★ダンジョン534
キャロットマージを倒して、二まわり小さくなったニンジンとはいっても、ペットボトルよりも大きいニンジン。まあ、同じような大きさのタマネギもリュックの中には大量にあるわけですが、三人が各々好きな場所にかぶりついても顔を突き合わせることはなく、皮ごと食べているにもかかわらず、土臭い味も無し。
「コレは何と表現したらいいんですかね?」
「果物……とは違いますが、優しい甘さが口に広がりますね?」
「食感はちょっと固めだけど、硬くて歯が入らないという事もないし……なんともいえない美味しさだね?」
味の話で言うと、ちゃんとニンジンっぽくあるのですが甘さが絶妙で、甘すぎずだからと言って土っぽくもないのですが、なんとなく一番近いモノで表現をしようとすると、かなり硬めという言い方になりますが、洋ナシに近い感じ。そんな話を二人にすると、大きな頷きを返します。
「言われてみると、洋ナシに近いのがわかりますね」
「たまーに食べるフルーツに似ているって言うのは分かりやすいですが……でもコレ、ニンジンですよね?」
そう。洋ナシじゃなくて、コレはキャロットマージを倒したニンジンなのですが、これまたかなり不思議なもので。
「なんというか、魔力は回復しませんね?」
「どちらかと言えば、体力とかそういうのがついている気がする感じですね」
「魔力が豊富そうだけど、不思議だね?」
ガーリックボムだと魔力、キャロットマージだと体力、じゃあ……オニオンナイトは?と同じように二人も疑問に思ったみたいですが、首を強めに二人が左右に振ります。
「生のタマネギは辛いですし……水を魔法で使ってさらすのもちょっと手間ですからね」
「帰ってからの楽しみもあった方がいいでしょうし、まあ一体分のキャロットマージはこのまま食べるとして……」
二人がちらっとこっちを見て来て、どのぐらいキャロットマージを収穫するの?って顔。
「後で料理を作る事を考えると、ガーリックボムやオニオンナイトと一緒である程度……だね?」
「ですか。じゃあ、まあ魔法で私達がパパっとやりますかね?」
「先輩は剣でスパパパン?じゃないんです?」
「雷はさっき説明したように熱ですからね?熱線的な攻撃で遠距離からスパスパとも出来ますよ?」
「えー、私の尻尾から出る火の精霊さんのビームの特権ですよ?」
「何を言っているんです?誰かが一度でもやったら、それは他の人もしっかり真似をして使わせてもらうものですよ?」
「えー!?そんなー!?」
横暴ですよ、とタマエが言うのですがどうしても間延びした言い方で「おーぼー」としか聞こえず、全体的に空気は緩い状態に。
「東の方に階段があるのはそのままですよね?」
「ですよー。でも、この通りキャロットマージが全然出てこないですし……そもそもどうやって取り出すつもりです?」
「後輩はちゃんと鍵の説明を読みませんでしたね?」
精霊に言われると、口でわざわざ「ぎくぅ」という程には余裕があるみたい。
「キャロットマージ……釣るんですか?」
「釣るというよりは、音や大きな振動に反応するらしいので、こういう時こそ……ね?」
精霊が笑顔でこっちを見て来て、「ん?」って顔を自分がしたつもりだったのですが、タマエもこっちを見てニコっと笑います。
「脇差に魔力を流して、土の中にぶっ刺して……」
「一気に地面を揺らしてあげると、ぽーんって出て来るのでは?」
そんな事で出て来るの?って気がしますが……二人の目は本気。
「えーっと、じゃあ、やってみる?」
「お願いします」
「出てきたところは私達でスパスパですよー!」
そんな事が本当に出来るの?と精霊に目で聞いてみると、大丈夫という力強い目で見返してきたので、そこまでいうなら信じてやるしかありません。
使っていた刀を戻し脇差を抜いて頭の中で想像するのは小さめの地震。
震度で言うと二から三ぐらいがちょうどいい気がしたので、なんとなく頭の中で揺れを想像したら、地面である自分の足元の土にプスッと脇差を指し、魔力を脇差に流しながらしっかりとダンジョンごと揺れる想像をしつつフッと魔力を刀に込めると、突然地面が揺れ始めます。
「おお、完璧ですね」
「揺れの大きさも大きすぎず、小さすぎず、これならば……」
「出てきそうな感じですよねっ!」
二人は大喜びですが、自分としてはちょっと揺れが強かった気もしていて、本当に?大丈夫?って気持ちのままでいると、揺れはゆっくりとおさまっていくのですがそこからの光景は中々気持ちが悪いモノで。
「うわぁ……」
「流石にコレはちょっと……」
二人もドン引きしているみたいですが、それもそのはず。
今まで歩いてきたところ、これから向かう先の東の方にもそうですが結構な量のキャロットマージが地面からにょきにょきと出てきます。
「十体ぐらいは想定していましたが……」
「ヘタをしたら部屋いっぱい……百体とは言いませんが、ちょっと多すぎませんかね?」
のろのろとした動きは今までと同様ですが、あちらでもこちらでも同じように出て来るキャロットマージ。
二人に任せるには多すぎるので、自分もちょっと手伝わないとマズそうですが……どうしましょう?
野菜の収穫みたいな感覚になって、かなりの量の敵が出ている模様です(笑)
一つの部屋あたり、ある程度の上限を設けているので表現として百という字を使いましたが、実際には半分……よりもう少し少ないぐらいを想像してもらえると嬉しいです。
弱いし、野菜だし……質より量的な考えも実際あるのですが、だからといって中途半端に百を五十にも出来なくて……。
今日のあとがきは言い訳祭りですみませーん<__>
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




