★ダンジョン508
精霊がやる気になってくれて、タマエと二人でお願いをすると元気な返事が返ってきたのですが、時間にすると数秒悩んでいたみたいで、静かな間が。
「よし、とりあえずは簡単な所から試してみますか」
精霊はそういうと、自分を呼びます。
「雅、弓を引けます?」
「大丈夫だよ」
「では、頼みますね」
その言葉と同時に、ポンッと煙が精霊を包むと一気に形を弓に変え、弓が自分の手の中へ。
「おお。和弓になれたんだ?」
「私だけだとやはり洋弓の方が命中率は高いのであちらの形を好みますが、雅はこっちの方が落ち着くのでしょう?」
「まあ、かもしれないね」
少しばかり和弓を引く事があったので、手元の弓は何とも懐かしい気持ちを思い出させてくれます。
「矢は私の方で属性もしっかりと変えて作るので、放つのを頼めます?」
「おっけー」
軽い返事をしますが、久しぶりの弓なのでちょっとだけ緊張感も実はあって。
大きな深呼吸を一つして、一度目を閉じてから、もう一度開き左を見るような形で顔だけでしっかりと狙うべきトレントを確認。
若干、足元に不安はありますが、気にしても仕方が無いので腹の奥の辺りにグッと力を込めて、背筋を伸ばします。
両手を前に、抱き枕を腕の中に入れて抱き着くような形で構え、その両手を上に上げ、右手を強く引き、左手はぶれないように力で抑え、グッと構えたら後はしっかりと狙います。
自分の場合は左手の親指を少しだけ上げ、その親指の一番高い所が真ん中。
しっかりと自分の真ん中とトレントを合わせたら、あとは右手を放します。
「当たった」
右手が弦から放れた瞬間、当たることが確定していることがしっかりとわかる程、自分でも完璧な一射。
弓だった精霊も、肩の上から一度降りて貰っていたタマエもビックリしているみたいですが、言葉通りに矢は真っすぐに飛び、トレントのど真ん中を射抜きます。
射抜いた瞬間、鳴き声みたいなものは全く無いのですが、とても痛いみたいで枝が周りの土を凄い勢いでかきあげ、少し周りが煙たくなる程、そしてそこに居たのが見えなくなる程土を持ち上げます。
「一撃で倒せなかったみたいですが、かなりのダメ―ジにはなったみたいですね?」
「みたいだね?」
元々近づくつもりはなかったのですが、もっと近づけなくなってしまった感じに。
「後は、私の方で矢だけを放ちますから、多分それで大丈夫かと」
そういうと、弓の形状を変え、和弓から洋弓に変わるとポポポっと弓の周りに水の矢が生まれます。
「そー……れっ!」
空中に浮かんでいた矢が一斉にトレントに向かうのですが、トレントは未だに暴れたままで土を掘り返していて、矢が届きません。
「そんなバカな!?」
「威力が必要かもね」
「むぅぅ」
そんなバカなという驚きの感情が精霊の弓から伝わってきた気がしますが、どうするのだろうと思っていると、形を和弓に戻しどうやら自分が引いた時と同じような一撃を繰り出そうとしたところ、先に攻撃をしてきたのはトレント。
暴れまわっているだけだと思っていたのですが、次第に暴れながら何かしら不思議な動きをしているように見えていたところ、枝の先に亀のモンスターをくっつけ、そしてそれを振り回すという予想外の行動を始めます。
「ちょぉ!」
「アレは、ちょっとマズそうだね?」
「痛い……では。済みそうにないですね?」
今までの音はひゅんひゅんとかパチンッと軽めの破裂音程度で済んでいたのですが、亀のモンスターをくっつけた枝はぶぉんぶぉんとかドーンの様な全体的に重い音に変わり、普通は逃げたり、嫌がるようなそぶりを亀がしそうなものですが、亀は首を引っ込めたまま何もトレントに抗議する様子も見受けられません。
「亀のモンスターは抗議しないというよりは、諦めて何もしていないのでは?」
「かなぁ?」
ただ、暴れていることに違いはないみたいで、命中率というかこちらにしっかりと攻撃が向いている感じは少なく、手あたり次第という雰囲気。
「かいくぐるのは難しいだろうけど……どうしたものかな」
悩んでいると、なにかに気がついたみたいで精霊が大きな声を上げます。
「あっ!放置!」
「あー」
「うん」
タマエも自分もすぐにそれが一番良さそうと頷きを返したので、精霊はポンッと煙を纏うといつもの人形の形態に戻り、下に降りていたタマエもいつもの肩の上へ。
「ダメージも食らっていますし、自滅を狙うというのも戦略ですよね?」
「だね。まあ、集中すればさっきみたいな弓での攻撃はできないことはないだろうけど……無理する必要は無いんだよね」
という事で、後は遠くからトレントの自滅を確認しようと方針が決定。
念の為に少しだけ後ろに下がり、確実に攻撃が当たらない位置まで下がったらトレントの不意の一撃だけ気を付けて確認をしていると、たまにこちらまで土が飛んでくることはあるモノの、問題がない事を確認できます。
「……思っているより、自滅までが長いですね?」
「多分、自滅……しますよね?」
「まあ、多分……?」
とりあえずトレントの自滅を待つとしましょう。
斜法八節をつらつらと書いてしまうと……長ったらしいので、結構色々と割愛しました。
ただ、なんとなく弓を引いた、矢が当たったと理解していただければ作者としては十分です。
ほんのひと齧りですが、和弓を扱った事があります。
ただ、それだけなのですが……なんというか久しぶりにちょっとだけスッキリとする結果に。
まあ、当たったマトが怪しい動きしているので本編的にはどうなのー?ですけどねー(笑)
なんか色々とスッキリしない。
そういう季節ですから仕方ありませんが、一方では雨が降り過ぎ、一方では雨が欲しいタイミングに間に合わなかった場合も。
自然と上手く付き合うっていうのはとっても難しいモノ……なんですかね?
いい形の落としどころが見つかると本当にいいんでしょうけど。
さっぱり、スッキリ、したいので今日もお風呂でゆっくりととのうぅぅぅをしますかね(笑)
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




