トマト鍋焼きうどん
お昼が終って片付けの時間。
今日は一品だったのもあって洗い物もそれほど多くなく。パパパッと済ませてしまえばここからは完全に休日の空気。
「終わったー」
「お疲れ様です。明日からはまたダンジョンですか?」
「うん。明日の内にダンジョンに入って明後日はゆっくり休もうかなって思って。だから今日はあまり無茶しないで軽く魔法を使って、早めに寝るつもりだよ」
「という事は、夕飯が早くに来るという事ですね?」
「……お昼が終ったのに、夕飯の話……流石精霊」
「いえいえ。じゃあ、これからいつもの草原ですか?」
「うん。今日は木の削りだから終ってから範囲魔法の練習だね」
「お夕飯が楽しみです」
相変わらずの精霊はそのまま無視。
木を持っていつもの草原へ向かおうとしたのですが、いつもの人が。
「お、今日も作ってくれる感じか?」
「削るだけは今日もやる予定ですよ」
「五日から十日に一遍は来てくれよ?皆お前さんの木剣待っているからな」
「そう言われると結構プレッシャーですね」
「そうか?職人の人達はいつもこう言うと喜んでくれるんだがな」
「あー、職人という程職人じゃないですからね。見た目通りの年齢ですから」
「……言われてみればそうだな。若いな」
お互いに笑いながら、扉を開けてもらっていつもの草原へ。
いい風に背中を押されながらいつもの場所へ着くと、作業開始。
木はいい感じに乾燥もしているので風のチェンソーでいい感じに。木刀の形にそろえるのも結構慣れてきているのもあって、それほど長い時間もかかることなく。
二本分の木刀の形がある程度出来上がったら、明日に備えての魔法の練習。
木屑を巻き込むようにまずはこの前と一緒の魔法から。
「アースランス」
魔法は想像通りに発現して、地面からはある程度鋭い槍が。
勿論この前と一緒なのですが、少しだけ違う部分も勿論あります。
この間は森に向けて。今回も森に向けてと向きは一緒なのですが、わざと奥の方の木を一本目標として狙い定めて放ってみたのですが中々思っていた以上にエグイ事に。
綺麗に木は立ったままなのですが、地面から斜めに槍が綺麗に八本。
根っこが木の上に出来ているのではないかというような感じにしっかりと刺さっています。
「かなり威力のある魔法ですね?」
何も言ってこなかったのでここに居るのかは分かりませんでしたが、精霊も一緒に居たようで、言ってきます。
「範囲魔法として想像していたのを一点集中に変えてみるのを考えてみたらどうなるかとアレンジしてみたけど、これなら当たれば敵は倒せそうだよね?」
「ええ。威力として申し分は無いと思いますよ。というか強過ぎといっても過言ではないでしょうね。あのままだと危ないと思うのであの木は倒してしまった方がいいと思います」
「ん、分かった」
魔力を解くと、槍はそのまま土塊に戻ります。すると、支えを失った木は自分で立っている事が出来なくなった様でミシミシとゆっくり倒れようとしている様子。
かなり不安定なのは見て分かるのですぐに自分に身体強化を使って蹴りを一発。
森の奥の方に向けて蹴っ飛ばすと一気に木は蹴られた方向へ。
「下がってくださいっ!」
いきなりの強い声で精霊が言うのでそのままバックステップで一歩下がると、かなり大きなバキィッと言う音。それは木が裂ける音だったようで木も倒れながらバキバキと少し飛び散ります。
「精霊、ありがとう」
「いえ、ただ伐採は今の様に木が裂けたり自分の方向に倒れて来たり、正しい手順でやっていても危ないことがあるので倒れ切るまでは安心をしない方がいいと思いますよ」
「だね。っていうかそれは父さんや家でも何度か聞いたことがあるかも」
「やっぱりですか。木を狙うのは悪くありませんでしたが、こういう感じの事後処理を考えるとちょっと面倒ですね」
「と思ったけど、倒しちゃえば大丈夫だとおもうんだ」
「どういう事です?」
倒れた木を今度は目標にして、もう一度。
「アースランスッ!」
