鉄火丼
自分で作った島寿司を味見と言うより普通に食べて、無くなるとまた作って。
二回程同じことを繰り返してしまい、ハッと気がついた時には漬けが結構減ってしまっている状態に。
まあ、そこまでぎりぎりの時間ではないので今から漬けなおせばお客さん達の分は何とかなりそうな気がしたのですが、タイミングがいいのか悪いのか。うちの二人が起きて来て。
「美味しそうなものを……独り占めですか?」
「ご主人?私達の分はも・ち・ろ・んありますよね?」
おお!?タマエも凄い圧を出せるように成長したね?なんて軽口を叩けるような空気ではなく、食べ物の恨みは怖いとよく言われる通り、本気と書いてマジと読むタイプのマジな威圧をタマエと精霊が放ってきます。
「あるけど……残りは少ないか……も?」
二人はまだ朝食も食べていないので、朝食として昨日と同じ形で食べると言ってきたので、ご飯をさらに追加で炊いて漬かっているものから島寿司の形にしていくのですが、さながらマジックを見ているような感じで出来上がった島寿司を置くと、パッと消える不思議な食事風景を三十分程見ていることになったのですが、二人に食べさせていくという事は在庫が減るという事で。
自分もしっかりと島寿司を楽しんだのもあって二人だけのせいと言うには無理があるわけですが、明らかに今日のランチに出すには足りない量のネタしかない状態。
あまり時間はない状態ですが、なにかフォローが必要な状態に。
「さて、どうしよう」
いつものなにつくろうな感覚に近いのですが、時間もあまりない状態でかなり落ち着いているように見えるかもしれませんが、内心は焦りまくっている状態。
ご飯だけは二人が食べると言い始めた時点で追加で炊き始めているのもあって足りないという事にはならなさそうですが、白いご飯や酢飯だけがいくらあってもアラを使った味噌汁があっても、流石にそれで入終わりという訳にはいかないわけで。
「何ならいいかな」
島寿司がダメなら、お寿司?と別のネタを切りそろえて作る方法も浮かばなかったというと嘘になるのですが、寿司職人さん達に比べると自分が作るモノは家庭の寿司という感じで、それなりに美味しくはありますが、やはり本職の人達のそれに比べれば型落ち感は否めず。
じゃあ、職人じゃなくてもそれに近いモノが出せるのは?と思考が飛んでみると真っ赤なアイツが微笑んでくれます。
「これなら、イケる」
真っ赤なアイツをムムムっと冷蔵庫さんにお願いして、二種類のサクを出して貰いますが、ちょっとだけ無茶なお願いを冷蔵庫さんにしてみた所そんな無茶も通してくれて、目当ての部位まで用意してくれることに。
「おおおおお、冷蔵庫さん!!!流石です!!!」
思わず大きな声を出してしまい、ビクッとウチの二人が驚きましたがそのぐらい嬉しい部位を用意してもらえたので、この感動は是非周りにも共感して欲しい所。
用意してもらったのは中骨周りで、ここは包丁で同行できるような部位ではなくスプーンや貝殻をつかって身をこそげ落とすようにして食べるような部位。
お店などで一般の私達が見るときには、中落ちと呼ばれる部分。
「後でちゃんと食べさせてあげるから、二人にはこの中骨から中落ちの身をスプーンですくってもらっていい?」
「スプーンで、この部分を……こんな感じですかね?」
「そう。こっちも仕込みがすべて終わったら手伝うから、先に頼める?」
「分かりました」
本音を言うと、一口ぐらい食べて貰えば美味しさも共有できるのでもっとやる気になってくれそうなイメージはあるのですが、美味しいことを知ってしまうとお客さんに出す場所だという事を忘れて、ひたすら自分の口の中に入れてしまいそうな気配もあって、信じられない自分の気持ちもあって、味見はしないで貰う事に。
二人に作業をお願いしている間に、島寿司用に作った酢飯とはちょっとだけ味の違う、砂糖が少な目ないつもの酢飯を作り、海苔は最後に使うために数枚軽く炙ってちぎっておいてもいいのですが、あまり先にやり過ぎても香ばしさが少なくなるので用意だけに留めて、後は島寿司用のネタをもう一度漬けなおす作業を再開。
イナダだけではなく、メダイやシマアジ、そしてこっちでも使うマグロなども今からですが少し漬けて、自分達の時とは違い、数種類を楽しむ形で出す方向にシフトチェンジ。
「この身、丼に乗せるんですよね?」
「そうだよ?」
「いつもだと味見の提案をしてくれるのに、しないという事は……かなり美味しいという事ですか?」
言わなくても気がつく気はしていましたが、精霊はやはりというかちゃんと分かっていたみたいで、そんな事を聞いてきます。
「まあ、うん。ただ、こっちの中トロとか赤身も中落ちとは違った旨味もあるから、絶対にこっちばっかりがいいとは言えないかな」
「なるほど?」
念の為で考えたもう一品は丼に酢飯を詰めて、その上に赤身、中トロ、中落ちをバランスよく三種乗せて、焼き直した海苔をちぎって掛けてあげたら出来上がる鉄火丼。
「島寿司が久しぶり過ぎて美味しくて、足りない部分はこっちの鉄火丼を出して誤魔化すよ」
「分かりましたが、さっき新しいネタを仕込んでいましたよね?」
「本当に良く見ているね?」
「勿論です。ランチの後に食べますからね?」
「はいはい」
追加の鉄火丼の準備も終わったので、とりあえず今日のランチはこの二品でどうにかなるといいのですが、どうですかね?
お寿司もいいですけど、鉄火丼ってそそられません?
海鮮丼もいいのですが、私はどちらかといえば鉄火丼みたいに一種類(中落ちや中トロもマグロという意味で)が好きなタイプです。
某有名なタルトやさん?のタルト……ケーキ?等は特に顕著で、フルーツ盛り合わせ系のタルトよりはバナナだけ、イチゴだけ、マンゴーだけ。。。みたいな○○だけのタルトがいいです。ぎりぎり二種類。レモン香る桃とかまではセーフだけど、色々とごちゃごちゃ混ざると……うーん。。。みたいな。
まあ、混ぜ合わせて食べるものが嫌いというわけではないので、食べられるけど、好まないって感じでしょうか。
……贅沢な事言ってんなぁこいつ(笑)って自分の文章見ていても思いますが、ラーメンだけは別かも(笑)
全部入り……いいよね。まあ、食べきれないから普通を選びやすいけど(笑)
あと、替え玉欲しいからシンプルがやっぱりよくなってきたなぁ
素ラーメンとかが好きなタイプなのに、面倒臭い人間ですね。
今回も読んでいただきありがとうございます
目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです
誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




