お刺身定食
昨日は今の自分が出来る範囲の分かるいい日でした。やってみたいあれやこれに対しての可否も理解して、結局練習がもっと必要という結論に。
しかしそれも寝て起きれば、色々とリセット。
疲れや怠さはなく、起きてすぐはのろのろですが、顔を洗って少し経てば目もパッチリ。
「朝ごはんにしよう」
昨日半分ぐらいは失敗してしまったコーンフレークの残りをちぎって牛乳を掛けて食べます。
電子レンジで作った時とは少し違いますがそれでもまずい事はなく、丁度いい朝食に。
「おはようございます」
精霊も起きていたようで、挨拶をしてきます。
「おはよう、精霊。朝ごはんは何かいる?」
「すぐには食べられそうにないので、飲み物で済ませます」
目で追ってみると、精霊は冷蔵庫に。
ふっと消えて、少し経つとまた出てきます。
「精霊?飲み物で済ませるって今何をしたの?」
「冷蔵庫の中のストックのジュースを飲みました」
ふよふよと浮きながら、くるくると入りを変えながら返事を精霊がします。
「飲んだの?」
「精霊には隔てるものが基本的にはありません。壁も、人も、それこそ魔法もすり抜ける事が可能です。冷蔵庫にあるジュースまで行って、飲み物を飲んで戻って来ただけです」
器用な事をしているな、程度におもいながらもそのずぼらさが少しだけ羨ましくも思います。
「まだお腹は減っていませんが、今日のランチは何の予定でしょう?場合によってはお腹を空かせて来ようと思いますが」
少しだけ精霊の事をあれこれと考えていたところに言われて、まだ今日のランチを考えていない事に気が付きます。
「今日、なにつくろう?」
ぽつり、呟き考えましょう。
確か二人増えるといわれて人数も増える事。
最低でも七人。いや、自分も入れたら九人前を考えないといけません。
「マスターがいつも悩んでいたの、よくわかるなぁ」
人数に対して出せるモノを、さらに言えば一人でやるので仕込みなどはシッカリと出来ていないといけません。
「手抜きってわけじゃないけど、人数が多いときはアレがらくだよな」
呟きながらも冷蔵庫を開けると、思っていた通りの食材がやはりあります。
この機能に関してだけは本当に便利。
すべての食材があることを確認して、精霊に聞いてみます。
「今日のランチ、お刺身定食にしようとおもうけど、どうかな?」
「お刺身定食ですか。ふむふむ。………………それでしたら天婦羅も添えてください」
「ん?」
「お刺身定食がどういうモノか知らないので検索をしてみたところ天婦羅の揚げたてが付いている贅沢な定食というのを発見しました。天婦羅という響きもいいので是非付けてください」
短時間ですぐ検索をかけた映像を僕は見ていませんが、探したのでしょう。
その結果が天婦羅もつけてほしいとの事。
確かに刺身だけでは少し寂しいとは思っていましたが、天婦羅か。
準備を考えると少し手間はかかりますが、はさみ揚げ程度であればそこまでは難しいことも無いでしょう。
「わかった。でも、天婦羅はメインじゃないから少し基本からはずれるからね」
「基本から外れる天婦羅。楽しみです」
どうやらずれても外れても精霊には楽しみな模様。
昨日同様にご飯はお代わりがあることを前提に、かなり多めに炊くことに。
ご飯の準備が終ったら、魚のチェック。
お刺身に選んだのはマグロ、鯛、イカ、ブリ。
幸いにしてサクの状態で入っていたのであとは刺身包丁で分けるだけ。
お味噌汁は、なめこ。
つるっとした食感と飲みやすさで。
折角和食なので、もう一品なにかいいのが無いかなと冷蔵庫前でにらめっこ。
冷蔵庫を開けると出てくる食材で何か一つ作れたらと思ったのですが、何でもいいからと思っても欲しいものが出てくるわけはありません。
「あ、酢味噌和え」
思い浮かんだのは酢味噌で和えたホタルイカだったのですが、野菜で酢味噌を和えると考えれば、
「ウド!」
ウドが出てきます。
ウドは多少の灰汁が出るので皮を剥いて酢水にさらしておきます。
白みそ、お酢、砂糖、からし、塩を混ぜて酢味噌を作って、あとはさらしたウドを小鉢に乗せて酢味噌をかけて出せば小鉢の完成。
「おいしそうな、それは何でしょう?」
精霊がいきなり出てくるのはいつもの事。
「ウドだよ。ウドの酢味噌掛け」
「試食しても?」
ダメと言っても食べる姿勢にしか見えないので、縦に首を振ります。
「ほほぅ。山菜と根菜の間のような香りと食感。なによりも酸っぱくて甘くてピリッと来るこの酢味噌。おいしいですぅ」
いったいどういう知識の元にそのコメントなのだと思いながらも、満足してくれた様子。
「天婦羅の試食もすぐにする?」
「是非。お刺身は何となくわかりますから」
本人がそういうならまぁそういう事で。
天婦羅というよりはかき揚げですが、材料の準備は済ませるに越したことはありません。
使おうと思っている食材はエビとレンコン。
エビは殻を剥いて、背ワタを取って食感の残る程度にぶつ切りに。
レンコンは皮を剥いて、一度酢水にさらしてから水気を切ってこちらも食べやすい角切りに。
両方に軽く薄力粉を振って、あとは準備をしてから。
油をしっかり入れたら温度はやや低めの160~170で。
衣は薄力粉にしっかりと冷えた冷水、少量のベーキングパウダーをさっくりと混ぜてレンコンとエビを入れておたま一杯分ぐらいを油に落として揚げます。
入れた瞬間はそこまで激しい音にはならず、じっくりとサックリ。
サクッと揚がったら油を切って塩を添えて天婦羅も完成。
「精霊、どうぞ」
「ほっほー。これもまたおいしそうですね。ではいただきます」
どういう食べ方なのかわかりませんが、サクッといい音が。
「これは、これは。うん、うん。うん?もうない?」
凄い勢いで食べている精霊は自分で食べたのにこちらを窺うような動き。
「試食だからね?まだお昼じゃないんだよ?」
「うう、もう少し食べたい」
「後での分がなくなるけどいいの?」
「それは嫌です」
「じゃあ、我慢ね?」
「うー、うー」
精霊はうーうー言いながら、ふと気が付くと消えていました。
今日のランチは刺身の定食でイケそうです。
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