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棒棒鶏

「今日のお昼はなんだろう?」

「楽しみですね、今日も」

「ですね」


 お店の前に全員集まって、いつもの様に店内へ。


「こんにちは、いらっしゃい」


 お店に入ると、いつもはしない少し甘い香りが今日はします。


「今日のランチも楽しみにしているよ」

「ええ、お席へどうぞ」


 そう言われていつもの席へ移動すると、おしぼりとお水が出てきていつもの待ち時間。

 地球のマスターがやっているお店にますます近くなってきているようで、僕としては嬉しい限り。今日のランチも楽しみに待つことにしましょう。


 同じ頃、厨房は大忙し。

 蒸し器で角煮まんを温めなおして、それだけではと用意したモノを配膳の準備。


「私もすぐに食べたいです」

「わかったから、少し待っていてね?」


 精霊も食べたいようなので、ささっとタレを掛けるだけ。

 あの後、作った一品はお手軽棒棒鶏。

 鶏のむね肉を一人一枚とちょっと量は多く感じそうですが、サラダとして出すので意外と簡単に食べられます。

 鶏のむね肉を観音開きで開いて厚さを均等に。それをしっかりと沸かしたお湯にお酒を加えて茹で上げます。

 茹で終ったら、火が通っているのを確認してから粗熱をとって繊維に沿って細く割いていくだけ。

 茹で汁は後でスープにしたいので同じものでどんどんお肉を茹でていくと多少の灰汁も出てきます。お酒はお肉を入れる時に毎回足して湯量も減ったら足して一つの鍋で全て茹でたら同じく割いておけばオッケー。

 後はキュウリの千切りとトマトを輪切りにして細く割いた鶏肉とキレイに盛ってソースをかければ出来上がり。


 勿論ソースも簡単に作って置きます。

 味噌、ゴマペースト、醤油、みりん、砂糖、ゴマ油を混ぜ合わせた少し甘いタレを作って後で出すときに掛けるだけ。

 サラダにするので、キャベツやレタスの千切りも一緒にしてもいいのですが意外とキュウリだけでも結構なボリュームになるので、今日は足さず。


 茹で汁のスープはソレだけだとやはり味は薄目なので、塩とコショウは入れましょう。

 サラダとしての棒棒鶏がありますが、少し野菜は少な目なのでスープに入れることに。

 タマネギの皮を剥いてスライスしたモノとニンジンも同じく皮を剥いて薄目の短冊切り。

 サラダに入れるのを止めてしまったキャベツをこちらのスープに入れることに。大きさは適当にざく切りでちょっと食感良くしてみましょう。

 すべて入れて、一度沸騰させて灰汁を取って味の確認。

 棒棒鶏で食べない皮やスジ等があったらこちらに入れればいい出汁になるので一緒に入れて、お客さんに出すのでなければ一緒に食べても問題なし。コレはお客さん用なので、網袋に入れて出汁取りの状態に。


「んー、ちょっとまだ薄いかな」


 味がやはりぼやけるので、醤油とオイスターソースを入れてくっきりはっきりさせるつもりですが、今日は丁度その両方を入れたモノがあるのでそちらから拝借。

 そう、角煮のタレを調整しながら入れます。

 色は透明から茶色系に濁りますが、その分味がぐっと良くなります。


「よし、いいかな」


 と、こんな感じで出来上がったランチ。

 事前に準備という事で、角煮まんは蒸し器で保温中なので火を入れて温めるだけ。棒棒鶏のサラダは時間近くになってお皿に盛ってソースを掛けるだけの状態にして冷蔵庫で冷やしているので出して、ソースをかければオッケー。

 同じくスープも少し温めなおせばすぐに出せます。


 精霊の分もという事で、棒棒鶏サラダを八つと温めなおした出来立て同様の角煮まんを一人二つ。一応おかわりも考えて一人4つまでは出せる様に準備してあるのでおかわりに対しての抜かりも無し。

 先にこれを出してスープは後から。


「お待たせしました、本日のランチです」

「おお、これは中々不思議な」


 大きなお皿にはセイロが乗っていて、中には角煮まんが二つ。

 そしてパッと見て分かるほどには高くみえる棒棒鶏。


「あ、今スープをすぐお持ちしますね」


 お客さんに出すとすぐみなさんもセイロを開けたようで、中身を見てビックリしている様子。と言うのもこちらの世界でも饅頭はあるのですが、形は中華まんの形。それに対して今回の角煮まんは挟む形なので形状が違います。


 厨房に戻ってスープをよそって。勿論精霊の分もすぐそこなので渡すのですが、


「雅、私の分の角煮まんが一つすくないのですが?」

「そりゃぁ、さっき食べたからね?」

「アレは試食では?」

「言ったはずだよ?」

「うぐぐ、スープも美味しいけど、もう少し角煮まん食べたいぃぃ」


 子供なのかもしれないので、あまり無理をさせるわけにはいかないと言いたい所でもありますが、約束は約束。お客さん優先なので精霊はとりあえず一つで我慢してもらって、スープを客席へ。


「お待たせしました、本日のスープです」


 野菜が入っているので実はこのスープと角煮まんを合わせるとかなりお腹に溜まります。

 そしてサラダもタンパク質たっぷりですし、キュウリはシャキシャキの食感で満腹中枢も刺激してくれるので見た目以上には食べられないかなと思っていたのですが、


「これのおかわりは?」

「ご用意していますよ」

「ではすぐに頼む」


 男性陣は早速食べ終った様で、すぐに注文が。

 結構忙しいお昼はこんな感じで始まりました。


「もしかして、コレ……お持ち帰りできる?」


 食事が始まって少し経った頃そんな事を発したのは水の女性。

 そしてその一言で固まったのは男性陣。


「お、おかわりしてしまった」

「持ち帰る発想は無かった……いや、食べてしまった」

「美味しいからそんなこと考えなかった」

「その手があったかぁ。まあ、いいや」


 がーさんを含む四人が少しだけ色々と考えていたようですが、どうやら吹っ切れた様子。


「できますけど、おかわりをしてしまった人の分は難しいですね」


 無い袖は振れません。

 そのまま伝えると、男性陣は吹っ切れているので気にしない顔。


「じゃあ、私達はお持ち帰りでよろしく」


 女性陣は持ち帰る形になったので、すぐに厨房へ。


「どうかしましたか?」

「ああ、お持ち帰りをしたいって言われてね」

「ぇ!?私の分がまた無くなるのですか?」

「いや、精霊の分ではないからね?お持ち帰りで渡しても数個は残るはずだからもう一つぐらいなら渡すけど?」

「すぐ下さい!」


 うちの精霊の食欲はとどまることをしない様子。

 ちょっとだけ大きなため息が出ましたが、今日のランチは何とかなった感じです。






今回も読んでいただきありがとうございます

目に見える形の評価やブックマークそして感想もかなり嬉しいです

誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません

改めてありがとうございます

毎日投稿頑張ります

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― 新着の感想 ―
[一言] 幸せなお昼だぁ! いつも思うけど、お金を払うなら、いい値段になりそうだ。 合わせて、いいなあ〜!
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