★魔法と木刀
前話に引き続きです
「片付け終りっと」
「では、外出ですね」
「うん。作るのは構わないって言わないとね」
精霊と話をしながら、お客さんも帰って片付けも終わった所。
一度部屋に戻って木刀を一本もってふと、思います。
「そういえば、どの木で作るか確認しないとね」
自分で使っている感じとしては、柔らかい木はしなりがあって速さがある人には使い勝手のいい気がしますし、硬い木は柔らかい木の逆でしなりが無い分、力が必要ですがその分威力が出やすく、重たい木は力が弱くても威力が出るというある意味どれにもいい部分がある感じ。
「そうですね。柔らかい木の木刀はこの前のトラップチェストに一本食べられてしまいましたが、ストックがありますからね」
「だね。折角だし持っていこう」
三本の木刀をいつもの様に腰に持った方が楽なので、風呂敷リュックをぱぱっと作ってリュックの中身には水筒を入れます。
「よし、行こうか」
荷物は少なく、いつもの格好なのですが昨日と一緒の感じがあるので少しだけワクワクするのはダンジョンの時と錯覚しているからでしょう。
家から出て噴水広場を抜けて東の扉の近くにある消防署のような建物に着くと、ふぅと一息。
「こんにちはー」
この前は連れてこられたのでそのまま中へ入りましたが、今回は連れられているわけではないので大きな声で挨拶をしてみることに。
すると中から一人出て来たようで、
「どちらさん?」
「あの、ちょっとした依頼を受けていたモノなのですが、返事をしに来たんですけど」
「そーっすか。どうぞ中へ」
そのまま中へ通されます。
この前と違う部屋に通されて、
「すぐ呼びますので、お待ちください」
お茶を一杯出されて案内してくれた人は居なくなります。
折角なのでとリュックをおろして、お茶を頂くことに。
外での食事は何度かしましたが、お茶を飲んだ事は無く。ただ、見た目がそのまま日本茶の形。蓋を開けて一口。
「日本茶だ。美味しい」
家では基本的にコーヒーかたまに紅茶。あとはスポーツドリンクで日本茶は久しぶり。
美味しく日本茶を飲んでいると、ガチャリと扉が開いて来たのはこの前に依頼をしてくれた人。
「早速来てくれたのか。どうだい?前向きに検討してくれたかな?」
「あ、はい。作る方向で話を進めようかと思いまして、報告に来ました」
「それはありがたい。と、それが木刀でいいのかな?」
視線は椅子に立てかけた三本の木刀に。
「ええ。で、ですね。作り始めたばかりではあるのですが、三種類の木でいま木刀を作っていまして、どれがいいのかの確認もしたくて来たのですが」
「三種?」
「はい。柔らかい木、硬い木、重たい木の三種類ですね」
さっき思ったことをそのまま木刀の特性として簡単に伝えてみて、そして触って確認をしてもらいます。
どれもこれも握ってみると大差はないのですが、振ってみるとその差が分かります。
「なるほど、これは迷うね」
「迷いますか」
「ああ。門番も力の強い奴から弱い奴まで色々いるから一人一人に合った方がよさそうだ」
そんな返事をされると、それに応えたくなるのも人間の性。
「出来るだけ、ご要望に沿うようには作るつもりです」
「それはありがたい。因みにだがもう少し長くとはいかないか?」
「そうなると、槍のような感じの長さの棒でしょうか?」
「……そうなるかな。いや、それなら木材屋にお願いすればできるか?」
「ちょっと相談してみましょうか。僕一人ではすぐにとはいきませんし」
「ん?木材屋の知り合いがいるのかい?」
「ええ。この木刀を作る木を買わせてもらっているお店がありますから」
という事で、いつもの木材屋さんに行く事に。
南の木材屋さんに向かいながら道中で雑談していると、彼がこの街の門番長のようで、この街の良さを色々と教えてくれます。
道中でお酒を飲むのにいいお店(飲めないといくら伝えてもこの国の成人は18だからいけると一点張り)や料理が美味しいお店を聞きながら木材屋さんへ。
「すいませーん」
いつも通りで眠たそうな声が奥から返ってきます。
