★ダンジョン27
精霊の言葉の方を向くと、そこにはトラップチェストが。
宝箱が出たのかと喜びたいところではあったのですが、タイミング的にも魔石が出た後で場所も少しずれているのでアレはトラップチェストで間違いはなく。
「久しぶりに出ましたね」
「だね。魔力が心許ないけど試してみようか」
「何かそう言えば思い付いていたのですよね?」
そう、前回倒せなかったので思い付いた魔法があるのです。
というかコレはある意味何にでも効きそうなのですが、ってそうだ。この魔法もしかしたらタートルにも効くかもしれないと思い付いたので早速やってみるとしましょうか。
「ウォーターボール!!」
使う魔法はいつもお世話になっている水浴びのアレ。
大きさも自分がすっぽり埋まるいつものサイズでそれをトラップチェストの上へ。あとは魔力操作をミスしないようにゆっくりトラップチェストを覆うように落とすだけ。
「ウォーターボールですか?ダメージが無いように見えますが……」
精霊の言葉も分かりますが、まあ見ていてほしい。
ウォーターボールがトラップチェストをしっかりと包んだら、あとはそのままの位置を維持するだけ。
こっちからの見え方はただ水の中に宝箱が入っている状態ですが、中身はどうでしょう?最初は動きも無かったのですが、三十秒もしてくるとソロソロでしょう。
「トラップチェストが動き始めましたね」
「効いたみたいだね」
トラップチェストが窒息したようで空気をどんどん出して箱をパカパカと動かしますが、出来ることはそれだけ。やがて動かなくなって宝箱と魔石を落とします。
「やったね。おっ、魔石も中だ」
「なるほど、威力ばかりが攻撃ではないのですね。あんな倒し方があるとは思いませんでした」
精霊も少し感心したように言います。
ちょっとだけニヤケながら宝箱と魔石を風呂敷リュックへ入れて階段探し再開。
次の部屋への通路にはまたもタートルが居たのですが、殻にこもっているので攻撃してくることも無いのでそのまま横を通って次の部屋へ。
「階段だー」
「やっと見つかりましたね」
「ビンもあるから回収しようか」
「敵も居ないのでささっと拾って階段に入りましょう」
「だね」
精霊の言う通りでいつ敵が湧くかは分からないので落ちているビンを回収。運がいいのか悪いのか。ビンは両方紫のビンなので自分で飲むことは出来そうにはありません。
拾ってそれをそのまま手に持ってすぐに近くの階段へ。
中に入ればやっと休憩が出来ます。
「ふぅ、なんとか休めそうだけど……さて、どうしようかね」
「お疲れ様です。ビンは両方紫では飲めそうにないですね」
「まぁね。とりあえずポケットの青と入れ替えようかな」
ついでに多少のダメージもあった気がするので緑のビンの未確定を一本飲んでみることに。風呂敷リュックを置いて入れ替えるだけなので大変な事は無くポケットの青のビン二本を入れて代わりに紫のビンを入れてついでに緑のビンを出して念の為で水筒も出します。
「水筒の中身は空では?」
「もし水だったら取って置けるのかなと思って」
「ですね。ポーションは効果が無くなるとは言っていましたがどうなるのでしょうね?」
「もう少し一杯手に入れたら家でやってみようね」
「ですね」
キュポンとコルクのような栓を抜いてぺろりとひと舐め。運がいいのか悪いのか、当たりでコレはポーションの模様。とりあえず半分ほど飲んで、横を向くと無言の圧力。
「少しいる?」
「いります!」
実際回復薬の回し飲みが出来るのかどうかは知りませんが、精霊と半分こ。少し不思議におもったのは自分にも出たエフェクトが精霊にも出たこと。
「精霊、ダメージ受けていたの?」
「当たらないのですからダメージはありませんよ?」
「え、でもいま回復のエフェクトが出たけど?」
「本当ですか!?それは嬉しい事ですね」
嬉しい事?喜んでいるので良い事があったのでしょうけど、今は手放しで喜べる状態でもありません。
もう少しその辺りも聞いてみたい気はしましたが、とりあえず今はこの後の相談を。
「まあ、その話は後にしておいてとりあえず今からの事を決めないとね」
「ですね。あまり長くいると夕飯が遠くなりますからね」
「いや、そうじゃないんだけど……。まあ、トラップに引っかかった自分のせいでもあるからあまり強くは言えないか。で、この先どうしたらいいと思う?」
ダンジョンには精霊の方が圧倒的に詳しいので、どうするべきか聞いてみます。
「階層ごとのモンスターはさっきの二匹でほとんど出たと思われるので、階段を探してどんどん先に進むのがイイのではないでしょうか?」
「やっぱりそうなるのか。まあ、怖いといえばエコーバットの音波が怖いけどそれ以外なら何とか避けられそうだもんね」
「ですね。あとは今まで通りに進んで、落ちているアイテムを探すかですね」
「落ちているアイテムを探す?」
「ええ、帰還用の石というアイテムが出る様になっていると思うので……」
「……なんの話?というか、帰還用の石ってなに?」
聞いたことのない単語がいきなり出てきてビックリなのですが、もしかしたら嬉しい話の可能性も。しっかりとここは聞きたい所で少し詰め寄る様に精霊に伺います。
「名前の通りの帰還用の石があるのです。それを見つけてぎゅっと握って帰りたいと願えば帰還用の転送装置の所へ飛ばしてくれるという便利アイテムですね」
なんともまあそんな都合のいい物があるの?っていうか、ならばなぜ教えてくれなかったのと言おうとしたのですが、
「低層階であれば入った所から五階以上下ったあとにしかそのアイテムは出ないので、今までは出てこないモノなのです。ついでに言えば、そのアイテムは持ち帰りが出来ないモノなのでダンジョン外では見ることもかなわないのです」
「……なるほど」
精霊もこちらの言いたい事は分かっていたようで詳しく説明をしてくれました。
さっきの十七階でもしかしたら出ていた可能性もありますが、話を先にしたいと言っていた僕を優先させてこの話をしなかったのも頷けます。
となると、断然気になってくるのは帰還用の石。
「あ、これでグラノーラバー終わりだけど、半分こにする?」
「わかりました。干し肉も結構無いですよね?」
「だねぇ。帰還用の石を探して戻るのがいいかな?」
「階段を探すのとどちらが早いかという所ですが、私の夕飯の為にも早めの帰宅は推奨ですね」
「はいはい。干し肉は後四枚だから取っておこうか」
「うぅ、我慢します」
精霊のお腹の減りと石を見つけるのとどちらが早いのかというちょっとしたレースの様な空気が出てはいますが、とりあえず方向性は決まります。
「じゃ、石を探しながら散策を続行でいいかな?」
「ですね。あ、回復薬もまた飲みたいです」
「はいはい」
とりあえずの方向性が決まったので、十八階へ。
石がすぐ見つかるといいのですが……。
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