★竜巻とつむじ風
あ、今日もいつものです(笑)
ご飯を炊き忘れていたのですが、ギリギリ問題なく。
お昼を何とか過ごせて、自分たちのお昼ご飯。
「今日もおかわりが凄かったですね。私がヒヤヒヤしました」
「精霊が何でヒヤヒヤするの?」
「私の取り分が減ります」
「いや、その理屈はオカシイ」
「減るのは困るのです」
「お客さんと同じぐらいおかわりしているのに、まだ食べると?」
「少しぐらい多くてもいいじゃないですか」
「少しとは、一体?」
と、相変らずのやり取り。
皆さんは本日のランチも気に入って貰えた様で、おかわりをされるほど。帰り際にちょっとしたお題を頂いたので明日のランチは悩む必要が無くなって嬉しい限り。ついでに言えば、今日のランチは一品料理だったのでいつもよりもかなり楽な片付け。お客さん同様の昼食を取って、今日も魔法の練習を。
やることは昨日の二本の木刀を磨く予定ですが、その前に精霊に確認を。
「ねぇ、昨日の『竜巻』かなり魔力消費が多かったのだけど、理由分かる?」
「ええ。私は分かっていますよ」
「教えてもらえる?」
食後の片付けも終わって、木刀を準備して家を出る前のタイミングで精霊に確認をするように聞いてみると、理由が分かっている様子。
変な交渉をされるのはちょっと困るところではあるのですが、かなり魔力消費が多かったので、あれでは気軽に使う事は出来そうにないので聞いてみた次第。
「雅は雅なりに考えたのですよね?」
「勿論だよ。ただ、どう考えても消費魔力が大きすぎてオカシイなって言う感じだけでね」
「では、折角ですから着くまで考えてみてはいかがでしょうか?」
「あー、クイズみたいな感じ?」
「ええ。いつでも答え合わせは出来ますので、もう少し考えてみて下さい」
「わかったよ」
木刀二本を片手に小銭はいつも通り少しだけポケットに入れて、南の扉を過ぎていつもの平原へ。
今日も平原に出るといい風が頬を撫でてくれて、雲一つなくいい天気。
今回は身体強化を使う予定も無いので、ゆっくりと自分で土のやすりを魔力で作って三種類のやすりで綺麗に形を整える作業。
どんどんやすりの目を細かくしていくと触りの感覚も良くなっていきます。
ただ、二本もとなるとやはり時間はかかります。
両方いい感じに仕上がる頃には青空と言うよりは夕焼けに近くなってくる色合い。
「んー、練習どうしようかなと思ったけど少しだけやってすぐに帰ろう」
「で、雅。魔力消費が多かった理由は分かりましたか?」
「いや、全然」
あれから色々とやすり掛けをしながら考えてみたのですが、思い浮かぶ事は無く。
竜巻をしっかりと想像は出来ていたはずで、回転も申し分なかったはず。他にも色々と頭の中で考えてみたのですがコレだとアタリが付くようなことは思い浮かびません。
「何かヒントはある?」
「魔法を使うとそれがヒントかもしれません」
「使うと?じゃあ早速やってみようか」
「ええ」
言われるままに昨日と一緒で街を背にして頭で想像をして言葉で魔法を確定させます。
「竜巻っ」
消費魔力はやはり大きく、ゴゥと風の竜巻が雲を絡めて大きく立ち上ります。
魔力を解けば、これまた一緒で風に戻っていきます。
「んー、分からない。自分が思っているよりも数倍近くなんで消費されるんだ?」
「数倍もやはりかかっているのですか」
「だね」
「因みにですが、同じぐらい消費魔力がある魔法は?」
「同じぐらいは今の所は無いかな。消費魔力はどれもこれもそれほど多くは無いから」
「そうだったのですか。では初めの頃で思い返してみては?」
「初めの頃?」
言われて思い出してみるのですが消費魔力が多い魔法あったかな?
