鍋焼きうどん
まず作るべきは麺類なのですからつゆ。
読んで下さっている皆さん(連続で読んでいたら数分前)は、一日待って貰って答えがもうタイトルにあるので今更ですがコレから作るのは鍋焼きうどん。
お客さんに出すという事でなければ市販のめんつゆを希釈してで全然かまわないところですが、ココではお金を頂いて商売という形なのでその手間も料金の内。
ということで、めんつゆから作って行きましょう。
慣れた作業に僕はなりますが、普通の家ではあまりやらない作業である出汁取りから。
いつもの様に昆布を拭いて鍋にお水を張って、その間にかつお節の準備や他の具材を切ってこの後の準備をある程度進めます。
三十分程度昆布を浸してあるお水を弱火でじっくりと火を入れて一度沸騰。
沸騰直前で昆布を抜いて、完全に沸騰させた後、一度温度が下がるまで待ったら、次に鰹節をたっぷり入れてもう一度沸騰させながら灰汁を掬って火を落としたら後は濾すだけ。
「いい香りだなぁ」
「おいしそうな出汁ですね」
いつの間にか居なくなっていたはずの精霊が出てきています。
「一口だけね。ただ、味付けが無いからそんなに強く味は無いからね?」
「ええ、理解しています」
変にいっぱい味見をされる前に、こちらから量を指定した方が楽なので自分の味見と同じ量を精霊にも。
しっかりと両方のいい出汁が出ていて、コレだけでも十分美味しいといえるほど。まあ、塩や醤油など味になる部分は少ないので香りが強いという感じにはなりますがカツオや昆布の旨味の塊。凝縮された味はいつ飲んでも変わらないいい味。
「コレを元に、めんつゆにしよう」
出汁があれば後は簡単。
醤油、砂糖、みりん、お酒を入れて沸騰させない程度に火にかけて味を見ましょう。
「うん、完璧」
「では、ワタクシも」
さっきとは違う小皿に味見量をちょこんと乗せてズズズと啜って、そのいい味につい自画自賛。
精霊も味見が終ると「今日のランチは最高ですね」と期待が高まってしまった様子。
少し多く作り過ぎても冷蔵保存でなんとでもなるのもあって、量はたっぷり作っているので、ランチの鍋焼きうどんにもたっぷりの予定。
さて、ツユが出来たので具材を揃えていきますか。
鶏肉は一口大に切りそろえてからお湯でしっかりと火を通しておきます。
ほうれん草も一度茹でてしっかりと水気をぎゅっと絞って飛ばしてから一口程度に切りそろえます。
色合いにもなるかまぼこは食べやすい大きさに切って、同じくネギも切りそろえておきましょう。
シイタケは干しシイタケを戻してもいいですし、通常のモノでもオッケー。今回は通常のシイタケの石突をしっかりと落として、傘の部分には十時の切り込みをいれてから半分にそぎ切り。
めんつゆを吸ってさらにおいしくなる様に油揚げはしっかりあぶらぬきをしてからちょっと大きめに切りそろえます。
こんな感じで具材を揃えて見ると結構具沢山になってきます。
「あとは、お客さんが来る前に麺を茹でればいいんだけど、さてどうしよう」
正直にいえば、今どきの冷凍うどんはかなり出来がいいので冷凍うどんで作りたいところなのですが、しっかりとしたコシのあるタイプが僕としては合うと思う所ですが、人によってはくたくたになった方が美味しいと感じる人も居ると思うので悩ましい所。
さてどうしたモノかと、ちょっと悩んでいるのですが、
「お悩みですか?」
「あー、うん。麺をどうしようかなって」
「うどんですよね?」
「そう。コシがしっかりしているモノと煮込んでクタクタになるのと二種類あるんだよ」
「二種類だけですか?」
「だけっていうけど、まあ二種類だね」
「でしたら……」
精霊が提案してきたのは考えてみれば当たり前ですが、なかなか出てこない発想で。
その案に乗って今日のランチは作るとしましょう。
そんな感じで麺の準備をすると、いい頃合い。
「お昼、食べに来たよー」
「こんにちは、いらっしゃい」
がーさんの声が聞こえて、皆さんが来ます。
今日のランチは一品料理の形なので席でゆっくり待って貰っている間に完成させていきます。
一人用の小鍋にめんつゆを入れて、具材を入れてうどんを入れて火にかけて。
沸騰してきたら、卵を落として蓋をして一分少々待って火を落としてもう一分待ってから熱々の鍋ごともってお客さんの所へ。
人数が多いので、準備としては鍋に入れても問題のない具材だけを入れておいてスタンバイ。火にかける直前にうどんや足りない具材を入れてという感じです。
「お待たせしました、鍋焼きうどんです」
今日のランチを一気にやはり出すことは難しいので二人ずつ。
最後の二人分はうちの精霊の分。
精霊も喜んで食べ始めると、客席から声がかかります。
「今日のランチ、中々面白い事をしてくれたね?」
「面白かったですか?」
「うん。ちょっと初めてで楽しかったというか、やはり好みが分かれるのも理解できるなーって」
がーさんがそう言います。
「ん?どういう事だ?」
火の精霊付きの人が問うようにこちらを向いて聞いてきたので、
「あー、本当はうどんが一種類なんですよ。コシの強い麺かコシの強くない麺かで」
「ほほぅ?」
「ですが、今回はあえて両方を半分ずつ入れて、楽しんでもらうようにしてみました」
「だから、麺がちぎれやすいものとしっかりしたモノがあったのか」
その通りです。
ということで、精霊があの時言ったのは「両方入れてみては?」という当たり前のような一言。
ただ、両方入れるとなると微妙に時間差も必要でコシの残るものと残らないもの演出は意外と難しかったりしました。
「一つの鍋で味は一つだけど食感の違いや色々楽しめるとは」
「今日も美味しかった」
「いいお味でした」
「……(高速頷き)」
「明日から二日間……お昼が……」
「現実に戻さないで」
皆さん各々の感想をポツリと漏らしながら、お昼はつつがなく終わりました。
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




