★ダンジョン17
十二階へ降りると、違う空気が支配しているのがすぐにわかります。
「空気が重たい?」
「空気が重いのですか?」
「うーん、なんというか今までとはちょっと違うかもしれない。説明になっているのかわからないけど、日本と海外の違いと似ている感じなんだけど分かる?」
「その説明だとわからないですね。ただ、言おうとしている意味は何となく理解しました」
戦場という程ではないのですが、日本のように平和な国の空気とは違う少し気を張っていないとすぐにスリなどにモノが取られてしまう空気。見回しても視線は無いのですが、それでも殺気の様な普段にはない感覚が感じられます。
「気は緩められそうにない感じだね」
「そういう空気という事ですね」
カラカラカラカラ
聞きなれた音が聞こえてきたので視線を向けると、そこに居たのはスケスケスケルトン?
ただ、纏う雰囲気が少し違う気もして、
「あれ、スケスケスケルトン?」
「いえ、パッと見て分かるほどに骨が増えているので、スケスケルトンではないかと」
「スケスケルトン?」
「ええ、スケスケスケルトンのちょっと上のスケルトンですね。骨が増えた分全体的な底上げがされているようです」
全体的な底上げ。なるほど、骨も増えたから耐久力も攻撃力も増えて、動きも今までとは違い、猿ぐらいの知能を持った感じになったのでそれなりの動き。
今までは突っ立て、こちらを見つけると動く感じでしたが、今は索敵をする為に動き回る感じ。持っているのは多分自分の骨でしょうか?振り回す音はそれなりで当たったら痛そうに見えます。
「倒し方は、変わらず」
「ですね。頭部の弱点は変わらない様です」
「オッケー、早速戦ってみようか」
木刀を腰から引き抜き、構えてすり足でにじり寄って行くとどうやらスケスケルトンもこちらを見つけた様子。
ゆらりゆらりと左右に体を振りながら中々の速さでこちらへ近づいてきます。
今までと変わらないように見えたので、そのまま面を打つ様に上段からの一撃を見舞ってみたのですが、スケスケルトンは手に持っている骨でその一撃をガードしてきます。
「マジかっ」
ある程度体重は乗せていたのでガードされても頭にはダメージを与えられたのですが、一撃で倒すには至らず。ガードしているその腕を横に振り回すとリーチはあまりなかったようで、当たりはしませんが後ろに下げられます。
「コレは本当に、別物だね」
「来ますよ」
「うん、イケる」
スケスケルトンの振り回しは威力こそ上がっていますが、リーチが骨なのでそこまで長くなく、こちらの木刀の方が長いので焦る必要も無く。
骨の横振りを木刀の向きを斜めに構えて打ち上げると相手は無手。一応腕でガードはしているようですが、こちらの威力の方が上。そして二撃目というのもあって、頭蓋にあたると煙がでて、コロンといつもの極小の魔石が落ちます。
「ふぅ、少しの違いがって言っていたけど思っていた以上に強くなっている気がするね」
「そうですか?今の戦いを見ている限りそれほどの差は見られませんでしたが」
「今のぐらいだとね。ただ敵の量もまだわからないし」
そう言いながら、部屋を出て通路を通って次の部屋へ向かったのですが、そこには今までいなかったモンスターが。
「スライムだよね」
「ですね。それもやる気の様ですよ」
「だね。まだ魔法は温存かな」
今まで通路はモンスターが居なかったのですが、どうやらそれもチュートリアルだった様子。通路に出て来たスライムはボール状になってやる気でこちらへ体当たり。
後ろに下がる選択もありますが、このまま倒した方が早いという判断のもとにそのままスライムの攻撃を受けます。
ローブを着ているのもあって、ダメージらしいダメージは殆どなく、木刀で叩いて一回跳ね返されますが、もう一度叩けば倒せるはず。
二撃目を入れると煙と共に魔石が落ちます。
「通路も安全じゃ無くなるわけね」
「みたいですね。という事はまだ色々と違う所がありそうですね」
「だね。とりあえず次の部屋へ」
木漏れ日の腕輪のおかげで視界は少し開けているので不意打ちに対しての対策は一応しているような感じですが、見える範囲が広いのは助かります。
少し今までより長い通路を抜けると、そこはかなり狭い部屋なのですが、
「雅、入らないのですか?」
「えーと、入りたいところだけどあちらこちらに罠があるんだよね」
「罠ですか。なるほど、罠の数も……」
「うん、増えているみたいだね」
歩けない程ということはないのですが、狭い部屋のあちらこちらが罠だらけ。罠の色は濃くないので、ダメージや毒なのでしょうけど、毒の解除方法もまだあまり分かっていないので慎重にならざるを得ません。
「精霊、トラップの毒ってどういう効果?踏みたくないけど、踏んじゃっても大丈夫?」
「即死系トラップは低層ではない様ですから、心配は無いようです。ただ毒に関しては確認したところ少しの間持続ダメージを受けるものと、麻痺をして動けなくなるもの、眠らせて来るものと時間で回復するようですが、あまりうれしいものではなさそうですね。あと、矢が壁から狙ってくるトラップもあるようです」
「結局トラップは踏まないに越したことが無さそうだよね」
「ですが、そうもいかない様です」
精霊の言葉の通り、目の前から敵がこちらへ来たのですがラットよりかなり大きな敵。
「あれは、ラットじゃなさそうだね」
「です、あれはヌートリア。ラットよりは強いですね」
「だよね。っていうか三体か……」
敵は三体で動いているようで結構いい感じにフォーメーションを組んでこちらへ。
罠のある部屋で踏まずに倒すのは難しそうなので通路へ戻ってみますがやはり追いかけてきます。
「きますよっ」
「わかってる」
ヌートリアとの闘いが始まります。
見た感じはラットが二回りほど大きくなった感じ。攻撃も前歯での噛みつきと多分テイルアタックなのでしょうが、通路に入ってしまえば一対一。
正面から対峙した形なので怖さもそれほどなく。
「普通に行けるかな?」
「ええ、ラットと変わりないかと」
精霊の言葉通りで、ヌートリアが最初にしてきた攻撃は前歯での噛みつき。勿論そのまま噛みつかれるつもりもないので、横に一薙ぎしてけん制すると前歯と木刀が当たります。
ギュイイイ
前歯が当たって痛いのか、あまり聞きなれない鳴き声がして一歩下がると横回転をしたままテイルアタックで進んできます。
通路なので避けることは難しく、そのまま当たりそうになったので木刀を縦にしてテイルアタックを軽減すると、ヌートリアはその場で停止。
無防備になったのが運の尽きという事で、とどめの一撃を加えると煙になって魔石を落としたのですが、
「次が来てますっ!」
精霊の言葉に慌てて魔石を拾うのを中止して、木刀を構えなおすと勢いと回転を付けたヌートリアのテイルアタック。防御も間に合わずにローブを掠りますが、大したダメージにはなりませんがダメージを食らいます。
そのまま一歩分下げられたので、一歩戻ろうとすると更にもう一体のヌートリアも見えたので、通路には二体列になっているのがわかります。
まさに今が練習の成果を見せる時とばかりに、そのまま頭で魔法の想像をして、確定する言葉を。
「アースランスッ!!」
範囲は自分の想像通りの通路二マス分。地面からの槍にヌートリア二匹共になすすべなく突き刺さり、煙があがって魔石がコロンと。
「ふぅ、範囲魔法便利だね」
「いいタイミングでしたね」
今回のダンジョン探索はやはりかなり楽しくなりそうです。
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




