもりはなく単純に地面の中に戻ってね?って言う感じの魔法を使ったつもりだったのですが、ポテトバロンからすれば足や手を地面にいきなり持っていかれるような攻撃を受けたという状態。
色々な個体のポテトバロンが必死に土の上へ戻ろうとしていたみたいなのですが、一分もしないうちに見えていたポテトバロン達は全て土の中へ強制的に戻らされた状態に。
「……いなく……なりましたね」
「一歩目を踏み出す前というのもあったと思いますが、一方的でしたね」
二人はなぜか残念な目で自分を見てきている気が。
「ピットホール自体は、攻撃魔法ではないんですよね?」
「そういうふうに作ったつもりだけど?」
「……因みに地面の中に戻した後は?」
「普通に動けるようになっていると思うけど……」
足元の土は土のままなのに砂っぽい感じに変わっている気も多少しますが、そこまで色々とやったつもりはないんですけど……ねぇ?
攻撃の意図は無いんです!!!(落とし穴って言ってるのに!?)
これに関しては……質問は受け付けません(笑)
いや、落とし穴……じゃない?足元に落とすなら?
こう……蟻地獄みたいな感じに……土が柔らかくなるのって想像してみると滅茶苦茶怖いですけどね。
底なし沼に近いモノを想像してもらえるとそれの土版。……余計に怖いですね。
とりあえず出てたものを地面に戻せたみたいでよかったよかった。(色々とヨクナイ気もするけど)