地面から細かい槍が木に鈍い音と一緒にドスドスと刺さっていきます。
ミシミシとあまり聞きなれない、木の細かい避ける音が聞こえてその音は結構長く続き、少し経つと槍が木を貫通した様子。
二度目のアースランスの範囲は倒れた木丸ごと。
結構範囲は広いですが、綺麗に形通りに槍は刺さって木は綺麗に裂けていきます。
最後に魔力を解けば、木もかなりバラバラになって、土も被ってちょっとこんもりする程度。
「これなら木が倒れた感じも無く大丈夫かな?」
「ええ。あとは切株を綺麗にすればですね」
「あ、忘れていた」
裂けた木の切り株は結構トゲトゲとしたもの。このままにしておくわけにもいかないので、
「風のチェンソー」
木刀とは違って、チェンソーの形状もハンドソーの大きさではなくしっかりとした本物を想像して真横に木を伐ります。
高さもそれほどないので難しい事は無く、残っている部分がこれで綺麗になったのでいい感じ。
「綺麗に伐れましたね」
「うん。ちょっと低いかもしれないけど座るのにちょうどいいかも」
「休憩もこれで出来そうですね」
「休憩ばかりも困っちゃうけどね」
範囲攻撃の一つが思っていた以上に使える気がしましたが、コレはダンジョン探索に弾みがつきそう。内心はかなりウキウキです。
その後に少し『つむじ風』の練習もして家路に。まだ、人が見えない辺り精霊と話をすると、
「お夕飯は?」
「あー、それね。どうしようかな」
「え?考えがあったのではないのですか?」
「そんなにぽこぽこと色々な事は考えなかったけど……」
「結構お腹が減っているのですが、待つ感じでしょうか?」
「えー、お腹減っているの?」
「勿論ですよ。魔法のアドバイスや危険察知、色々としたじゃないですか」
確か死に危険察知などはしてもらった記憶がありますが、アドバイスを受けるほどはしてないような?
まあ、気にしても仕方がないので夕飯を考えますか。
お昼の残りがあるので、同じようなモノでいいのであればすぐ作れそうなので、
「精霊、お昼と似たモノでもいい?」
「違うモノであれば」
「違うから大丈夫」
「ではすぐにお願いします」
南の扉が見えてきて、会話も打ち切り。
行きの時に居た、知り合いもいないのでそのまま家へ戻ってすぐに夕飯を作りましょうか。
思い付いたのはお昼のアレンジ。
お客さんに出すわけではないので、麺は冷凍のうどんでいいでしょう。
作り方も手間を極力減らしていきましょう。
鍋焼きうどんの鍋を用意して、トマトジュースと麺つゆを入れてスープを作ります。
具材はお昼の残りを入れるので、鶏肉、ほうれん草、シイタケ、かまぼこに油揚げ。
スープに具材を入れて、そのまま冷凍のうどんも投入。しっかりと沸騰させて麺がほぐれたら出来上がり。
「トマト鍋焼きうどんの完成っと」
「お昼と違う香りですね」
「夏のトマトで寒い時期の鍋焼きってちょっと贅沢だよね」
「これもまたいい味なのでしょう?」
「まあ、食べて食べて」
「「いただきます」」
食べ始めるとやはりしっかり温まり、味もトマトジュースなので丁度いい感じ。
スープが結構残りそうですが、それも全く問題なし。
「残ったら、チーズ入れてご飯足して、チーズトマトリゾット風も出来るからね」
「それはまた美味しそうな変化ですね」
「今日は食べ終ったら明日に備えてさっさと寝ようね」
「ですね。あ、うどんが無くなったのでリゾットにしてもらえますか?」
「ちょっとまって、もう少しで食べおわるから」
わいわいと今日も楽しい夕食になりました。
さ、明日は楽しみなダンジョン探索。
今回はどんな感じになるのかなぁ。
今回も読んでいただきありがとうございます
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改めてありがとうございます
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