記憶をゆっくりと遡ってみると、かなり消費魔力が多かったものを思い出します。
「シャワーの時かな?いまはかなり簡単にできるけど水圧を整えるのが最初の頃は大変で、多かったかも」
「あー、あの時は結構ギリギリまで使っていましたね」
「だねぇ。他でと言われても消費魔力が大きかったのは……まぁ当たり前だけど六属性の玉を使うと多いかな?」
「なるほど。雅はこちらの世界とは違う世界から来ているだけあって、ちょっと普通と事情が違うかもしれないですね」
「事情が違う?」
なにかおかしなことがあったかな?と想像してはみるのですが、思い当たる節も無く。
「多分答えが出ないと思われるので、もう一度『竜巻』をお願いしてもいいですか?」
「うん、わかった」
言われるままに、竜巻を出します。
「雅はこの魔法、どういうモノと想像して確定させていますか?」
「えーと、竜巻だから風をグルグルと回転させて吸引力を作るように想像しているよ」
「では、上のアレは自分で想像していない余剰分ではありませんか?」
「上の、アレ?」
視線を向けるのは竜巻の上部。雲がどんどん竜巻に吸い込まれていくのが見えます。
……雲?あれ?今日は雲一つなく晴れていた様な気が。
もちろん雲は多少の雷を伴ってこの竜巻の威力を上げるのに役立っているのですが、雲も雷も想像ではありますが、考えてはいないモノが出てきている?
「雲、が何で出ているんだろう?」
「雅がそういう風に想像をしているのでは?」
「いやー、言われてみればそうかもしれない。って事は数倍の部分は別の属性も入れていたからってことかな?」
「ご明察です。多分この魔法は三つか四つの属性が混ざっている魔法になりますね」
そりゃぁ、消費魔力が大きいわけだ。
でも、何故そんな事が精霊は分かったのだろう?と視線を向けると、
「一応精霊なので、見れば何の属性を使っているのかは見えます。それと昨日少し調べてみたのですが、雅の世界での『竜巻』は雲を巻き込んでいるもので、風だけが回転しているのは『塵旋風』ではないのでしょうか?」
「塵旋風?」
「ええ、つむじ風とも呼ばれていると思うのですが」
なるほど、見えるのね。そりゃぁ別の属性が見えているのであればすぐわかるよね。というか、竜巻とつむじ風って違うの?え、あんまりよく分かっていないんだが、どういう事だろう?
「竜巻とつむじ風って違うの?」
「違うようですよ?竜巻は大気の状態が不安定で雨や雹や荒天時に起こるようですが、つむじ風は普通に晴れていても起こる現象の様ですから」
「へー。って事は頭で想像しているのがそのつむじ風なのに言葉が竜巻だったからおかしなことになっていたって事?」
「そうなりますね。なので同じ想像で『つむじ風』と言えば風の精霊だけになるので消費魔力は減る可能性が高いですね」
「そっか、よし早速やってみよう」
魔力を解いて竜巻をバラシて、もう一度同じ想像をして今度は『つむじ風』と言葉で確定をしてみます。
すると、消費魔力はぐっと少なく、同じような風によるつむじ風が出来上がります。
「おお、かなりぐっと減ったよ。消費魔力」
「本当はお湯を作った時に消費魔力が倍になっていてもおかしくなかったのですが、知っていたからなのか、それほど増えていなかったようなので今回は答えを教える形にしてみましたが、どうでしたか?」
「凄く勉強になったし、助かったよありがとね、精霊」
「いえいえ。因みに今夜の夕食は?」
話の切り替えが早いのはいつもの事ですし、精霊の気になる事がご飯なのもいつも通り。
「まだスープカレーが残っているからそのままか、ちょっとアレンジするかな?」
「お昼で残っていないと思ったのですが?」
「いやいや、ちゃんと冷蔵庫に別で保存していたから残っているはずだよ?」
「私が知らないうちにそんな事をしていたとは……、流石です」
何が流石なのかは知りませんが、問題だった範囲魔法の二つ目も使えるようになりそうな目処が立ったので、いい感じ。
夕食はスープカレーの中にパンを入れてチーズを掛けてとろけさせたちょっと変わり種のスープカレー。ご飯も合うけど、そのままでも十分美味しいという食べるスープを楽しむとしましょうか。
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