「今回は早かったが、使い終わったのか?」
「いえ、ちょっとご相談がありまして」
そう言うと隣を眠たそうな目で見ています。
「相談ね。とりあえずここじゃなんだから裏へ」
「わかりました」
裏と言われたので、門番長さんをつれて裏へ移動。
この前と変わらずで色々な木が置かれています。
「で、どうしたんだい?他の人まで連れて」
「僕の持っている木剣が丁度いいみたいで門番さん達に欲しいという話になりまして」
「そりゃぁまた、なるほどね。じゃあその人は」
「ええ、この街の門番長をしています」
「お偉いさんがまた珍しい事で」
「彼に相談したところここの木材で作っているという話を聞きまして。彼の作る木刀もいいのですが、もう少し長いものもという話をしたところこちらを勧められまして」
「もう少し長い物?」
二人の会話が丁度止まったので、簡単に説明をしてみましょう。
「えーと、人の背丈より少し短い程度の長い棒であれば作れないかなと思いまして」
「それだと結構高くつくぞ?」
まあ職人さんに頼むというのは高くつくのは分かっている事ではありますが、そこでふと思い出すのは予算の事。
「あー、予算とか全然聞いていませんでしたがどういう感じでしょうか?」
「治安維持だから潤沢とは言わないがそれなりに出すつもりがあるから、多分問題はないかと」
その言葉に驚いたのは木材屋さん。
まあ、同じぐらい自分も驚いています。だって、ちょっとしたバイト感覚で木刀を作る予定だったのですから。
「でしたら詳しい話はお二人でした方がいいかもですね?」
結果も伝えたのでとりあえず帰ろうかと思ったのですが、
「いや、ついでだからお前さんの魔法についても聞きたいからちょっと待ってくれ」
「僕の魔法ですか?」
そのまま少し残ることに。
それにしても僕の魔法、何を聞きたいのでしょう?と少し考えていると、精霊がポンと目の前に出てきます。そして耳元へ。
「先に話しておくことが出来ました、一度離れてもらっていいでしょうか?」
小さな声で言われたので、
「ちょっとその辺り回って時間を潰してきます」
「ああ、五分もしないで話は終わりそうだ」
二人の了解を得てその場を離れることに。
一本裏の路地へ入って小さな声で精霊に声を掛けます。
「で、どうしたの?」
「木材屋さんの魔法の件についてですが、多分教えてほしいという話になってくると思います」
「魔法を?教えるの?」
「ええ、こちらの世界の魔法は習うという形か買うという形で広がっています。ただし、雅は別の世界の人なのでその方法ではなく、自分で創る形の魔法なのです」
「へー、そうだったんだ」
「ええ、そうだったんです。ですが雅の魔法は多分教えることが出来ません」
「それは、なんで?」
「風のチェンソーでしたっけ?あの魔法は元のチェンソーを知らないと出来ないでしょう?それをどうやって教えるつもりですか?」
あー、なるほど。いくら口で説明してもチェーンがあって、そこに木を削る溝があってと形が想像できなければ意味がないし、絵で描いてそれが動くというのを想像しろと言われても結果が追いつかないとダメと言われると何となくわからなくもありません。
「じゃあ、教えることは難しいって事?」
「そうですね。絶対に無理という事はありませんが、かなり労力はかかるかと」
「うーん、それは困るね。お昼作って、おやすみにダンジョンに行って。凄く今楽しくなってきた所だから、更にというのは困っちゃいそうだね」
「でしょう?私のご飯がこれ以上侵害されるのは困ります」
「…………まぁ、そうね」
「なので、木刀の件は構いませんがそれ以上は断っていただけると助かります」
「わかったよ」
精霊との話が終ったので、木材屋さんに戻るとしましょうか。
今回も読んでいただきありがとうございます
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誤字脱字報告とても助かります&申し訳ありません
改めてありがとうございます
毎日投稿頑張ります




