豚の角煮&煮卵
木材屋さんに戻ってみると、なにやら二人とも話に花が咲いている様子。
「おっ、戻って来たか。中々この門番長さん凄い人じゃないか」
「いやいや、木材屋さんもいい仕事をしているじゃないですか」
二人で褒め合っているのはほんの少し不気味な感じもしますが、まあ仲が良い事に悪いことはありません。
「打ち解けたようで何よりですね。話は決まりましたか?」
「ああ、六角の棒であれば作れるという話になってな。それをお願いすることになったよ」
「それはよかった」
「で、だ。お前さんの魔法の話を聞いたのだが……」
早速精霊に言われた話が出て来た様子。
「昼間に別の仕事をしているので、教えることは難しいかと」
「まぁ、そうだよな。魔法の習得は時間もかかるからな」
「それもあるのですが、別の意味もありまして」
「「別の意味?」」
二人が首をかしげて聞いてきました。
「僕の魔法はちょっとみなさん達のそれと違うので、使い方を誤るとよろしくないんです」
「使い方を誤る?」
「ええ。それこそナイフと一緒です。武器に使えば人を殺せますが、料理を作るにもナイフが必要でしょう?」
「ああ、そういう事か。という事は……そういう事か」
木材屋さんだけが納得したのは、あの魔法を見ているからでしょう。
僕の使う風のチェンソーは木を切るには十分ですが、人に向けて使えはソレだけで簡単に人を抉ることが出来ます。
一人置いてけぼりにされた門番長もナイフの話には納得して居る様で、何となくは理解してくれている様子。
「木刀は作ってくれるのだろう?」
「ええ。それはただ、木材屋さんと違ってスピードはそれ程ではないと思いますけどね?」
「ああ、構わないさ」
そんな感じでこちらの話も一段落。
かなり後にこの街の門番の正式装備がまわりの街に少しずつ伝播するのは遠い未来のお話し。
家に帰って夕飯を考えるとしましょうか。
教わったお店をちらりと見ながら帰りますが、ピンとくるものは無く。
さて、夕飯をどうしましょうかね。
「考えることが色々あるなぁ」
考え事をする時に言い料理なんてあったかなぁ?そんな感じに思考を巡らせてみると、丁度良さそうな調理品を思いつきます。
「家に帰って、お肉の確認をするかな」
ちょっと早い時間だからこそできる長時間料理を今日は作ることにします。
「ただいま」
「おかえりなさい」
精霊との挨拶も終わって、すぐに手を洗ってお肉の確認。
必要なのは豚のバラ肉。それもちょっとではなく、かなりの量を。
心配は殆どないのですが、それでも少し緊張するのはいつもの事。冷蔵庫を開けてみるとお目当ての豚のバラ肉。今日は分けあってかなりの量です。
「おお、豚肉の料理ですか」
「うん。夕飯だけど、明日のランチも兼ねてって感じかな」
「それは美味しそうですね。すぐにできますか?」
「んー、結構時間はかかりそうだからゆっくり待っていて?」
「分かりました。楽しみです」
精霊はそれだけ言うとふわりと消えて、厨房に一人。
一人でいると厨房もかなり静かな場所。
「さてと、やるかな」
使う材料は豚のバラ肉、臭み飛ばしで米のとぎ汁、生姜のスライス、ネギの青い部分などこの辺りはお好みで。もしどれもこれも用意が難しいのであればお酒を入れるだけでも全然違うので、お酒で代用でもいいと思います。
大きな鍋を用意して、大きな塊のままだと流石に鍋に入りにくいのである程度入りやすい大きさに切ります。
そしてそれを入れたら夕飯用にコレからご飯を炊くので、お米のとぎ汁の一番濃い最初の分をたっぷりと入れて、今日はネギを使う予定はないので、ネギの青い部分は無し。生姜のスライスを入れると若干生姜の香りが付くので今日は生姜のスライスも無し。ただお酒はいれた方が臭みの飛びがいい気がするので一緒に入れて火にかけます。
ここからが長い時間。
まずは強火にしてしっかりと沸騰させます。沸騰したら中火よりの弱火にして三十分。
結構な量の灰汁が出るのですが、米のとぎ汁もあるので取っても意味がないのでそのままで大丈夫。三十分煮たら一度蓋をして火を落として三十分休ませます(蒸らす作業)。
この作業を三回。三時間程じっくりとやります。
「雅、そろそろですか?」
「いや、まだ蒸らしているだけだから、時間かかるよ」
「そうですか。あ、ご飯が炊けましたよ?」
「でも、まだできないからね」
コレが最初の一時間の時の話。
「雅、もういいのでは?」
「まだまだだよ。この作業でどんどん美味しくなるからしっかり灰汁と油を抜かないとね」
「そうなのです?お腹が減ってきましたぁ」
「ごめんね、まだかかるよ」
同じような会話の二時間目の時の話。
「雅、もう待てませんが!」
「下茹ではもうすぐ終わるかな」
「では、食べられるのですか!?」
「いや、まだかかるよ?」
「もう、お腹が、ぐーぐーと、なって、仕方が、ないのですが?」
「でも味ないよ?」
「ええぇえええ!?」
いや、だって。豚肉をただひたすら煮る作業。コレは灰汁を抜いて油を抜いてどんどんおいしくしているのですが、この後の煮込みで味を染み込ませて初めて美味しくなる料理。
あ、三時間もやっているので途中で勿論ゆで卵もたっぷりと茹でて他の準備も終っています。
三時間煮て、蒸らしてを交互にやったらラードの取り出しを(必要ない場合はしないでオッケー)。
ラードは上に浮いている油の部分。それを掬い上げてボウルなどに入れて冷蔵庫で冷ますと白い塊が出て来るのでそれを後程取り出してあげるだけ。
ちょっとした炒めものに足してみたり、揚げ物の油に足してみたりと料理の味が一段階上がる気がするので、取っておいて損はありません。
ラードを取り出したら、水を差して一度温度を下げてお肉を取り出します。
脂身の部分はかなり柔らかいので崩れないように注意しながら軽く水洗い。
これでやっと準備が終り。
別の鍋を用意して、お水、醤油、酒、砂糖、オイスターソース、生姜のスライスを入れてそこへ茹でたお肉とゆで卵を入れて弱火でじっくり。
コレも同じで三十分煮たら火を落として、蒸らしてを繰り返すのですがどうやらもう精霊は限界の模様。
「雅ぁぁぁぁ、まだですかぁぁぁ」
「仕方ない。ちょっと早いけど少し食べようか」
「本当ですかっ!?!?」
「本当だから席ついて」
「はいっ!!」
といっても超絶シンプル。
白いご飯と豚の角煮。お味噌汁も無く主食とご飯だけですが、まあ卵も薄い味付けになっていそうですが折角なので付けますか。
「では、イイのですね?」
「はいはい」
「「いただきます」」
煮込みが甘いですが今日の夕飯は豚の角煮と煮卵。
コレからもう一時間ほど煮込む予定ですが、それでもしっかりといい味。
「美味しいですね」
「そりゃよかった」
結構色々と考え事も捗って、お夕飯も中々。
さて、明日のお昼にコレを使ってアレを作るとしましょうか。
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