★ダンジョン20
階段に入ったら、すぐに休憩。
今度は甘い気分でもないので、干し肉を齧ります。
「なんだかんだで、やっぱりこういう食べ物あった方がいいよね?」
「ですよね。他の方達の話を聞いたことが無いので詳しくは分かりませんが、なんで廃れているのでしょうね?」
長時間のダンジョン探索は減っているとはいえ、休憩は皆さんしていると思っていたのですが、食べ物も用意せずにだとひたすら進むしかありません。それはそれで疲れそうですが、人は人のやり方と言われてしまえばそれ以上は言えません。
さっきの干し肉は食べている最中にエコーバットの攻撃で吐くというか落としてしまったので、ノーカウント。
ちょっと唾液で柔らかくなって来るまで時間はかかりますが、この時間がいい休憩。
精霊も燻製の干し肉を食べているので何も言ってきません。
「さて、十四階はどうなるか……」
「先にお知らせすると、モンスターは変わりませんよ」
「……そっかぁ。そうなると落とし穴狙った方がいいかな?」
「かもしれないですね。因みに十五階ですが……」
「それは、待って。楽しみがなくなっちゃう」
「いいのですか?」
「うん。今も聞くつもりはそんなに無かったんだけど、流れで聞いちゃった感じだから」
休憩ついでの情報収集で盛大なネタバレを聞いてしまった感じを否定できませんが、十四階はさっきと変わらないのであればあまりあわてる必要性が無さそう。
しっかりと休憩も出来たので、一つ仕込みをしてみましょう。
「精霊、イケる?」
「ええ。イケますよ」
精霊も準備完了の様なので、風呂敷から紫のビンを取り出して、ポケットに入れてからしっかりリュックを背負っていざ、十四階へ。
降りてすぐはやはり襲われることも無く、周りに敵もおらずビンとアレは……ハンマー?でしょうか。ビンは相変わらずの緑色のビンでもう一つは武器としては微妙な感じの片手槌が落ちています。
「あれ、ハンマーでいいの?」
「ええ、片手槌ですね。所謂ハンマーで間違いないと思います。アレと盾で結構威力のある攻撃も出来るはずですよ」
「見た目はそれ程だけど?」
というのも、ハンマーとはてなマークが頭に付いたのは理由が勿論ありまして、叩く部分はペットボトル程度の結構な大きさなのですが、持ち手がかなり短く剣の柄程度。明らかに長さが足りなく見えます。
「持つと、持ち手が長くなるんです。そう言う風に出来ているのですが、雅の知っているモノとは違うのですか?」
「あー、伸縮自在とかそういう機能はないから、もっと長いイメージかな」
「なるほど。まあ、収納しやすそうという事ではいいのでは?」
「だね。さっさと拾って階段を探そうか」
ハンマーは見た目よりもかなり軽く、持ち運びとしてはそれほど困る事も無さそう。
ささっとハンマーをリュックに入れて同じくビンも収納をしたら、次の部に向かうため通路へ突入。
真っすぐな通路もなくなってしまったようで、途中で曲がるのですが、嫌な音が。
「この音は、エコーバットだよね」
「ですね。どうするのです?」
「普通に倒すよ。勿論魔法で」
そう言って腰から木刀を抜いて、縦に構えて頭の中で想像するのはいつも使っている便利な風刃。
「風っ」
曲がってすぐに縦切りに合わせての風の斬撃。
エコーバットに気付かれる事なく、こちらの攻撃の方が当たった様で煙と共に魔石を落とします。
「ふぅ。これなら安心だね」
「ですね。それにしてもよく見えましたね」
「腕輪のおかげかな?まあ、通路っていうのもあるよね」
「ああ、通路終わりまでは真っすぐですからね」
通路は次の部屋までつながっているので、同じように移動していたとしても真っすぐしか動けません。その延長線上に放った攻撃が当たるのは道理。
やっと抜けた先の部屋にはどうやらアイテムはなさそうですが、ちょっと困った感じ。
「ねえ、あれはなにさ?」
「アレは多分モンスターハウスですね」
「トラップ部屋以外にもあるんだ」
「みたいですね」
あと数歩進んでいたら危なかったのですが、手前で気が付けてすぐに後ろに下がったので相手に気が付かれる事なく様子がうかがえます。
「因みに部屋にトラップは?」
「見えたかな。真っ赤は無かった感じ」
「足元は多少気をつける感じでいけば何とかなりそうですかね」
「だねぇ。ちょっとやろうと思っていたこともあるけど流石にココでは難しそうだなぁ」
チラリと視線を向けるのはポケットなのですが、この人数差は流石に不利。
戻って別の道に行くことも選択肢にありますが、休憩もしっかり取っているのでここは戦ってみるのもいいかもしれません。
「範囲魔法でやってみようか」
「アースランスですか?」
「いや、別の練習していない魔法」
「練習していない魔法ですか?」
練習していないというか、練習が出来ない魔法と言うべきなのですが範囲攻撃としてはいい威力を持っているはずです。
というのも、練習できない魔法は「火」の属性の魔法。
ただ、頭で想像は出来ているのでいけるはずですが、どうなるかは分かりません。
「範囲魔法で殲滅はありかもしれませんね。やってみましょう」
精霊も乗り気なので、やってみましょうか。
頭の中で想像する魔法はパッと見はただの火の玉。ただ、範囲攻撃にしたいので当たったら炸裂するタイプ。でも自分の方に飛んでくるのは怖いので、当たった側にしか炸裂しないように頭の中でしっかりと決めて、準備完了。あとは言葉で確定をさせましょう。
「ファイヤーボールッ!!」
出来た火の玉は炸裂させる予定もあるので結構大きめ。現実で言う所のバランスボールぐらいの大きさ。右手を前に付き出してその前に作ったのですが大きすぎて前が見えない程。
「イケっ!!」
後は放つ想像をしてしまえば魔法は自動的に前へ。
魔法はそのままモンスターハウスへ向かいます。
結構ファイヤーボール自体が熱さを持っているので、流石に敵も気が付いたのでしょう。エコーバットの羽音とスケスケルトンのカタカタと言う音が聞こえた後に、ファイヤーボールが何かに当たった様で一気にはじけます。
ファイヤーボールは当たった場所を起点に相手側に爆発して火の粉を散らします。
かなりの範囲にひろがったようですが、想像通りなのでこちら側に飛ぶ火は全くなく。
「いい感じの先制攻撃が出来たかな?」
「油断は禁物ですけど、こちらには気が付いているようですから入り口付近で戦いましょう」
「うん、行くよっ!」
トラップではないモンスターハウスの戦闘開始です。
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